2020.03.18

LIFESTYLE

アーティゾン美術館がオープン 美術館ハシゴのすすめ

2015年に休館した東京・京橋のブリヂストン美術館が、アーティゾン美術館としてオープンした。徒歩圏内には他の美術館もあり、ハシゴしてまわるのも一興だ。
美術館は新しく建設された「ミュージアムタワー京橋」の低層階(1F〜6F)に位置する。展示室の面積は旧美術館の約2倍に拡張されている。オリジナル開発のLED照明や高透過合わせガラスを展示ケースに使用するなど、最先端の技術がさりげなく投入されている。

美術館を「ハシゴ」することが多い。職業柄というわけではなく、単に無精者だから。ふとカレンダーを見ると、見たい展覧会の最終日だったりすることばかり。そんな日は2〜3館の美術館を一日でまわったりするのだが、実はそんなに大変ではない。というのは、東京は美術館が密集し、移動がしやすい土地だから。


そのなかでも、東京ステーションギャラリー、三菱一号館美術館、三井記念美術館などがある東京駅周辺はハシゴ初心者におすすめしたい場所。この1月にはアーティゾン美術館が開館、いっそう美術館めぐりが楽しくなってきている。


アーティゾン美術館とは、1952年から2015年まで京橋にあったブリヂストン美術館が改称したもの。アーティゾンとは、アートとホライゾン(地平)を組み合わせた造語だ。世界的にも知られているブリヂストンという冠を外し、あえて耳慣れない言葉をわざわざ作り、名乗るというチャレンジスピリッツに感服する。


そして、このスピリッツは美術館のあらゆる所で感じとることができる。まず入場は、来館前にチケットを予約する日時指定予約制。入場者数に上限を設けているため、過度に混雑することがない。また、これまでの人気だった印象派を中心としたコレクションに加え、抽象画などの20世紀美術、現代美術、日本の近世美術も新しく収蔵した。


倉俣史朗がデザインした椅子も展示室に

開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」は、収蔵品だけで構成されているにもかかわらず、美術の流れを俯瞰できる構成となっている。館内に置かれている 椅子は、国内外で活躍したインテリア・デザイナーの倉俣史朗の手掛けたもの。 疲れてはいないけれど、ゆっくり座り込んでしまう。


写真撮影OKの展示室でのんびりしたら、外を眺められるビューデッキやカフェでさらにのんびり。半日以上は過ごすことができる。そして、なにより素晴らしいのが、この美術館に半日以上滞在しても、近所の美術館に寄れる時間はたっぷりあるということ。美術館が密集している土地だからできるすばらしいことだ。


美術館をハシゴする休日はとても楽しい、ぜひ一度は試してみてほしい。


ヴァシリー・カンディンスキー  《自らが輝く》1924年

20世紀前半に活躍したロシア出身の画家。抽象絵画の創出と発展に大きな役割を果たす。ワイマールの美術学校バウハウスに勤 務時に制作された作品で、美術館の新収蔵品の一つ。 油彩・カンヴァス 69.5×59.5cm  石橋財団アーティゾン美術館蔵

メアリー・カサット 《日光浴(浴後)》1901年

アメリカ出身の女性画家。印象派の画家、ピサロとの出会いにより、自らも印象派展に出品するようになる。母子像は彼女が生涯描き続けた画題。美術館の新収蔵品の一つ。 油彩、カンヴァス 73×93cm 石橋財団アーティゾン美術館蔵

エドゥアール・マネ 《自画像》1878-79年

2点しか存在が確認されていないマネの自画像 のうちの1点。塗り残しや筆跡をあえて残すという、当時としてはタブーに近い描き方は、後の印象派やゴッホに影響を与えた。 油彩・カンヴァス 95.4×63.4cm  石橋財団アーティゾン美術館蔵

アーティゾン美術館 開館記念展「見えてくる光景 コレクションの現在地」は3月31日まで開催中

アーティゾン美術館 東京都中央区京橋1-7-2  TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
詳細はHPまで www.artizon.museum


文=浦島茂世(美術ライター)


(ENGINE2020年4月号)


 


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