2026.08.08

CARS

リトアニアの空港で手に入れたパーツが危険物扱い!?【ヤフオク7万円のシトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#77】

リトアニア滞在時間はわずか 22時間半! 苦労して入手した部品と一緒に空港から飛び立つことはできるのか!?

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ヤフー・オークションに出品されていた7万円のエグザンティアを落札し、走り出す前に板金塗装で70万円、部品代と整備で130万円、さらに動きはじめてからも修理で総額300万円以上(!)をつぎ込んでしまった。それにも懲りることなくエグザンティアのための部品を求めて格安航空券を駆使して向かった東欧リトアニア・カウナス。さて次なる目的地ポーランド・ワルシャワに向けて出発……できるのか?

カウナス駅には直接戻らず……


東欧リトアニア・カウナスにある、エグザンティアの維持の要となる部品、ストラット・アッパーマウントの再生工房であるエラストマー.EU(Elastomer.EU)。そこで僕を待っていてくれたのは、代表のイルマンタス・ガリニス(Irmantas Galinis)さんをはじめ、彼の従兄弟のゲダス・グリン(Gedas Gln)さん、そして創業者にイルマンタスさんのお父上のカロリス・ガリニス(Karolis Galinis)さん。わずか200ユーロの部品を買いに来ただけだというのに、大歓迎をされたのはご報告した通り。



しかも彼らはわざわざ来てくれたのだからと、僕が購入した真新しい再生済みマウントの代金を、かなりディスカウントしてくれた。このときのお釣りとなったユーロ紙幣が、後々僕の危機から助けてくれることになるのだが、それはまたの機会に。

しかも彼らは、カウナス駅まで送ってくれるという。けれど、まず僕らを乗せたルノー・エスパスは、カウナスを流れるネムナス川を渡り、中心街から少し離れたアクロポリスというこの街最大のショッピング・モールへと向かった。



大きな吹き抜けの中に、旧いレンガ造りのリトアニアの建造物を何棟も残し、ガラスの屋根で覆うというとても凝った構造で、近代的で趣味のいいレストランやスーパー、衣料品店が軒を連ねていた。



平日にも関わらず立体の駐車場は混み合い、モールの中は人が溢れている。



そう、さっきもずいぶんいろいろと歓待してもらったのに、僕は夕食にも招かれてしまったのである。またビールで乾杯となり、リトアニア名物の琥珀、マグカップ、エラストマー.EUが取材された模様が掲載された「CITRONIAN」というオーナーズ・クラブによる小冊子などなど、たくさんお土産まで頂いてしまった。

上はストラット・アッパーマウント。下がガリニス一家から頂いたお土産。琥珀は今もお守りにしている。

途中からはガリニス家の要である、イルマンタスさんのお母さんも参加。旅の疲れと美味しい食事とアルコールのせいか、僕はすっかり陽気になって、彼らにずっとお礼を言い続けたのだった。



そうしてふたたびカウナス駅に戻ったのは、夜の7時を過ぎた頃だった。初夏のヨーロッパなので明るいけれど、電車で首都ヴィルニュスに戻るには、そろそろギリギリの時間。僕はガリニス家の皆さんに別れをいい、ふたたびリトアニアの風景をひとり、電車の中から眺めることになった。



ようやくヴィルニュス駅に戻ったのは夜の9時。まだ日本の感覚だと夕方ぐらいだろうか。マウントの入った重いスーツケースを引きずり、リトアニアの有名な観光名所である夜明けの門までは歩いてみたのだが、ここでさすがにグロッキー。



バスに乗り、空港そばの宿に辿り着いたのはもう日が変わる寸前だった。

ようやく独り安心できるホテルの部屋で、まさに倒れ込むようにしてベッドへ身体を預けると、すぐ意識がなくなった。日本を出てから飛行機の中で休んだとはいえ、到着直後からよくこれだけハードな移動ができたものである。



翌朝、あまりの寒さに目を覚ますと、なんと裏庭に続く窓が開きっぱなしだ。時刻は6時少し前。慌てて身支度をし、またBoltアプリの配車サービスで、食うや食わずでヴィルニュス空港へ。朝一の便を逃したら、何時間もかけてバス移動するしか、次の目的地のポーランドに行く術はないのだ。

この日の夜には、2023年のシトロエン・エグザンティア生誕30周年イベントに続く、シトロエンXM生誕35周年イベントがワルシャワで開催されるのである。飛行機に乗り遅れるわけにはいかない。



幸いBoltは優秀ですぐ僕をピックアップしてくれ、ヴィルニュス空港ではゆっくり散策する余裕があるほどだった。昨日駐まっていたポルシェ・タイカン・クロスツーリズモのあたりに、代わりにデュオ・トーンに塗られたセンスのいいシトロエンC6が置いてあって、しばしじっくりと眺める。



リトアニアで出合った旧いシトロエンは、結局ヴィルニュス市街の初代C4と、カウナスのイルマンタスさんのピカソくらいだった。



ハイドロ・シトロエンの最終形ともいえるC6が、リトアニアから離れる僕を見送ってくれているような気がした。



昨日の到着ゲートとは違い、出発ゲートは旧いヴィルニュス空港の建物内を通り抜ける構造になっていた。おそらく今はもう新空港が稼働し、この歴史ある建物はきっと壊されてしまっているだろう。



僕はまるで旧い美術館のような建物内部をぐるぐると回ってから、手荷物検査場へと向かった。



スーツケースにはイルマンタスさんから譲り受けた、2つのストラット・アッパーマウントが、往路と同じようにしっかり固定し、タオルでくるんだ状態で収めてある。



列に並び、脱いだ上着やベルトなどと一緒にX線検査を受けると、初老の検査官は渋い顔をして僕のスーツケースを横に動かし、こっちへ来いと手招きした!

うわー、ここでひっかかるか!!

内心ドキドキしながらマウントを手に彼に説明をする。日本から持ってきた構造図を印刷したものを見せ、スチールとポリウレタンによる構造であること、中身は使用時こそLHMが満たされるが、液体は今は入っていないなどなど……。つたない僕の英語を、検査官は黙って聞いているが、表情は険しい。危険性はない、といいたいのだけど、片手で持って振り回せば鈍器として使えなくはない。

最悪、ここから日本へ発送するか? 飛行機出発の時間までにそれができるか? ……焦ってさらに僕は早口になる。リトアニアにわざわざ持ってきて、交換してもらったことを伝えると、ようやく僕をにらんでいた彼の視線がすっとずれ、行け、とばかりに手が振られた。助かったー! これでとりあえずポーランドにはマウントを持って行ける!



こうして僕の、わずか22時間半しかないリトアニア訪問は無事終了。さっきのC6が見えないかな、と飛行機の窓越しに緑の大地を眺めながら、また機上のひととなった。次に向かうのは昨日も立ち寄ったポーランド。そして不思議な縁もまた、続いていた。ワルシャワのフレデリック・ショパン空港では、見知らぬもう1台のシトロエンC6と、見知った友人が、僕のことを待っていてくれたのである。

■CITROEN XANTIA V-SX(1996)
シトロエン・エグザンティアV-SX(1996年型)
購入価格 7万円(板金を含む2024年5月時点までの支払い総額は309万6773円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万6761km(購入時15万8970km)

文と写真=上田純一郎 撮影協力=エラストマー.EU

(ENGINE Webオリジナル)

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エンジン編集部員がヤフオクで買ったシトロエン・エグザンティアの長期リポート!

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