2020.02.05

CARS

【試乗】ジャガーXEディーゼル4WDの2020年モデル オールマイティなGTサルーンだ

マイナーチェンジで内外装がぐっとスポーティな装いになったジャガーXEで年明けのUターン・ラッシュで大混雑の東海道を一気に500㎞ほど走ってみた。
外観は前後バンパーとLEDライトのデザインが新しくなり、改良前に比べ迫力が増した。


数年前の雪上試乗会で味わった、4WDのジャガーXEの身のこなしが今も忘れられない。普段は頑として滑るそぶりを見せないのに、スラローム・コースでモードをダイナミックに切り替え、トラクション・コントロールを解除したとたん、一気にテール・スライドを許容する。慣れると思うままに向きを変えられるのが、面白くてたまらない。


ただその代わり、ドライ路面のステアリング・フィールは後輪駆動モデルにわずかに及ばないな、と思った。ややスロウに感じられるが、決して反応が鈍いわけではなく、操舵の量とノーズの動きの関係がきちんと同期していて、飛ばせば飛ばすほど、道路の曲率が小さくなればなるほど、その特性がありがたく感じられるステアリングの味つけは、後輪駆動のジャガーの美点であり、エントリー・モデルのXEにもきちんと受け継がれている。低μ路で安定している上に、時にスリリングさも楽しめる4WDを取るか、それともオンロードでのステアリング・フィールを重視し、後輪駆動にするか。それはかなり悩ましい選択だったのだ。


ところが最新のXEディーゼル4WDに乗ったら、そんな迷いはすっかり晴れた。巡航速度が高く強い雨の降る第二東名や、路面温度が氷点下になる深夜の箱根越えも、4輪駆動らしくなんなくこなすいっぽうで、ステージがワインディングになれば、ステアリングを切ったら切っただけ、まさに意のままに鼻先が動くのである。


2ℓディーゼルはサウンドとフィールはもう少し色気があってもいいかな、とは思うものの、力強さにかけては申し分ないし、制御が緻密な8段ATとの相性もよく、1.8トン近い車体を余裕を持って引っ張っていく。それでいて、小食なところも素晴らしい。意図的に省燃費走行をすることはまったくなかったけれど、約500㎞走って積算燃費計の数値が15㎞/ℓを下回ることはなかった。


これぞオールマイティなGTサルーンだ。機会があればぜひ、もう一度雪上でお相手したいものである。


室内は円筒形のシフト・セレクターが姿を消し、スポーツ・タイプのシフト・ノブを採用。ステアリング・ホイールも下部のスポークが肉抜きされたIペイスとよく似たデザインとなった。


中央モニターに4輪の駆動力配分をリアルタイムで表示できるが、オンロードでも予想以上に細かく前輪へ駆動力を伝える。



価格は2ℓガソリン(250㎰または300㎰)が555万円〜723万円。2ℓディーゼル(180㎰)が529万円〜656万円。基本は後輪駆動だが、ディーゼルのSE(579万円)とRダイナミックSE(617万円)にのみ、オンデマンド式の4WDが設定されている。今回試乗したのは前者のSEで、19インチ・ホイールやスライディング・ルーフをはじめとする244万1000円のオプションを装着していた。


文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=阿部昌也


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