2026.08.03

LIFESTYLE

工具好き、集まれ! デジタルにはない機械とのリアルな対話が人気の秘密 

あらゆる分野、職種でAIが広がる一方、技術を活かした手仕事も見直され始めている。機能美あふれる工具がそのブームをサポート。

メカニックは2進法のデジタルデバイスとは異なり、歯車やネジ、鉄が組み合わさった有機的な塊だ。その対となるのがツール。アプリケーションツール、コミュニケーションツールと比喩的に使われることも多いが、もともとは「手で使う工具」の意。メカニックとツールは決して切り離せない関係にある。

店の中央にあるテーブル。ファクトリーギアが創業以来つくってきた代表的な工具がレジンで固められており、アーカイブのような趣。

周知の通り、やや足踏み気味とはいえ、クルマのEV化は着実に進んでいる。ガソリン車であってもコンピューター制御が主流だ。一方で旧車の人気はまだまだ根強い。ポルシェ911やランチア・デルタ・インテグラーレなど、かつての新車価格を超えるプレミアムなモデルも少なくない。軽い故障なら自ら手を入れたいと思うエンスーは少なくないだろう。そうしたブームを反映してか、あらためて注目されているのが工具専門ショップの「ファクトリーギア」だ。

ポルシェ用にカスタマイズされた工具セット。完成度が評価され、現在は入社したポルシェの整備スタッフ全員に支給されている。価格はおよそ100万円から。

さまざまな機械に対応する国内外のツールを揃えているが、なかでもクルマ、バイク用のラインナップが充実。特に「ファクトリーギア」が開発のリーダーとなって始まったブランド、DEEN(ディーン)が国産車や輸入車のディーラー車検工場の新入社員にセットで支給されていることからも、質の高さは折り紙つきだ。またイタリアのオートバイレーサー、バレンティーノ・ロッシが茂木でのレースに参加した際、メカニックが気に入って購入したことから海外で知られるようになり、現在はインバウンドの顧客が増えつつある。特に羽田から好アクセスの天王洲アイルの東京店では、来客数全体の4割を超えるという。

日本では取り扱いが少ないイタリアのウーザッグもラインナップ。鮮やかなカラーリングとスタイリッシュなデザインが目を惹くが、創業者がドイツ人のため、見た目以上に剛健。

東京店にはバーカウンターが設置されており、バリスタによるコーヒーやお酒が楽しめる。また工具好きが集まるイベントも定期的に開催しているほか、代表の高野倉匡人氏はラジオやYouTubeの冠番組で、工具の魅力を積極的に発信している。こうしたジャンルレスの活動の根底にあるのはものづくりへの思い。「どんなにデジタルが進化し、EVが普及しても、最後に手を入れるのは人間です」と高野倉氏は力説する。





マウスのクリックで動くのはカーソルのみ。ねじを回す、ボルトを締める、鉄板を叩く。素材がリアルに変化する手応えは、AIが急速に浸透するこの時代だからこそ新鮮。工具好きを集めるスポットでその奥深さを再発見してみたい。

文=酒向充英(KATANA) 写真=松崎浩之(INTO THE LIGHT)

ファクトリーギア東京店 東京都品川区東品川 2-3-10 天王洲アイル シーフォートスクエア 2階 TEL 03-6810-3759 営業:月曜~金曜 11:00~22:00 土曜、日曜、祝日:10:00~19:00 https://f-gear.co.jp/

■ファクトリーギア東京店

東京都品川区東品川 2-3-10 天王洲アイル シーフォートスクエア 2階 TEL 03-6810-3759 営業:月曜~金曜 11:00~22:00 土曜、日曜、祝日:10:00~19:00 https://f-gear.co.jp/

(ENGINE2026年8月号)

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