2026.04.10

CARS

ハンドルはもう丸くなくていい!? 初のステア・バイ・ワイヤ登場間近! 改良で新機軸を投入する「メルセデス・ベンツEQS」

レクサスやテスラにもあるが、操縦桿型ステアリングはスタンダードになるのか?

全ての画像を見る
メルセデス・ベンツが「EQS」の改良を準備中だ。偽装を施したプロトタイプは、スリー・ポインテッド・スター型ヘッドライトなどの新デザインも確認できるが、同じくらい目を引くのが、ボディ・サイドに記された“ステア・バイ・ワイヤ”の文字だ。

ステアリング“ホイール”ではなくもう操縦桿!?  直感的なメルセデスらしいフィールは健在!


ステア・バイ・ワイヤは、ステアリング・ホイールの操作を電気信号化して、モーターで操舵を行う機構。量産車初の採用例は2014年の「日産スカイライン」で、最近では「レクサスRZ」への採用も話題になった。



運転席と操舵機構を機械的に繋ぐシャフトが存在しないため、車両の設計自由度も増す。また、不快な振動やキックバックがドライバーに伝わったり、ハンドル位置の左右で操舵フィールに差が出たりというようなこともない。なにより、ドライバーの転舵量とタイヤ切れ角の相関関係が希薄になるため、車速や走行環境に応じた操舵量の可変設定における制約が限りなく小さくなる。

つまり、ステア・バイ・ワイヤによって、ドライバーの操作量に実際の操舵量が左右されなくなるのだが、そのことを視覚的に伝えるのが、航空機の操縦桿を思わせる変形ステアリング・ホイールだ。リムの上下をカットしたことで、運転席周りのスペース効率も高めるが、左右のグリップ部だけを残した形状は、ホイールと呼ぶことを躊躇してしまうものでもある。



従来のステアリング・ホイールが360度可動し、ロック・トゥ・ロック2回転以上が一般的なのに対し、EQSの操舵角は左右170度ずつ。つまり、持ち替えが必要になる一歩手前までしか回らない。そもそも何回転も操舵しないといけないのは、パワー・アシストがなく、ギア比を下げて操作力を小さくしようとした頃の名残と言えなくもない。



極端に言えば、操縦者が小さな入力で転舵できるなら、操舵角を二輪車並みに小さくすることも可能なわけだ。しかし、それでは操作性がシビアになりすぎる。そこで、ステアリング・ホイールは半回転程度の余地を持たせ、実際の操舵量はステアリング・レシオの可変機構や後輪操舵、パワートレインのアクティブ制御で、状況に応じて最適化する。

いっぽうで、タイヤと路面からのインフォメーションは、車種ごとに算出したデータに基づき作り出した重みでドライバーの手元に伝達。正確で直感的な、メルセデスらしいステアリング・フィールは健在だという。システムのテストは、ベンチと実走あわせて100万km以上とのことで、トラブルに備えた信号伝達の2系統化により冗長性も確保。万一のシステム・ダウン時には、後輪操舵とESPによるブレーキ介入で補完するようだ。



とはいえ、新たな方式の操舵系で自然な感触を一朝一夕に得られないのは、電動パワー・ステアリングの例を見れば想像に難くない。また、機械的接続がないことに不安を覚えるドライバーはまだまだ多いだろう。それらを許容できたとしても、操作への慣れに多少の時間は必要だろう。



その辺はメルセデスも心得たもので、今後も電動機械式ステアリングの設定は続けていくことを、ステア・バイ・ワイヤ採用の発表に併記している。



完全電動操舵となるステア・バイ・ワイヤは、自動運転には最適なシステムであり、ADASの操舵支援もより正確になることが期待できる。そのため、今後は採用例がさらに増えるだろう。まずは、メルセデスの現在地を知る指標となる改良型「EQS」、その発売は数カ月後だ。

文=関 耕一郎 編集=上田純一郎 写真=メルセデス・ベンツ

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement



RELATED

advertisement