BMWがM550dや750dなどに搭載している直6ディーゼルの最高性能版である2ステージ4ターボ仕様の3リッターユニットに、アルピナがさらに手を入れたエンジンを載せたXD4は、昨年秋の東京モーターショーで日本市場導入が発表された。BMWジャパンは4ターボ仕様の直6ディーゼルを搭載したモデルを輸入していないので、このアルピナXD4が事実上、4ターボ直6ディーゼルの初上陸となる。最高出力は388ps/4000-5000rpm。最大トルクは78.5kgm/1750-3000rpm。変速機はスイッチ・トロニック付きの8段ATとなる。0-200km /h加速をわずか17.7秒でこなし、巡航最高速度は268km/hに達する。まさにスーパーSUVだ。車両価格は1094万円(税込)。
このクルマのスゴイところは、まずアルピナだということ。90年代からこのブランドと関わっているが、クルマづくりには半端ないこだわりと技術を持っている。乗り心地や操作フィールはどこまでも優しく、それでいてかなりスポーティな走りをするのだから恐れ入る。BMW Mロードスターに乗っていたことがあるが、"M" とは明らかに異なる路線でドライバーを楽しませてく れるのだ。
でもって知名度は高く、ヨーロッパを中心にステイタスの高さも広く浸透している。「アルピナ・オーナー」 と名乗っただけで、相当なクルマ好きとして認知されるはずだ。そして次にスゴイのはディーゼル・エンジン。というのも、それとは思えない軽快でパワフルな走りを見せる。BMW製3リッター直6をベースに4基のターボで過給したユニットは最高出力388psを発揮する。これはX4 M40iを凌ぐ数値。で、当然吹け上がりの気持ち良さは秀逸。トルクが前面にくるディーゼルとは思えない味付けに、ただただ心酔する。
厳格さと優雅さの融合。アルピナのプレミアム性は独特な空気感に溢れる。クーペSUVのXD4が積む直6 3.0ℓクワッド・ターボ・ディーゼルは388ps/78.5kgmを誇る。最大トルクの発生回転はわずか1750〜3000rpm。ゼロ・スタートからモリモリと湧き上がる低速トルクの力強さに惚れ惚れする。直6ディーゼル・サウンドはバランスの整った音色だが重厚感も満点。
0-100km/h加速は4.6秒で、アクセル・ペダルを踏み込んだ瞬間、バラ色の世界に変わる。5000rpmまで回せるアルピナ・チューンのエンジン特性は低速〜中速を重視する。街乗りから郊外路峠道でも重要なのは低中速トルクだから。ゼロ・スタートで唐突なダッシュはしない。動き出しはあくまでもジェントルだが、そこからトルクが盛り上がり、車速が高まるにつれドラマチックで驚愕の速さへと転じる。4輪で駆動トルクは伝達されるが、接地感の高さと曲がる能力の確かさは、ベースのBMWの特性を増幅する。スポーツ・モードを選択すると「M」の雰囲気が顔を出す点がおもしろい。
アルピナの本質はベースとなったBMWをさらに高性能に仕立てると同時に徹底的に洗練した点にあるが、このXD4はアルピナらしい深い味わいとBMW本来の持ち味が見事に溶けあってまったく新しい世界を生み出している。乗り心地を一例に挙げれば、これまでは足まわりの動き出しの初期が驚くほど滑らかでハーシュネスを感じさせない部分がアルピナ風、その先でボディのロールを抑えるようにぐっと減衰力を高める感じがBMW風と解釈できたけれど、XD4はその境目が消えてどこまでもスムーズな印象だけが心に残る。それでいてハード・コーナリングではしっかりロールを抑え込んでくれるのだから頼もしい。
3ℓ直6のターボ・ディーゼルはひとつひとつの爆発が生み出す鼓動が消えて絹のように滑らか。アルピナが目指す洗練にBMWが追いついたのか、いまのBMWに合ったチューニングをアルピナが施したのかはわからないけれど、ラグジュアリー・カーの洗練度についてアルピナが新たな扉を開いたのは間違いないような気がする。
昨年の東京モーターショーでジャパン・プレミアされたXD4は、アルピナ初のSUVクーペだ。3リッター直列6気筒ディーゼル・エンジンに4基のターボ・チャージャーを組み合わせ、最高出力388ps、最大トルク770Nmを発揮。0-100km/h加速は4.6 秒 と、スペックを聞くと少々身構えてしまうけれど、意外なほどに乗りやすい。22インチの大径ホイールに電子制御ダンパーを備えたスポーツ・サスペンションを組み合わせているが、走行モードはコンフォート・プラスからスポーツ・プラスまでと幅広く、市街地でも快適な乗り心地を実現している。そもそもBMWジャパンではX4にディーゼル・モデルを設定しておらず、その組み合わせを望む人にとっては待望の1台だ。
また左ハンドルのみの設定だが、いまどきは右でもオフセット量は減ったものの、彼の地のクルマだけに本国仕様の座りの良さは格別だ。この個体は1385万円。BMWのX4Mが1324万円で買えるが、アルピナの年間生産台がわずか1600〜1700台にすぎないことを思い出してほしい。そんな希少なアルピナがこの価格で手に入るのならば、リーズナブルだと思う。
(ENGINE2020年4月号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.16
ニスモはメーカーによる抽選販売 日産フェアレディZが受注を再開するとともに2025年モデルを発表
2024.11.16
【詳細解説】320iセダンと420iクーペがドライバーズカーである理由を、自動車評論家の菰田潔が語る なぜBMWは運転が楽しいクルマの大定番なのか?
advertisement
2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement