DTM=ドイツ・ツーリング・カー選手権を初めて見たのは2017年の秋。場所は24時間レースでお馴染みのニュルブルクリンク。最初のレースは生憎の雨模様だったが、滑りやすい難しいコンディションにもかかわらず、直線であろうが狭いシケインであろうが至る所でバトルが勃発。ちょっとの隙間さえあればマシンをねじ込もうとする緊張感溢れるレース展開に興奮したのを今でも覚えている。
そんなDTMが日本にやってくる、しかも日本を代表するツーリング・カーレース、スーパーGTのトップ・カテゴリーであるGT500を相手にレースを行うと聞いて居ても立っても居られず、舞台となった富士スピードウェイを目指した。
DTMとスーパーGTによる夢の対決が実現したきっかけは2012年まで遡る。高騰する開発コストを抑制するため、モノコックやエンジン、サスペンション、空力付加物といった主要部品をDTMとGT500のマシンで共通化することが決定。その時から一緒にレースをする案は挙がっていたというが、さらに2017年に"クラス1"という名の完全に同じマシンにすることが決まったことでその話がさらに前進。そして、DTMが2019年から、またスーパーGTが2020年からそれぞれクラス1仕様に移行するのを機に、交流戦が行われることになった。交流戦は今回の富士とドイツ・ホッケンハイムの2戦で、10月に開催されたドイツでのレースはスーパーGTマシンがDTMの最終戦に特別参加するカタチで行われた。
日本にやってきたDTMマシンは全部で7台。残念ながら2019年から参戦を開始したアストン・マーティンは来日しなかったものの、4台のアウディと3台のBMWがグリッドに並んだ。
レースは1回以上のタイヤ交換が義務付けられた55分+1周のレースを土曜と日曜に1回ずつ行うというDTM形式を採用。タイヤは全車がDTMのコントロール・タイヤであるハンコックを履く。
レースは期待通りの大熱戦だった。初めてDTMを見たとき同様、隙があれば場所を問わずどこでも攻めてくる。コース幅の広い富士では3台どころか4台が並んでコーナーへ進入することも……。
とくに圧巻だったのは"インディ方式"のローリングスタート。DTMの再スタート時にも採用されているのだ。15台のスーパーGTマシンを加えた22台が2列縦隊で前後左右の車間をギチギチに詰めた状態でスタートし、1コーナーになだれ込む。この迫力は半端ない。ペース・カーが導入されたおかげで土曜と日曜で計5回のインディ・スタートが行われたが、その度に観客は総立ち。耐久レースの色合いが強いいつものスーパーGTとは違ったスプリント・レースの迫力にお客さんは酔いしれたに違いない。DTMは日本のレースに新たな息吹をもたらしたはずだ。
今後、交流戦をはじめDTMとスーパーGTがどのような関係を築いていくかは定かでないが、今後の展開が楽しみだ。
文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=アウディ・ジャパン、ビー・エム・ダブリュー
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