荒井 今回、3名の女性ジャーナリストに試乗してもらったラテンのクルマは5台。まずは、PSAグループのコンパクトSUV3台から話を進めていきたいと思います。
藤島 ドイツ車勢が多彩なSUVをラインナップしているのに対し、PSAグループのSUVは、やっと揃ったという感じです。
吉田 今日乗った新しいプジョー3008は2代目、シトロエンC5エアクロスSUV(以下C5エアクロス)とDS7クロスバック(以下DS7)は他社と提携しない初めての自社オリジナルSUVということになりますね。
飯田 そう。EMP2というPSAグループの新しいプラットフォームを使った3台。
藤島 いま、日本で売れている輸入車って半分以上ドイツ車だから、フランス車でこういう日常に色どりを添えるクルマが出てくるのはすごく嬉しい。
吉田 3台には共通している部分と競合している部分がある。たとえば、シフトレバーは全部同じだけど、その上のスイッチ類はそれぞれ違う。ああ、ここを変えたのかって、間違い探しが楽しい。
藤島 最近のドイツ車ってデザインが行き詰っている感じがするけれど、フランス車っていくらでもアイディアが出てくるんだと思った。
飯田 C5エアクロスのスピード・メーターは数字が横に動いていくでしょう。あれは昔のシトロエンDSやGXなどが採用していたボビン・メーターへのオマージュなんだよね。
藤島 昔を知る人は懐かしく思う。ドイツ車はキッチリと針の動きで見せるけれど、感覚的な表示というのは面白いですよね。
吉田 ドイツ車とは価値観が違うんじゃない? DS7はエンジンをかけるとLEDヘッドライトがクルクル回転する。そんなギミックまで採用している。
飯田 DS7の室内のキラキラ感はやり方を間違えると、安っぽいオモチャみたいになっちゃうと思う。ところが抜群の仕上がりでしょう。ギリギリまで攻めているけど、破綻しない。アバンギャルドなセンスが素晴らしい。
吉田 プジョー3008のピアノの鍵盤みたいなスイッチは、プジョーのアイコンでもあるライオンの爪をイメージしていると思う。テール・ライトも3本の爪跡でステキ。
藤島 プジョーって昔はVWあるいはトヨタといった朴訥な大衆車でしたよね。
飯田 いまはもうオシャレ路線。
吉田 3台の中ではプジョー3008が一番おしゃれだなと思った。シート、インパネの素材なんかも。
飯田 私はDS7。DS7はなんと言ってもアバンギャルド。ぼんやり感のある水温計なんか、日本やドイツだったら視認性が悪いということでNGでしょう。前衛ということで思い出したけれど、先進性も向上したよね。電子制御の技術がイッキに追いついてきた。
見た目からして柔らかい印象を与えるC5エアクロスのインテリア。メーターパネル内の液晶画面には、往年のシトロエンが採用したボビン・メーターを模したスピード・メーターが表示される。高密度のウレタン・フォームを使った掛け心地の良いシートも魅力。
DS 7の室内は前衛的だ。センター・コンソールに並ぶスイッチはシルバーに輝き、モチーフとなるダイヤのモノグラムでデザインされている。テスト車はアルカンターラが随所に使用され、モダンかつシックな雰囲気を醸し出していた。
新世代を告げるプジョーのインテリアは未来的である。上下をフラットにした小径ステアリング・ホイール、ドライバーを囲み込むようなコクピットなど、DS 7とは異なるスポーティな印象がある。アルカンターラを奢ったシートは掛け心地、ホールド性ともに申し分ない。
吉田 レーン・キープ技術などもドイツ車のレベルにグッと近づいたと思うんだけど、セッティングの方法がわかりにくい。
飯田 DSは7も3も、運転しながら操作方法を理解しようとするのは無理だよね。
吉田 いいものを持っていても使い方がわからないのは、本当にもったいない。ボルボはスイッチのマークで全部わかるでしょう?
藤島 PSAグループはこれだけ新しいモデルを次々と出してきて、世代を追うごとに新しさを増している。だから、フランス人がそこにやる気を出しさえすれば、イッキに解決するかもしれない。
吉田 ホンキ出せばね。だって、デザイン力すごいもの。新しいし、カッコイイし、欲しいって思う。それなのに使ってみると……という部分もふくめてフランス車なのかもしれないけど。
飯田 ドイツ車をお手本にしたり、目指したりしてないどころか、PSAグループはどこも見てない気がする(笑)。ルノーとも違うし。
藤島 私、この前ドイツを旅したときにお城を見学したんです。当時の貴族が憧れのパリで買い付けた家具、絵、タペストリーなどがたくさん飾ってあった。フランスって昔から先端行ってたんだなって。
吉田 フランス人は早く目的地に着くというよりも、人生を豊かにするためにクルマがあるんだと思っている。DS7はエンジンをかけるとインパネに時計がクルリと現れるけど、文字盤の数字はなぜか4、8、12がメイン。
藤島 あれ、外して腕に巻きたいぐらいオシャレですよね。(後編へ続く)
語る人=飯田裕子+藤島知子+吉田由美 司会とまとめ=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
■いよいよ試乗! 後編はこちら
飯田裕子・藤島知子・吉田由美が試乗したラテン車はこれ! プジョー3008・C5エアクロス・DS7キャラ立ち3兄弟/後編
DS7クロスバック・パフォーマンスライン
シトロエンC5エアクロスSUV
プジョー3008GTライン
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.08
【後篇】2024年総まとめ! 自動車評論家44人が選んだ「いま身銭買いしたいクルマのランキング!」 クルマ好きの人たちの深層心理がわかった!!
2024.11.12
BMW4シリーズ・グランクーペが初の変更 新しいヘッドライトと装備の充実で商品力を高める