村上 一方、シトロエンやDSと違って、イヴォークには、イギリスはやっぱりイギリスなんだなと思わされたね。フランス車のようなラテン的なノリでつくっているクルマじゃない。いまでも女王様がいるカチッとした保守的なクルマづくりのなかでどうしたら新しいデザインができるかを考えた結果できたクルマですよ。いまでも新鮮なデザインだとうけど、それでいてポップだとか弾けてるとかとはまるで違うもの。
齋藤 シトロエンと似てるんだけど、やっぱり初代イヴォークのコンセプト・カーを出したらあまりに評判が良くて、量産したときは尖ってた。マイナーチェンジしてもっと尖るのかと思ったら、つくり込みの良さと洗練させる方に行った。
塩澤 レンジローバーの異端児だったのが、いろいろ経験して、大人になったというのかな。ヴェラールが持つ気品を身に着けたという感じ。
齋藤 乗った印象がまんまそうだよね。初期型のイヴォークなんかロールはしないわ、ステアリング・フィールはダイレクトでギア比は早くてミズスマシみたいに走るわ、まるでスポーツカーみたいだったけど、ヴェラールに相当近づいている。
村上 サヴィル・ロウの服づくりみたいなものだよ。基本に忠実で、文法に沿ってつくられている。
塩澤 フランスは市民革命を起こしてそういう決まりごとをぶち壊して自由を獲得したわけだけど、イギリスは王室を国民が愛しているからね。
村上 今回のイヴォークはほんとに感心した。いいクルマですよ。走りにしてもデザインにしても節度がある。デザインもすごく素敵なんだけどトゥ・マッチではない。
塩澤 オシャレかどうかという視点で見ても、間違いなくオシャレですよ。高級なんだけどちょっとハズシ感もあるところがカッコいい。
齋藤 でもスーパーで買ったジャージでは乗れない(笑)。
塩澤 まあ、ジャージはどうかと思うけど、ダメージ・ジーンズだって少し高いやつで、オシャレには気を使って乗りたいよね。そういう気づかいがカッコよく見えるクルマです。
齋藤 たとえばベンツ、BMW、アウディのドイツ御三家は、高級で質も高くてプレミアムなんだけど、レンジローバーと比べるとオシャレじゃないんだよなぁ。
村上 昔はレンジローバーだってオシャレじゃなかった。それがイヴォークやヴェラールを起点に変わったんだと思う。
齋藤 イヴォークは、シトロエンにとってのC4カクタスみたいなクルマなんだよ。
村上 さて最後はジープ・レネゲードだけど、これは不思議なことにアメリカでもありイタリアでもある。
齋藤 ベースはフィアットのグランデプント。4駆技術はクライスラー。ガッチャンコしてそれぞれレネゲードと500Xにつくり分けた。
村上 そういうのって往々にして上手く行かないことが多いけど、これは良くできてる。
齋藤 アメリカ人とイタリア人ってお互いに憧れを持っているから、仕事はスムーズだったらしいよ。
塩澤 なるほどね、だからさ、レネゲードってマカロニ・ウエスタンなんだよ。
村上 ジュリアーノ・ジェンマが乗ったら似合うかなぁ。
塩澤 古~いよ、それ(笑)。
齋藤 そういう意味では、マイチェン後に出たFFの方がわかりやすい。なんちゃってジープだけど、軽い感じでカジュアルに乗れる。今回のトレイルホークは岩場もガンガン行けるマジもんの4駆だからね。
塩澤 でもそれがオシャレなんだよ。ゲレンデバーゲンだってそうだからね。みんな街で乗ってる。本物志向をあえてファッションとして乗るのがカッコいいんだよ。
齋藤 このクルマのチーフ・デザイナーってジープ愛のすごい人だったんだけど、デザイン・チームに若者ばかりを抜擢して自由にやらせたんだよ。だから面白いクルマができた。そういうところから新しいモノは生まれるんですよ。素晴らしいね。
■レンジローバー・イヴォークRダイナミックHSE
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4380×1905×1650㎜
ホイールベース 2680㎜
トレッド(前/後) 1625/1630㎜
車重 1950㎏
エンジン形式 直列4気筒DOHCターボ
排気量 1995㏄
最高出力 300ps/5500-6000rpm
最大トルク 40.8kgm/2000-4500rpm
トランスミッション 9段AT
サスペンション(前) ストラット
サスペンション(後) ストラット
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 245/45R21
車両本体価格(税込) 761万円
■ジープ・レネゲード・トレイルホーク
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4255×1805×1725㎜
ホイールベース 2570㎜
トレッド(前/後) 1550/1540㎜
車重 1570㎏
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vターボ
排気量 1331㏄
最高出力 179ps/5750rpm
最大トルク 27.5kgm/1850rpm
トランスミッション 9段AT
サスペンション(前) ストラット
サスペンション(後) ストラット
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 215/65R16オールテレイン(試乗車)
車両本体価格(税込) 387万円
話す人=村上 政+齋藤浩之+塩澤則浩(すべてENGINE編集部) 写真=望月浩彦
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.16
ニスモはメーカーによる抽選販売 日産フェアレディZが受注を再開するとともに2025年モデルを発表
2024.11.16
【詳細解説】320iセダンと420iクーペがドライバーズカーである理由を、自動車評論家の菰田潔が語る なぜBMWは運転が楽しいクルマの大定番なのか?