2020.03.06

CARS

【試乗記】BMW アルピナXD4に九島辰也らが試乗! 「ディーゼルとは思えない」

BMW アルピナ XD4とは、どんなクルマ?

BMWがM550dや750dなどに搭載している直6ディーゼルの最高性能版である2ステージ4ターボ仕様の3リッターユニットに、アルピナがさらに手を入れたエンジンを載せたXD4は、昨年秋の東京モーターショーで日本市場導入が発表された。BMWジャパンは4ターボ仕様の直6ディーゼルを搭載したモデルを輸入していないので、このアルピナXD4が事実上、4ターボ直6ディーゼルの初上陸となる。最高出力は388ps/4000-5000rpm。最大トルクは78.5kgm/1750-3000rpm。変速機はスイッチ・トロニック付きの8段ATとなる。0-200km /h加速をわずか17.7秒でこなし、巡航最高速度は268km/hに達する。まさにスーパーSUVだ。車両価格は1094万円(税込)。


九島辰也の意見! 「ディーゼルとは思えない」

このクルマのスゴイところは、まずアルピナだということ。90年代からこのブランドと関わっているが、クルマづくりには半端ないこだわりと技術を持っている。乗り心地や操作フィールはどこまでも優しく、それでいてかなりスポーティな走りをするのだから恐れ入る。BMW Mロードスターに乗っていたことがあるが、"M" とは明らかに異なる路線でドライバーを楽しませてく れるのだ。


でもって知名度は高く、ヨーロッパを中心にステイタスの高さも広く浸透している。「アルピナ・オーナー」 と名乗っただけで、相当なクルマ好きとして認知されるはずだ。そして次にスゴイのはディーゼル・エンジン。というのも、それとは思えない軽快でパワフルな走りを見せる。BMW製3リッター直6をベースに4基のターボで過給したユニットは最高出力388psを発揮する。これはX4 M40iを凌ぐ数値。で、当然吹け上がりの気持ち良さは秀逸。トルクが前面にくるディーゼルとは思えない味付けに、ただただ心酔する。



桂 伸一の意見! 「バラ色の世界へと誘う」

厳格さと優雅さの融合。アルピナのプレミアム性は独特な空気感に溢れる。クーペSUVのXD4が積む直6 3.0ℓクワッド・ターボ・ディーゼルは388ps/78.5kgmを誇る。最大トルクの発生回転はわずか1750〜3000rpm。ゼロ・スタートからモリモリと湧き上がる低速トルクの力強さに惚れ惚れする。直6ディーゼル・サウンドはバランスの整った音色だが重厚感も満点。


0-100km/h加速は4.6秒で、アクセル・ペダルを踏み込んだ瞬間、バラ色の世界に変わる。5000rpmまで回せるアルピナ・チューンのエンジン特性は低速〜中速を重視する。街乗りから郊外路峠道でも重要なのは低中速トルクだから。ゼロ・スタートで唐突なダッシュはしない。動き出しはあくまでもジェントルだが、そこからトルクが盛り上がり、車速が高まるにつれドラマチックで驚愕の速さへと転じる。4輪で駆動トルクは伝達されるが、接地感の高さと曲がる能力の確かさは、ベースのBMWの特性を増幅する。スポーツ・モードを選択すると「M」の雰囲気が顔を出す点がおもしろい。



大谷達也の意見! 「新たな扉を開いた」 

アルピナの本質はベースとなったBMWをさらに高性能に仕立てると同時に徹底的に洗練した点にあるが、このXD4はアルピナらしい深い味わいとBMW本来の持ち味が見事に溶けあってまったく新しい世界を生み出している。乗り心地を一例に挙げれば、これまでは足まわりの動き出しの初期が驚くほど滑らかでハーシュネスを感じさせない部分がアルピナ風、その先でボディのロールを抑えるようにぐっと減衰力を高める感じがBMW風と解釈できたけれど、XD4はその境目が消えてどこまでもスムーズな印象だけが心に残る。それでいてハード・コーナリングではしっかりロールを抑え込んでくれるのだから頼もしい。


3ℓ直6のターボ・ディーゼルはひとつひとつの爆発が生み出す鼓動が消えて絹のように滑らか。アルピナが目指す洗練にBMWが追いついたのか、いまのBMWに合ったチューニングをアルピナが施したのかはわからないけれど、ラグジュアリー・カーの洗練度についてアルピナが新たな扉を開いたのは間違いないような気がする。



藤野太一の意見 「リーズナブル!」

昨年の東京モーターショーでジャパン・プレミアされたXD4は、アルピナ初のSUVクーペだ。3リッター直列6気筒ディーゼル・エンジンに4基のターボ・チャージャーを組み合わせ、最高出力388ps、最大トルク770Nmを発揮。0-100km/h加速は4.6 秒 と、スペックを聞くと少々身構えてしまうけれど、意外なほどに乗りやすい。22インチの大径ホイールに電子制御ダンパーを備えたスポーツ・サスペンションを組み合わせているが、走行モードはコンフォート・プラスからスポーツ・プラスまでと幅広く、市街地でも快適な乗り心地を実現している。そもそもBMWジャパンではX4にディーゼル・モデルを設定しておらず、その組み合わせを望む人にとっては待望の1台だ。


また左ハンドルのみの設定だが、いまどきは右でもオフセット量は減ったものの、彼の地のクルマだけに本国仕様の座りの良さは格別だ。この個体は1385万円。BMWのX4Mが1324万円で買えるが、アルピナの年間生産台がわずか1600〜1700台にすぎないことを思い出してほしい。そんな希少なアルピナがこの価格で手に入るのならば、リーズナブルだと思う。


(ENGINE2020年4月号)

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