雑誌『エンジン』に掲載された編集部の長期リポートの44号車、メルセデス・ベンツ300TE(1992年型)の過去13年間分の記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。2008年に編集部にやってきた44号車は、2019年に30万キロ突破! それを記念した箱根でのイベントからスタートです!
10年以上連載が続くENGINEの長期レポート車、1992年型メルセデス・ベンツ300TEが走行距離30万kmを突破。2019年9月8日(日)、その30万km突破記念イベントがついにその日を迎え、箱根ターンパイクの大観山を目指す。新型車のロケでスイスイ走っている箱根ターンパイクだが、実は上り勾配がキツイということを、1992年型メルセデス・ベンツ300TEは教えてくれる。
参加車両がどれもピカピカで、オーナーの愛情を感じる。2017年9月に行った「44号車25年25万km突破記念走行会」に参加した人たちが再会を祝う様子を見たり、44号車のリポートを読んで124のワゴンを買ったんですよ、と声をかけられたり、岐阜や名古屋ナンバーのクルマを見つけたりすると、44号車に乗り続けてきて良かったと、つくづく思う。
オーナーたちを取材した。岐阜県各務原市から参加した近藤久雄さんは、1993年3月に新車で購入した300TEに乗っている。「現在28万km。44号車と同じボディ・カラーで、内装も同じです。購入して間もない頃、エアコンの故障をクレームで直してもらっただけで、これといったトラブルはないです。一番のお気に入りは安心感ですかね。ちゃんと整備をすれば新車のような状態に戻るというのが素晴らしい。娘が1歳になる前に購入したものですから、家族の思い出がいっぱい詰まっています。免許を取った娘がこのクルマを運転したときは、感慨深かったなあ。信頼性の高いこのクルマがあるので、自分と同い年の1953年型ポルシェ356などの旧車も楽しめています」
一方、トラブルは一通り経験したというのは、名古屋から参加の松井將彦さん。「10年ほど前に走行8万4000kmの94年型E280のワゴンを買いました。現在23万kmです。トランスミッションが滑ってバック出来なくなったり、走行中マフラーが落ちたり、ワイパー、方向指示器が動かなくなったりと、いろいろありました(笑)。でも、ずっと乗るつもりです。一番好きなのはリア・スタイル。安定感のある走りも好き」松井さんは1989年ごろドイツで働いていて、124型の組み立てラインを工場見学したのだという。「サンドペーパーを使って、塗装前のボンネットを手で研磨していました。こんなに丁寧に作っているクルマがあるんだ! と驚き、いつかは手に入れようと思いました」
44号車と同じ92年型300TEに乗るのは東京北区からの安井 憲さん。「2016年に走行2万9800kmのものを見つけて飛びつきました。現在5万4000㎞。調子はいいですよ。やっぱり高い剛性感がいいですね。知り合いのクルマ磨き屋さんが124型を熟知していて、ボディ磨きだけでなく、エンジンまで整備してくれています」
担当者と同じ苗字の荒井 純さんは93年型280Eセダンでの参加。「大のクルマ好きだった父が93年に買ったクルマなんです。父は本当に嬉しそうにこのクルマを運転していました。2000年に他界した父のアガリのクルマを引き継いでいます。足回りのブッシュなどを変えると、見違えて新車のときはこうだったんだろうなあと思います。セダンの鏡だと思っています」
みんなでランチを取ったあとは、30万㎞以上走行している参加者の表彰を行った。最も走行距離が多いのは、C200(97年)に乗る石原成浩さん。なんと45万5145㎞! ここに集まった人たちと話をすると20万㎞ぐらいだとまだまだこれから、10万㎞超えは当然という雰囲気があって驚く。クルマが頑丈ということはあるにしても、オーナーの愛がなければ、長く走り続けられないだろう。ここに集まったちょっと古いメルセデス・ベンツは、それぞれのオーナーにとっての永久自動車だと思った。
「アライさん、次は35万㎞で会いましょう!」と、参加者に激励された。44号車のリポートを楽しみにしてくれていることが嬉しい。皆さん、ありがとうございました。
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正 協力=箱根ターンパイク/東急ハーヴェストクラブ天城高原
(ENGINE2019年11月号)
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