オペルは新型「コルサ」の“GSE”を発表した。ドイツのベストセラー・コンパクトの頂点に立つホットハッチがいよいよ登場となる。1987年の「コルサA」の“GSi”デビューから連綿と続くスポーティ・コンパクトは、完全電動化というあらたな武器を手に、世に出ることになった。
“GSi”の血統は“GSE”へ継承された!
“GSE”とは「グランド・スポーツ・エレクトリック」の略だ。この“GS”という文字はかつてオペルにとって特別な意味を持っていた。

1984年の「マンタ」と「カデット」の“GSi”登場以来、オペルのスポーツ・モデルの証として長らく君臨していたからだ。

1988年には「コルサA」にも設定されて“GSi”ファミリーが完成した。

その後、「アストラ」にも加わり「コルサB」、「コルサC」、さらに2007年からはターボ化を果たした「コルサD」までは“GSi”がラインナップされていたのだが、2012年8月、いったん“GSi”という看板をオペルは下ろすこととなる。
復活を遂げたのは2017年9月のフランクフルト・モーターショーで姿を現した「インシグニア」の“GSi”だ。そして翌年には「コルサ」にも“GSi”が帰還している。

そしてオペルの“GSi”の系譜はさらなる飛躍を遂げる。完全電動化され “GSE”へ改名するとともに2025年11月にはスモールSUVの「モッカ」の“GSE”が誕生。そして2026年5月、ついに現行型「コルサ」にも “GSE”が登場したというわけだ。

最高出力は281ps、最大トルク345Nmというスペックは2025年に発売された「モッカGSE」と同一。しかし「コルサGSE」はさらに小型のためより俊足で、最高速度は180km/hながら、0-100km/h加速はわずか5.5秒。これは現行のオペル量産モデルの中で最速となる。
ドライブ・モードは3種類。スポーツ・モードでは特別なサーキット向けのキャリブレーションのもとフルパワーを解放。ノーマル・モードでは231psに押さえつつ最高速度は同じ180km/hをマークする。エコ・モードでは効率を最優先として最高速度も150km/hに抑えられる。
搭載されるリチウムイオン・バッテリーの容量は54kWh(使用可能容量51kWh)で、高負荷時の熱マネジメントも“GSE”の専用チューニングが施されている。

足まわりも本格的だ。前輪にはトルセン式LSDを組み合わせ、専用チューニングのローダウン・スポーツ・シャシーに。スタビライザー、ショックアブソーバーも“GSE”専用品。さらに3スポークのホイール越しには“GSE”の文字が刻まれたアルコン製4ポットのブレーキ・キャリパーがのぞく。装着タイヤはミシュラン・パイロット・スポーツ4S(215/40R18)となる。
エクステリアも“GSE”専用で、フロント&リア・エプロンや、ブラックのルーフとリア・スポイラー、幅広いホイールアーチがノーマルの「コルサ」との違いだ。
かつて「コルサA」の“GSi”が専用グリルや同じく3スポークのホイールで存在感を示したように、新しい「コルサ」の“GSE”もひと目でそれとわかるアグレッシブさを備えている。

インテリアはブラック、グレー、イエローのチェッカー柄が施されたアルカンターラのパフォーマンス・シート、さらに鮮やかなイエローのシート・ベルト、イエローのスティッチの入るアーム・レスト、アルカンターラのステアリング・ホイール、アルミ製スポーツ・ペダルと、いかにもホットハッチらしい仕上げとなっている。

往年の「コルサA」の“GSi”が3スポークで3つの穴の開いたステアリング・ホイールを装着していたことを知る往年のファンならば、新型「コルサ」の“GSE”のステアリングのデザインに通ずるものがある、と気づくことだろう。
なお、室内中央の10インチのタッチ・スクリーンにはGフォースの表示や加速値、バッテリー・マネジメントなど“GSE”専用の情報が表示されるという。

新型「コルサ」の“GSE”の欧州での発売は2026年内を予定しており、正式公開は10月のパリ・モーターショーを予定。価格はまだ発表されていないが、標準モデルの「コルサ・エレクトリック」が邦貨換算で約600万円、同じパワートレインを搭載する「モッカGSE」が約870万円であることを考慮すると、予想価格は700万円台半ば〜というところだろうか。
ところでオペルが日本で最後に正規販売されたのは2006年だから、もはや20年も前だ。当時ヤナセが「ヴィータ」の名で展開していた3代目「コルサC」を最後に、オペルは日本市場から撤退。その後は再上陸計画もあったようだが、今のところ正規での輸入は再開されていない。

“GSE”のような純電動モデルだけではなかなか難しい面も多いだろうが、ライバルとなるフォルクスワーゲンが「ID.ポロ」の“GTI”をまもなく欧州をはじめ日本市場へも投入するであろうことを考えると、できるならば「コルサ」の“GSE”とのホットハッチ対決を、ここ日本でも見てみたいものだ。
文=上田純一郎 写真=オペル
(ENGINE Webオリジナル)