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スポーティなハッチバックモデルを意味するスポーツバック。これにSUVを掛け合わせると、どんなクルマができあがるのか?この問いに対するアウディからの答えがQ3スポーツバックである。
ベースとなったのは欧州では昨年11月にフルモデルチェンジを受けた新型Q3。その全高を3㎝ほど低め、全長をいくぶん引き伸ばしてスポーティなクーペ・スタイルに仕上げている。
ただし、そのデザイン面における“スポーツ濃度”はかなり高い。ボディ・サイドに入るキャラクター・ラインの違いによって軽快かつ筋肉質な表情を手に入れ、テールゲートを強く傾斜させることで疾走感が強調されたからだ。ちなみにAピラー以降のボディ・パネルはすべて専用品という。
今回テストしたのは4気筒1.5リッターガソリンを積む35TFSI、4気筒2リッターガソリンの45TFSI、4気筒2リッターディーゼルを搭載する40TDIの3グレード。このうち35TFSIのみ前輪駆動で、45TFSIと40TDIはフルタイム4WDのクワトロを搭載。試乗車はいずれもデュアル・クラッチ式自動MTのSトロニックで、スポーティ・パッケージのSラインを装着していた。
試乗したのはスイスに近いドイツ南部の一般道。シュバルツバルト(黒い森)の名で知られる地域だ。最初にステアリングを握ったのは35TFSI。そのSトロニック・モデルには48Vのマイルド・ハイブリッドが組み合わされているが、低速トルクはどちらかといえば“か細い”。もっとも、同じくマイルド・ハイブリッド装着のQ8をチリの国際試乗会で初めてテストした時もこれと似た頼りなさを感じたが、日本仕様ではすっかり変わって力強いトルクを得ていた。その理由が熟成によるものか、それとも日欧の排ガス規制の違いによるものかは不明だが、Q3でも同様の変化が起こることを期待したい。もっとも、これを除けばスムーズによく回る心地いいエンジンだった。
オプションの可変ダンパーを備えた足まわりはSラインであることも手伝って引き締まった乗り心地。それも、これまでのアウディを知る者からすれば「ここまでスポーティに振ったか!」と感慨を抱くくらいの変貌ぶりだ。エンジン音をこれまでより明瞭に聞かせることを含め、アウディはコンパクト・カー作りの方針を微調整したようにも思える。
ただし、ステアリングの切り始めから正確に反応し、その後も優れたリニアリティを生み出すハンドリングはこれまでのアウディとまったく変わらない。スタビリティ感の高さも相変わらずなので、安心して小気味いいコーナリングを堪能できる。
低速域でのトルク不足は2ℓディーゼルの40TDIでも同じように感じたが、35TFSI同様、最終判断は保留としたい。いっぽう45TFSIは低速での頼りなさが消え、トップエンドまで力強い反応を示す。静粛性の高さも含め、現時点では2リッターガソリンがお勧めだ。日本導入は来春以降になるだろう
文=大谷達也
アウディQ3スポーツバック45TFSIクワトロ/AUDI Q3 SPORTBACK
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