2026.07.28

CARS

登場から8年、熟成されたボルボXC40に試乗|日本におけるボルボのトップ・セラー・モデルの実力を改めて咀嚼する

登場から8年経過した今もボルボのトップ・セラーだというXC40に試乗した。

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上陸から8年を経てなお日本におけるボルボのトップ・セラーだというXC40。 さらにこのタイミングでの俳優・杏のアンバサダー就任など話題も尽きない。そんなXC40の試乗会に参加して、あらためて感じたこととは。

いいものは古びない

いまどきXC40を選んでいるひとたちは、なんだか地に足が着いている印象が強い。かつてのボルボ・オーナーは保守的なひとや、手堅いひとといったイメージも強かったけれど、さらに理性的でもある気がする。

XC40の2027年モデルは、上位のB4ウルトラAWDは特別仕様車“セレクション”のみで649万円。B3はエッセンシャル、プラス、ウルトラがそれぞれ509万円、559万円、599万円。

なにせXC40は、コンセプト・カーとしての登場から早10年。日本へ上陸してからも8年選手だ。XC40の属する小型SUVセグメントは激戦区で敵だらけ。そして同じ車台でモーターとバッテリーを載せる純電気自動車のEX40や、その兄弟にしてクーペSUVのC40リチャージ、そして新世代のEX30と、身内にも選択肢はたくさんある。それにもかかわらずXC40は、ボルボの全ラインナップの中で、実はいまなお稼ぎ頭なのである。

このブランドは伝統的にモデル・ライフが長いが、予想以上に進みが遅かった純電気自動車の動きを反映した戦略転換の影響も大きかったのだろう。なんと日本において2025年からのここ数年間、XC40はコンスタントにボルボ全体の販売比率の約3割を占めている。

全長×全幅×全高=4440×1875×1655mmのサイズ感は日本の道路事情でも取り回しやすい。

いまどきは税制や補助金、下取り額などに右往左往しながらのクルマ選びが主流になりつつあるけれど、XC40を選ぶひとたちは世の空気に振り回されていない。

もちろん、8年間の長きにわたってXC40自体も進化を止めていたわけではない。登場から5年目には小改良を受けLEDのシグネチャー・ライトがY字からT字になるなどマスクを一新。同時にGoogleのインフォテインメント・システムを採用し縦型9インチ・タッチパネルを採用(の後に8年目にして情報処理速度を2倍以上と、大幅に引き上げている)。

登場から8年経過した今もボルボのトップ・セラーだというXC40に試乗した。

心臓部も当初は純内燃エンジンのみだったが、現在はMHEVユニットを搭載。着々とアップデートは続けられている。だからXC40からXC40への乗り換え需要も、ちゃんとあるという。

XC40は排気量1968ccの4気筒ターボを搭載。B4は197ps/30.6kgm、B3は163ps/27kgmと出力違いとなる。4WDはB4のみ。

ここ数年は数字で表せるような改良は行っていない、と聞いていたのだが、試乗した高出力版でサンド・デューンという温かみのある色のウルトラB4 AWDの、特に脚さばきは記憶の中のXC40たちとは違った。

時間をずらして乗った前輪駆動でロー・パワー仕様のB3に対しても、過去のXC40たちと比べても、いかにも目に見えない部分での熟成が進んでいる感じ。試乗の起点となった神奈川・平塚駅前の市街地でこそやや硬く、路面の凹凸を感じとれたものの、西湘バイパスや箱根の峠道でサスペンションがつっぱる感覚がなく、しっとりと動いて、速度が自然と上がっていく。

Googleのインフォテインメント・システムを搭載した縦型9インチ・タッチパネルを採用。

かつてのXC40はもっとキビキビ感が強くあった気がしたが、むしろ大人びている印象だ。近年の純電動化モデルたちは、よく効くスパイスのようなモーターの鋭さや元気さがあってそれはそれで楽しいのだが、XC40はそれらの登場もあってか、上位の60や90シリーズのボルボたちに近い、クルマに急かされるような感覚がない世界へと、より近づいている気がした。乗っているひとたち同様に、XC40そのものも地に足が着いている感じなのだ。

それでいてエクステリアもインテリアもぜんぜん古びていない。若々しくスポーティでカジュアルさもちゃんとある。だからといって子供っぽいわけじゃない。登場当時はポップな印象が強かったけれど、いまやブランド・ロゴや光り物で主張だらけの欧州車が主流の中では、むしろ落ち着きすら感じられるくらいだ。

試乗車は2026年モデルゆえ本来あるはずのサンルーフは未装着。

十年前にプラットフォームもデザインも一新し、勝負に出たボルボは正しかった。最初にいいものを造って手を入れ続ければ、古びることはない。こういう熟成のさせかたこそが欧州のクルマ造りの上手さであり、本来の在り方ではなかったのか、と僕は思う。

ボルボXC40ウルトラB4 AWD(2026年モデル)

駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4440×1875×1655mm
ホイールベース 2700mm
トレッド(前/後) 1600/1625mm
車検証記載重量(前軸重量:後軸重量) 1720kg(1000kg:720kg)
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ+モーター
総排気量 1968cc
最高出力 197ps/4750-5250rpm
最大トルク 300Nm/1500-4500rpm
モーター最高出力 8.5kW/3000-8000rpm
変速機 7段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット+コイル
(後) マルチリンク+コイル
ブレーキ(前後) ディスク
タイヤ・サイズ(前後) 235/50R19
車両本体価格 639万円

文=上田純一郎 写真=山田真人

(ENGINE2026年8月号)
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