2020.02.01

LIFESTYLE

クロード・ルルーシュ監督が再びメガホンを 53年後の『男と女』

半世紀以上の月日を経て、恋愛映画の名作『男と女』の続編がつくられた。しかも監督や音楽、主演の2人も当時と同じ。新たな物語は何を伝えるのか?

クロード・ルルーシュが26歳で監督した『男と女』。1966年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得したこの作品は、「ダバダバダ......」 のスキャットで有名なフランシス・レイのテーマ曲とあわせて、今なお世界中の映画ファンの心を掴み続けている。


初公開から53年。ルルーシュが再びメガホンを取った続編『男と女 人生最良の日々』が完成した。主役の2人を演じるのは90代を目前にしたジャン=ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメ。映画の完成を待たずして亡くなったフランシス・レイが新楽曲を提供するなど、ファンにと ってはまさに奇跡のような作品に仕上がっている。


海辺の施設で余生を送る元レーシング・ドライバーのジャン・ルイ。過去の記憶を失いつつある彼のもとに、かつての恋人アンヌが訪ねてくる。本人だと気づかぬまま、アンヌへの想いを語りはじめるジャン・ルイ。再び心を通いあわせた2人は、彼女のシトロエン2CVでドライブに出かける。


彼らがたどり着いたのは、2人が初めて結ばれたノルマンディのホテル。そこに置かれていたのは、ジャン・ルイ が運転していたフォード・マスタングだ。これは夢なのか、それとも現実か?2人のドライブは、50余年前の記憶を次々に呼び覚ましていく。


劇中では、『男と女』の名場面や、ルルーシュが明け方のパリを車載カメラで捉えた1976年の短編映画『ランデヴー』の映像がフラッシュ バックのように現れる。現代の物語に、過去の映像、そして音楽を巧みにシンクロさせた仕掛けが見事だ。


ジャン・ルイとアンヌが様々な思いを抱えながら過去を振り返ったように、自らが歩んできた人生をこの作品に重ね合わせる人は多いだろう。だが2人の胸の内にあるのは後悔ではなく、懐かしくも輝かしい記憶である。その前向き な姿勢は、本作のタイトルに 使われた、文豪ヴィクトル・ユ ーゴーの言葉にも表れている。


「最良の日々はこの先の人生に訪れる」。


ジャン・ルイとアンヌの現在を描く『男と女 人生最良の日々』。実は『男と女』には2人の20年後を描いた『男と女II』という作品もあるが、今回の作品はオリジナルの続編という位置づけとなる。1作目でジャン・ルイとアンヌの子供たちを演じていた役者が、本作品でも同じ役で出演している。90分。配給ツイン。

1月31日(金)よりTOHOシネ マズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー


© 2019 Les Films 13 - Davis Films - France 2 Cinéma

文=永野正雄(ENGINE編集部)

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