2026.09.13

CARS

「BXに乗っているあなたの姿は似合っていない」という妻の一言で始まったルノーとの縁 デザイナー夫妻が選んだ小さなクルマのライフスタイル

キッチンデザイナーとグラフィックデザイナーの和田さん夫妻。互いの意見に耳を傾けながら流行に左右されないスタイルは、仕事のみならず長年のクルマ選びでも変わらない。

似合うことが大切

黒を基調としたファッショナブルな装いで、愛車のルノー・トゥインゴEDC(2021年型)と愛犬ジンくんとともに雨と強風のなか、撮影に応じてくれたのは、キッチンデザイナーの和田浩一さん(60歳)と、グラフィックデザイナーの和田順子さん夫妻だ。今年で結婚32年目。結婚の年にデザイン事務所「STUDIO KAZ」を共同で立ち上げて以来、二人は互いの意見に耳を傾けながら、流行に左右されることなくより良い提案を探り続けてきた。この関係が和田夫妻の大きな強みだ。

これまで3匹飼ったイタリアン・グレイハウンドの中で、ジンくんは少しクルマが苦手。

二人で考えるこのスタイルは、仕事だけでなく、これまでのクルマ選びにも表れている。最初に二人でクルマを選んだのは、まだ結婚前の1990年代前半のこと。中古車店でルノー・シュペール・サンクとシトロエンBXを試乗した和田さんが、順子さんに意見を求めた。当時、順子さんはクルマの知識がほとんどなかったが、こう言い切った。

「BXに乗っているあなたの姿は似合っていない」

和田さんは大柄だが、“キャラクター的に小さなクルマのほうがしっくりくる”というのが順子さんの考えだ。このアドバイスで、1987年型のグレーのシュペール・サンクが和田さんの最初のクルマになる。「ルノーは運転すると味わい深い」と知ったのは、オーナーになってからだ。

本人が強く望んだ白いボディ色に黒いプロテクターのモデル(前期型)は、ディーラーにこの1台しか残っておらず、慌てて購入した経緯が。

シュペール・サンクの後は、短い期間のローバー114を経て、再びルノーへ戻る。ルーテシアに約9年、続いてメガーヌIIへと乗り継ぎ、アウディA1を挟んで、2021年から現在のルノー・トゥインゴに乗っている。クルマのデザインで和田さん夫妻が特にこだわっているのは、後ろ姿。トゥインゴの個性的なリアビューに、シュペール・サンクを重ね合わせたのはいうまでもない。

「最初は不安もありましたが、RRにはすぐに慣れました。RRにしろFFにしろ、ルノーらしい乗り味に変わりはありません」

ところで、和田さんの職業である“キッチンデザイナー”という仕事は、一般的に馴染みの浅いものかもしれない。和田さんはこの分野のパイオニアで、顧客の声を直接聞きながら、一人ひとりに合わせたオーダーキッチンをデザインしている。家のリフォームで多くの人が最もこだわるのがキッチンで、その“あるべき姿”を提案し続けてきたことで、依頼は全国へ広がった。とはいえ、仕事の中心は都内である。現場での指示や確認は欠かせず、一日に複数の現場を回ることも珍しくない。「だからクルマ移動が多いんです。お客様から“どんなクルマに乗っているか”を見られることも少なくないので、仕事のうえでもクルマ選びは大事」と話す。

ショールームも兼ねる“入船スタジオ”のオーダーキッチン。パネルには、8000年前の地層から掘り出した銘木も使われている。使いやすいスツールも和田さんのデザイン。

仕事以外でも、愛犬を連れた夫婦の外出で、クルマを使う機会は少なくない。ちなみにジンくんの犬種は、イタリアン・グレイハウンド。スタイルとサイズが好きで同じ犬種ばかりを飼い続け、彼で3代目になる。こんな発想も、デザイナーらしいところだ。さらに二人にはミニマリスト的な側面もあり、「たいていの場合は2 人乗りのスマート・フォー2(2代目が好き)でもこと足りる」が、順子さんの両親が乗ることもあるので4人乗りのクルマを選んでいる。

当時のものや復刻されたものまで、倉俣史朗の逸品がずらり。

この夫婦の拠点である“入船スタジオ”は、もともと二人で暮らすため、中古マンションを自らデザインしリノベーションした空間だ。倉俣史朗の椅子や照明が並び、会員制バーのような雰囲気で、顧客が“量産品ではないキッチン”を実際に体験できる貴重な場にもなっている。時には企業の製品発表の場として貸し出すこともあり、その際に振る舞う和田さんの料理を楽しみに訪れる業界関係者も少なくない。和田さんがキッチンデザイナーになったのは、「料理が好きだったことも理由」だそうだ。

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