永久カレンダーの表示を3時、9時、6時位置ですべて針で行う伝統的なスタイル。2016年に発表されたモデルは、やや大型化したケース、リーフ型針やブレゲタイプのアラビア数字が特色。自動巻き。ローズゴールド、ケース直径39㎜、3気圧防水。税別951万円。
私にとって高級時計のスイス現地取材は、パテックフィリップが初めて。折しも世界最高の複雑時計「キャリバー89」の発表から間もない1990年代初頭だった。その実物を見た時、32に及ぶ複雑機構の中で最も印象に残ったのは、西暦2499年まで人為的な修正を要しないという、想像を絶する永久カレンダーだった。パテックフィリップは、腕時計にも永久カレンダー搭載モデルが多い。だが現在買える同モデルで、カレンダーの修正が不要なのは西暦2100年2月28日まで。グレゴリオ暦の規則によれば、2100年は閏年にならず平年となるから、そこで一度機構をリセットしなくてはならない。だから、その瞬間を未来人に見届けてもらうべく「22世紀に遺したい」と思ったのだ。
だが待てよ、22世紀はいつから始まるのか?実は2101年1月1日からだ。となると、永久カレンダー機構が有効なのは21世紀最後の年まで。調整技術が受け継がれればだが、リセットにより次に平年になる西暦2300年まで、またカレンダーは修正不要となる。機械式時計なのに人の一生を超える"未来の記憶"がプログラミングされているなんて、わくわくするSF的な世界。こんな時計が他にあろうはずがない。だから永久カレンダーは断然面白い。

すがわら・しげる
1954年生まれ。1980年代にファッションやジュエリー雑誌でイタリアやフランスを取材。1990年代からは時計に専念し、スイス時計見本市取材は25年以上、専門誌や一般誌に多数の記事を発表。本誌にも創刊号から寄稿するベテラン。
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