1796年にイギリス・ロンドンで設立されたオークションハウスの老舗「フィリップス」。現代アートやデザイン、写真やジュエリーなどを多彩なジャンルを扱っているが、近年特に注目されているのが時計の分野だ。
総売上高は2億3500万米ドル(約384億円)を突破
ニューヨーク、ジュネーブ、そして香港にて開催されたフィリップスの2026年春季シーズンのオークションでは、総売上高が2億3500万米ドル(約384億円)を突破。
各地域でも今シーズン最高額となるロットを取り扱い、1ヶ月のうちに3本の腕時計が1000万米ドル(約16億3400万円)超で落札されたほか、100万米ドル(約1億6300万円)で落札されたロットも43件を超えるなど、時計オークションの歴史を塗り替える快挙となった。
今回、出品された全939ロットの中から、特に注目したい4本のタイムピースを紹介しよう。
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パテック フィリップ Ref.3448 “Tokyo White”
まず紹介するのは、1371万6000香港ドル(約2億8500万円)で落札されたパテック フィリップのRef. 3448、通称“Tokyo White”だ。

Ref. 3448は、自動巻きパーペチュアル・カレンダーを世界で初めて搭載したモデルとして知られる、時計史において外すことのできないマイルストーンだ。

今回出品されたRef. 3448は、その名の通り日本の東京で発見され、世界最古の時計販売店である「べイヤー・クロノメトリー」のダブルネームが入っているのが大きな特徴だ。

現在、べイヤー・クロノメトリーのネームが入ったホワイトゴールドのRef. 3448は、わずか3本しか市場でその存在を知られておらず、このTokyo Whiteが4本目となる。しかしながら、このTokyo Whiteがさらに特別なモデルたり得るのは、その特徴的なダイアル・デザインにある。

通常はカレンダーの小窓の下に「PATEL PHILIPPE」のロゴが入るのだが、このTokyo Whiteでは、カレンダー小窓の上に配置されている(Topsider配置)。この独特のロゴ配置を備えたRef. 3448は、これ以外に3本しか知られておらず、さらにべイヤー・クロノメトリーとのWネームとなると、このTokyo Whiteが世界で唯一知られている存在となる。

付属品についても、1972年7月24日の日付とべイヤー・クロノメトリーのスタンプが押された保証書、そして2021年にパテック フィリップ ジャパンでサービスを受けた明細書、そして専用のボックスなど完璧な状態が保たれている。
なお、べイヤー・クロノメトリーは、今年パテック フィリップによる買収が発表され、266年の歴史に幕を下ろすことになった。その節目のとなる年に、本機が登場したことは非常に感慨深く、その歴史を語り継ぐマスターピースとなるに違いない。
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F.P.ジュルヌ クロノメーター・レゾナンス スースクリプション no.007
オークションの中でもとりわけ熱視線を集めるのが独立時計師の作品だ。このF.P.ジュルヌのクロノメーター・レゾナンス「スースクリプション no.007」は、今シーズンにおいて最高値となる1392万2000米ドル(約22億7000万円)で落札された。

時計師フランソワ-ポール・ジュルヌによって1999年に設立されたF.P.ジュルヌ初期の作品で、20本限定で製作された”スースクリプション(Souscription)”シリーズにおけるナンバー7だ。

これ以外にも、同シリーズのナンバー18が487万5000スイスフラン(約9億8400万円)で落札されたほか、今シーズンの落札価格トップ10本のうち4本がF.P.ジュルヌの作品であり、比較的若いブランドながら同社に対するコレクターたちの熱狂ぶりが伺える。
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パテック フィリップ Ref.5004G-020 “Eric Clapton”
世界的なウォッチコレクターとしても知られるエリック・クラプトン氏のコレクションから、特注仕様のパテック フィリップ Ref.5004が出品され、今シーズン中では5番目の高値となる520万2000米ドル(約8億5000万円)で落札された。

複雑機構であるパーペチュアル・カレンダーとスプリット・セコンド付きクロノグラフを備えるRef.5004は、ケース素材に5つ(イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド、プラチナ、ステンレススチール) のバリエーションがあるものの、本機にも採用されているホワイトゴールドは最も希少とされており、今日までに確認されているのはわずか27本のみ。

さらにローズカラーのダイアルに、12時位置にブレゲ数字の「12」を組み合わせるモデルはおそらく世界唯一。ソリッド・ケース・バックやタグ、保証書などオリジナルの付属品も全て揃っており、この状態でオークションに出品されるのは今回が最初で最後だろう。バックグラウンドも含め非常に貴重な1本だ。
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A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1ソワレ MOP

ここまでは超弩級と言える落札価格とストーリーを携えたタイムピースたちを紹介してきたが、フィリップスのオークションに出品されるのは、決してそのようなモデルだけでない。

最後に紹介するランゲ1は、76万2000香港ドル(約1580万円)で落札された1本。1994年の初登場から約32年を迎えるランゲ1だが、その歴史の中で数々の限定モデルやコレクションを展開。この「ソワレコレクション」もMOP=マザーオブパール(真珠母貝)をダイアルに使用した、非常にエレガントかつ洗練された1本だ。

実はここ数年で、ランゲ1がコレクターたちの間で活況傾向にあり、オークションでの落札価格も上昇しているという。
従来のライブ・オークションに加え、オンラインでの入札も可能となったため、近年では若年層のエントリーも進んでいる。参加者の層が厚くなったことで、これまであまり注目されなかったモデルも、新たに”発見”されることが多くなっているのだ。
出品についても同様で、日本からの場合はフィリップスの日本法人が親身に相談に乗ってくれるので、オークション参加のハードルは決して高くない。
先に紹介したTokyo Whiteのように、日本の時計愛好家はモノを大切に扱う傾向が強いため、良好なコンディションで付属品も一式揃って出品されるケースが多く、世界からの注目度も高いという。我こそは…! というコレクションをお持ちの方、是非一度エントリーしてみてはいかがだろうか。
◆フィリップスの時計オークションの情報はこちらから問い合わせ=PHILLIPS(フィリップス)東京 Tel.03-6273-4818
Email:tokyo@phillips.com
文=浅石祐介(ENGINE編集部) 写真=PHILLIPS
(ENGINE Webオリジナル)