荒井 乗ってどうでした?
藤島 乗り味は3台それぞれ全然違いますね。
飯田 自分と一番波長が合うのはプジョー3008です。ハンドリングが洗練されていてスポーティ。一方、C5エアクロスはあの柔らかさが大好き。もうほかに代わるものがない。DS7は乗る人をゴージャスな気分にさせてくれる。どっしりとした乗り心地で、フランスの高級さを象徴していると思った。
吉田 C5エアクロスだけ2リッターのディーゼルだったけど、室内はすごく静かだった。新世紀のハイドロを目指したというサスペンションを持っているだけあって、とろけるような乗り心地で、流石シトロエン! と思った。
藤島 私もプジョー3008の乗り味の良さに正直驚きました。コンベンショナルな金属スプリングのサスペンションですけど、こんなに快適で気持ち良く運転できるクルマなんだと。運転しても後ろの席でも気持ちいい。
吉田 プジョー3008はステアリング・ホイールからして小径でスポーティ。脇を締めて運転する感じ。
藤島 DS7にも驚きました。去年、初めて乗ったときに、乗り心地が硬いなあと思ったんですけど、今日乗ったやつはしなやかで全然違うと思った。路面をしっとりと捉えていような滑らかさ。え? こんなに乗り心地いいんだっけって。
飯田 DS7って路面を感知するアクティブ・サスペンションだからじゃない?
藤島 以前乗ったやつも標準装備だったんですけど、こんなに乗り心地が良くなかった。改良したのかもしれません。
吉田 私は3台とも小回りが利くのでビックリした。日常ですごく使いやすいと思う。
藤島 C5エアクロスは私もそう思いました。ハンドルがすごく切れる感じがする。ボリュームのあるデザインだから、扱いにくそうなんですけど、とても運転しやすい。
飯田 3台とも豊かな乗り味で、ひとつ上のクラスのクルマを運転しているようだよね?
藤島 フラット感がドイツ車とは違うんです。脚も沈み込んでいるはずなんだけど、嫌な目線のブレがない。


C5エアクロスは現在のところディーゼルのみ。走行中の振動、音などはまったく気にならなかった。新世代のハイドロと自らが称するPHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)というサスペンション技術により、とろけるような素晴らしい乗り心地を実現した。

荷室容量は580リッター。後席は前方へスライド可能ですべて前へ動かすと630リッターまで広がる。後席をすべて倒した最大荷室容量は1630リッター。



7月からボディ・カラーやインテリア、そしてホイールを自分の好みに合わせてオーダーできるオートクチュール・サービスを展開中。対象となるグレードはグランシック(ディーゼルも)。外装色9色、内装4色、ホイール3種など、全432通りの組み合わせのなかから、自分だけの1台がオーダーできる。

荷室容量は555リッター。後席をすべて倒した最大荷室容量は1750リッター。



2019年5月に1.6リッター直4ターボを改良し、新たに8段ATを組み合わせたマイナーチェンジ・モデルが発売された。とてもスムーズな乗り味で、このマッチングはとてもいい印象を受けた。3台のなかでは最もキビキビとした走行感覚で、新しいプラットフォームの出来の良さには感心した。

荷室容量は520リッター。後席をすべて倒した最大荷室容量は1482リッター。

飯田 フランス車って「アンジュレーションは友達!」みたいなところがない? ドイツ車にとっては敵で、屈服させるみたいなところがある。
藤島 それ、わかります。ドイツ車って受け流さないですよね? 脚の伸びでも縮みでも、一度で収めようとする。そしてすぐ次の動きに入るというレスポンスの良さがドイツ車の魅力でもありますけど。
飯田 ところが、フランス車はノド越しのまったり感があるのよ。
藤島 裕子さんの言った友達というのは、相手の反応を見て自分をコントロールする感じだと思います。C5エアクロスなんか、縮みがダメなら戻りがあるさ、といった感じ。一発で抑えようとしない。それよりも乗員の気持ち良さを優先する。
吉田 クルマが上下動したときのスピードがゆっくりだよね。
飯田 しかも不安がないんだよね。そこがフランスのクルマ作りのうまさだと思う。3ブランドのなかではプジョーが一番ドイツ車に近い。
吉田 プジョーは207のときにBMWとエンジンの共同開発をした。あのあたりから脚が硬くなったような気がする。
飯田 この前、久しぶりにドイツのアウトバーンを走って、やっぱりここを200㎞/hオーバーで走ろうと思ったら、ドイツ車の脚は確かにああなるだろうと思った。一方で、ラウンドアバウトや石畳があるフランスは、しなやかさが求められる。道がクルマを作るよね。
藤島 シトロエンはラリー・フィールドでちゃんと鍛えられていて、C5エアクロスの広報担当が、ラリーで鍛えた脚の技術を乗り心地方向で応用したと言っていたんです。競技から得たものを感性へ振り、後部座席のある実用性の高いモデルで実現するというのはすごいなと思った。
飯田 シトロエン2CVは、カゴ一杯の生卵を乗せて荒れた農道を走ってもひとつも割れないこと、という命題を受けてソフトな乗り心地を実現した。C5エアクロスに乗って、相変わらずそのコンセプトが受け継がれていると思った。脚の動きだけじゃなくて、時間の流れもゆっくりしているように感じる。
吉田 ドイツ車とは幸せのモノサシが違うってことだよね。
飯田 私、実はDSブランドとしてシトロエンから独立して、どうなるのかな?って心配してたの。今日こうして乗ってみるとシトロエン、プジョーとは違うキャラクターがちゃんと分かれていて良かったなあと。
藤島 DS7はすべてをDSとして作り上げた最初のモデルですからね。しなやかかつ重厚な乗り心地で、DSのキャラクターがハッキリ立ったなと私も思いました。
吉田 DSはパリをリスペクトしているじゃないですか。インテリアに多用されるダイヤ型モノグラムは、ルーブル美術館の新しいピラミッドから取っていたりとか、キラキラ感がすごいので、好きな人はたくさんいると思う。
藤島 フランスの高級ブランドって、エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトン、カルティエ、セリーヌ、ディオールと数え上げたらきりがない。でも、クルマのブランドって? と。
吉田 そこを目指すのがDS。シトロエンもプジョーもデザイン・コンシャスだけど、基本は庶民派のクルマだからね。もっと高級なものを求める人のためにDSがある。
藤島 ポテンシャルを持ってますよね。すごく面白いブランドだと思う。
飯田 あれ? そういえば、ともちゃん、乗ってたよね? DS3。
藤島 あの頃はシトロエンのバッヂが付いたままのDSだった。でも、水玉のワンピースを着ているような心浮きたつ感じが好きでした。
飯田 ドイツ車って大量生産の優れた工業製品というイメージがあるでしょう? DSは7月から自分でボディ・カラーやインテリア・テーマなどを選べるオートクチュール・サービスを始めたの。DSはそういう路線がピッタリだと思う。
藤島 同じプラットフォームを使いながら、プジョーはスポーティに、シトロエンはどこまでもたおやかに、そしてDSはゴージャスにというキャラクターが明確になり、いいスタート・ラインに立ちましたよね。
吉田 今まではシトロエンの中で、揺れていたものが、DSを独立させることで明確になった。
飯田 それぞれをどういう乗り味にしたいのか? というのは昔からブレていないと思うんだけど、新しい世代になってとにかくみんなオシャレになった。今日乗ったプジョー3008や新型508は以前のプジョーと全然違うでしょう?
吉田 この3台を作った人たちって、普通と言われるのが嫌いなんだと思う。変態と言われるとキュンとしちゃう。何かしら新しいものを盛り込まないと、新しいクルマとして意味がないと思っているんじゃないか。今日、3台に乗ってつくづく思った。
飯田 あとは日本のディーラー整備と宣伝じゃない? DSにはこういうクルマがあるんですよ、と世の中の人にもっと知って欲しいよね。(後編・終わり)

語る人=飯田裕子+藤島知子+吉田由美 司会とまとめ=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦
■飯田裕子・藤島知子・吉田由美が試乗したラテン車はこれ! プジョー3008・C5エアクロス・DS7キャラ立ち3兄弟/前編
DS7クロスバック・パフォーマンスライン
シトロエンC5エアクロスSUV
プジョー3008GTライン
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