2019.07.09

CARS

エンジン中古車探検隊が行く! 夢のポルシェオーナーに!? お手軽な右ハンドルのポルシェ996

ボクスターとケイマンを乗り継いで12年になる渡辺隊長がついに911を購入したいと話しているのを聞きつけたENGINE編集部・ウエダ隊員。四方八方手を尽くし、オーダーどおりの1台を探しあてた。

隊長のオーダーは?

(ウエダ)今月の弊誌巻頭ではポルシェを特集してるのですが……。
(ワタナベ)定番というか鉄板というか、よくネタが尽きないねぇ。
(ウエダ)言われると思いました……。
(アライ)まぁ992も出たってことで。ナベさんちのケイマンは調子どうですか?
(ワタナベ)いやぁ、ボクスターから数えて2台で12年くらい乗ってるけど、その間起こったことといえばランプの球切れくらいだよ。
(アライ)じゃあしばらくは安泰と。
(ワタナベ)いや、それがそうもいかなくなってきてて……。
(ウエダ)ナベさん、奥様のクルマが潰されちゃったんですって。
(アライ)えーっ、何すかそれ?
(ワタナベ)回送の業者さんがローダーに載せてる時に、アクセルとブレーキ踏み間違って荷台に激突しちゃったんだって。
(アライ)最近話題の……というか、プロでもそんなことがあるんですか。
(ワタナベ)まぁそんなこんなで、2ペダルのAT車が必要になってきたんだよね。
(ウエダ)そこで今回は、半分ナベさんの次期愛車探しも兼ねての行脚になったわけですが、あ、ここですね。


東京・足立区の環状7号線のすぐ外側にあるポルシェ専門店、ガレージJ内にたたずむ911たち。取材車の996以外にも、997や964など歴代911の冷却モデルもずらりと並んでいた。


(アライ)おおー、見事にポルシェ、しかも911だらけじゃない。
(ウエダ)こちらガレージJさんは空冷はもちろん、水冷系のポルシェにも造詣が深く、車両販売だけでなくメンテやカスタマイズも受け付けてくれるお店です。
(ワタナベ)HPの情報は僕も折につけチェックしてたんだけど、今回はウエダくんがブログにアップされた個体を目ざとく見つけてすかさずコンタクトを取ってくれたんだよ。
(アライ)なるほど。じゃあ今回の個体は空冷のティプトロニックってところですかね。
(ワタナベ)いや、996の前期。
(アライ)ん、996前期のティプトロニックですか。市場的にはあんまり人気がなさそうですが。



レアな右ハンドル発見

(ワタナベ)大事なポイントは右ハンドルってことなんだよ。空冷時代の右ハンドルはさすがにペダル・オフセットがきつくて難易度が高いんだけど、この世代でパッケージにゆとりが出たこともあって、ペダル位置がなんとか我慢できるくらいになったんだよね。
(ウエダ)なるほど、ちょっと左寄りではありますが、確かにこれなら我慢できそうです。でも、そもそも996世代って、右ハンドル自体が少なそうですね。
(アライ)当時は左ハンドル神話が根強かったですもんね。まあ実際ブレーキのマスターシリンダー位置とかで割食ってるクルマもあったし。
(ワタナベ)ジャガーでさえ左ハンドルで乗る人がいた位の時代だし。なもんで、確かに996も特に前期は右ハンドル車が少ないんだよね。


ナビとETCユニット以外、基本的にオリジナルの状態を保つインテリア。パドルではなく、ステアリング左右にそれぞれシフトのアップ/ダウン・スイッチが備わる。シフト・パターンはP-R-N-Dの一般的なもので、D(ドライブ)モードから左側に倒すと前後にゲートが備わるM(マニュアル)モードに。
フロア・マットやホイールなどの純正オプションは現在もポルシェ公式HPで紹介されている(https://www.porsche.com/japan/jp/accessoriesandservice/classic/genuineparts/producthighlights/996parts/)。


(ウエダ)しかし当時は大きくなっちゃったように思いましたが、今やこれも小さいですね。
(ワタナベ)そこも日常遣いでは大事なポイントなんだけど、寸法的には今やCセグメント級なんだよ。たとえばアクセラやインプレッサの5ドアよりも数値的には小さい。
(アライ)げげっ、マジですか。
(ワタナベ)しかもクォーター・ウインドウも広くてCピラーが細いから、斜め後方の視界も悪くない。後端は掴みづらいけどバックカメラでフォローして、あとは段差で鼻先やお腹を擦ることにちょっと気遣えば普通に乗れそうだよね。
(アライ)でも、いくら水冷はタフと言われていても、ほぼ20年ものですからねぇ。さすがに色々あってもおかしくなさそうですが。


20年ものの維持費問題

(ワタナベ)お店の人に聞いてみたら、基本的には熱もの関係のトラブルが増えてきているみたいなんだけど、基本頑丈だから多少熱ダレ的な状態でも普通に走っちゃうんだって。風通しの悪い室内側のシリンダーが熱害でいっちゃうトラブルの話を時々聞くんだけど、それも温度管理が遠因なんじゃあないかなぁと。
(ウエダ)サーモスタットの不具合やラジエター・リザーバー・タンクの劣化なんかは頻発しているみたいで、だったらそれに乗じてウォーター・ポンプなんかも交換して……と、半ばエンジンを下ろすような作業も考えておいた方がいいみたいですね。


フロント荷室内にはジャッキを内側に納めたスペースセーバー・タイヤが縦に置かれている。
右ハンドル・ティプトロニックSの996はペダルのオフセットはさほどなく扱い易いが、フットレストはやや細身。
取材車は2年半前にエアマスセンサーを、3カ月前にウォーター・タンクとキャップを交換済み。
今回の取材車は納車前に外装の補修およびエンジンの脱着を行い、ウォーター・ポンプやサーモスタット、さらにオイル・セパレータとヒート・エクスチェンジャーのパッキンも交換する予定だという。


(ワタナベ)純正部品は手に入るけど値段が上がっていて、費用を抑えるにはリプレース品を巧く使う術を知っておかないとならないみたい。
(アライ)まぁその辺りは国産車でも20年ものなら覚悟すべきところですもんね。さすがにタフだからって乗りっぱなしにはできないですよね。
(ワタナベ)問題はそれなりの費用を投じる気になれるクルマか否かということなんだけど、996前期はエグゾースト演出もなくてエンジン・サウンドも綺麗だし、回転フィールも繊細だし……と、ならではの良さがあるんだよね。


(ウエダ)911も代替わりごとにマッシブになっていってるぶん、このナロー的な感じがそろそろ愛おしい気もします。
(アライ)今や素カレラでも限りなく300㎞/hカーなわけでしょ。そもそもそんな速くなくてもいいし。
(ワタナベ)速い遅いの呪縛からすっかり解放されて、911の気持ちよさを毎日味わえる。そんな選択肢としては予算も含めて悪くないと思うんだよね。うーん悩ましい……。



■ポルシェ911カレラ・ティプトロニックS 2000年型 ブラック/ブラック・レザー 
走行6万3499㎞ 右ハンドル 5段AT 検2021年6月 修復歴無 911GT3用ホイール ビルシュタイン製車高調キット パナソニック製ナビゲーション・システム(地デジ、Bluetooth対応) バックカメラ ETC 納車前整備代込み 238万円



ガレージJ代表の本田淳也氏(右)と渡辺隊長。2人の前にあるイエローの前期997型カレラ4Sは同店のデモカーで、オリジナルのフロント・バンパーやオーバー・フェンダー、ホイール、ローダウン・サスペンションを装備している。製作にあたってイメージしたのは氏がかつて憧れた1973年型の911RSRだとか。写真では見えにくいが、リア・ウイングは 固定式のダック・テールとなっている。

■ガレージJ 東京都足立区江北7-1-13 TEL:03-3855-1964  http://garagej.net

(ENGINE2019年8月号)
※紹介した中古車の価格、在庫については、取材時のものです。



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話す人=渡辺敏史+新井一樹(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人

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