コンスタンチン・リフシッツ は1976年ウクライナ生まれ。5歳からモスクワで学び、やが てイギリス、イタリアなどでも 歴史に名を残す偉大なピアニストに師事するようになる。
10代のころからその天才的なピアニズムが注目され、著名な指揮者や各地のオーケストラと共演し、才能を開花させた。
「私はとりわけバッハを愛していますが、ベートーヴェンも心に近い作曲家。でも子どものころはベートーヴェンはあまり好きではなく、モーツァルトの方が入りやすい世界でした。大人になるにつれ、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの世界に魅了されるようになり、いまではなくてはならない存在です」
4月から始まる首都圏8会場での来日公演では、テーマを基に3〜5曲ずつ振り分けた、ピアノ・ソナタの全曲演奏を披露する。
「ベートーヴェンのソナタは暗く悲愴感ただようものが多い。私はその部分に惹かれるのです。ベートーヴェンは過酷な人生のなかで生きるとは何か、自分がやるべきことは何かと、いつも自問自答していました。それが作品に全面的に投影され、私の心を無性にとらえるのです」
以前リフシッツはヴァイオリンの樫本大進と組み、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏を行ったが、そこでは作品の奥に潜む狂気に肉薄、驚くべき解釈を示してファンをうならせた。
「ベートーヴェンのピアノ・ソナタはタイトルの付いた有名な作品がいくつもあります。《悲愴》《月光》《熱情》《ハンマークラヴィーア》など。でも、それ以外の演奏される機会に恵まれないソナタにも注目すべき点が多い。ベートーヴェンは演奏をただ聴くだけではなく、聴き取ることを要求する作曲家。当時の伯爵や公爵に捧げた曲も多く、そこには交流人物を通して歴史的な背景が見えてくる。私はベートーヴェンの時代へ旅する気持ちで演奏しますから、聴いてくださる方も一緒に旅をしていただけたら最高です」
ベートーヴェンのピアノ・ソナタでは、特に最後の第30番から32番までが作曲家としての集大成とも称される。
「この3曲は、完全に納得する演奏になるまで長い時間を要します。ベートーヴェンの人生すべてが凝縮されているからです。別離、死、苦悩などが濃密に投影され、魂の最後の旅を描き出しているよう。それらを演奏するにはただ楽譜と対峙するだけではなく、幅広い知識と解釈、表現が必要不可欠。奏者の人生もまた露わになってしまうから。実に怖い作品です」
リフシッツがピアノ・ソナタ全32曲を演奏する『ベートーヴェンへの旅』は、よこすか芸術劇場 (4/25)、桜木町/神奈川県立音楽堂(4/26)、青葉台/フィリアホール(4/29)、狛江エコルマホール (5/2)、三鷹/武蔵野市民文化会館 小ホール(5/3)、上野/東京文化会館 小ホール(5/4)、所沢ミューズ アークホール(5/6)、ウェスタ川越 大ホール (5/8)で開催。
詳細はホームページまで。
www.japanarts.co.jp/Lifschitz2020/
文=伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)
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