V12エンジン搭載モデルでなんとか生き長らえたランボルギーニに飛躍をもたらしたV10モデルのガヤルド。そのガヤルドの正統な後継機種として投入されたのがウラカンだった。ウラカンはガヤルドにも優る成功を収め、ドル箱となった。そのウラカンに最新の知見や新技術を織り込んで大幅にブラッシュアップしたのがウラカン・エヴォである。搭載されるエンジンは引き続き、自然吸気の5.2ℓV10。最高出力は640㎰まで引き上げられている。車両統合制御装置に予測制御が導入されたのも新しい。後輪操舵機構も採用された。全長×全幅×全高=4520×1933×1165㎜。ホイールベース=2620㎜。ウラカン・エヴォの車両価格は3282万7601円(税込)。
ウラカンEVOは、心臓部にウラカン史上最強を誇るV10 5.2ℓエンジン×7段デュアル・クラッチ・トランスミッションを搭載した4輪駆動モデル。エンジンを始動する時は、まるでミサイルの発射スイッチの操作を思わせるような儀式から始まり、次にステアリングの脇にあるパドルを引いて、ギアを1速に入れると蠢き始める。アクセル操作はペダルの一部にわずかに込めた力を的確に汲み取り、ドライバーが欲しいだけの力をタイヤに伝えて、思い描いた姿勢を作り出していく。
踏みこむと一瞬、頭を痺れさせる豪快なサウンドを奏でてドライバーの本能を呼び覚まし、次の瞬間にはめくるめく官能の世界に引き込まれてしまっている。道路の継ぎ目やうねりなど、路面から車体が受ける外乱をモノともせずにピタリと姿勢を収めて走るボディと足回り。強大なパワーを余すことなく路面に伝えて走る様は"しなやか"という言葉さえ脳裏に浮かぶほど。隅々に気持ちが行き渡る抜群の操縦性は、自分の手足がクルマの一部になったかのような感覚を覚えさせた。

見るからに「走る異端児」というたたずまいのウラカン。でも、乗ると意外なほど従順な性格であることがまたたく間に知れ渡り、発売から5年で1万4000台をロールアウト。これはランボルギーニ史上最速の記録達成という。そんなウラカンのマイナーチェンジ版がEVO。その国際試乗会に参加したときは、サーキットで思いのままにパワー・オーバーステアを引き出せるコントロール性の高さに衝撃を受けたが、改めて日本で乗ると先代よりも乗り心地が一段と改善されたことに驚かされる。
ランボルギーニの技術部門を率いるマウリツィオ・レッジャーニさんは「新しいダンパーは高い周波数域でもスムーズに作動する」と教えてくれたけれど、なるほど足の動き方がこれまでよりもしっとりとしていて快適。冗談抜きで普段遣いに使える乗り心地だ。いっぽうで8500rpmがリミットのV10エンジンを回したときの咆吼は背筋がゾクゾクするほど刺激的。この野性味溢れるエンジンを日常的に楽しめるところがウラカンEVOのもう1つの魅力といえる。
まるでテクノロジー・ショーケースのごとき最新メカニズムを標準装備するウラカンEVO。しかし、そんな特徴的なハードウェア以前に「このモデルならではの凄さを挙げよ!」と問われれば、そこではアヴェンタドールやウルス同様、「いかにもランボルギーニならでは」と表現できる、決して他のブランドの作品と見紛うことのないエクステリアのデザインを採り上げるしかない。ポルシェのように"温故知新"に囚われることはなく、一方でマクラーレン車のように"テクノロジー・オリエンテッド"の追求を迫られた感なども受けないその仕上がりは、いかにもこのブランドの作品らしい「孤高の先鋭性」を連想させられる。それを最高の空力性能と両立させたところが、このモデルの凄さでもある。
実際、富士スピードウェイのGPコースで走りのポテンシャルを解放させた際の印象は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。V10ユニットが放つ大サウンドを浴びつつストレートをフル加速するシーンは、忘れることなど出来ない官能の刹那そのものだったのだ。

その名のとおりウラカンの進化版。「ペルフォルマンテ」譲りの5.2リッターV10エンジンを搭載し、従来型の「LP610-4」と比べ最高出力は30㎰、最大トルクは40Nm向上、640㎰/600Nmを発揮する。ドライブ・モードでもっともコンフォートな「ストラーダ」を選択しておけば、足回りの動きもスムースで一般道での乗り心地も悪くない。「スポーツ」を選択すると、エンジンのレスポンスが高まり、リヤのディフューザーから突き出たスーパースポーツ・エキゾーストが咆哮をあげる。
いまこのウラカンはもとより、姉妹車のアウディR8もモデル末期にもかかわらず販売台数が伸びているのだという。世界の愛好家たちが、5.2リッターV10の自然吸気エンジンを思う存分味わうために残された時間はそれほど多くないと感じてのことだろう。8000rpmまで一気に吹け上がるV10など、本当にこれが最後かもしれない。ノスタルジーな部分だけでなく、後輪操舵機構や4輪トルクベクタリング・システムなどを統合制御する「LDVI」など先進機能を備えている点も魅力だ。

やっぱりランボルギーニって、もうランボルギーニなだけでスゴイと思うんです。水戸黄門の印籠みたいな感じで、もう名前だけでやられちゃうんですよね。そして、あのスーパーカー然としたスタイリングでしょ、パワースペックなんて640㎰/600Nmですもの。本気出したらその辺じゃアクセル・ペダル3センチくらいまでしか、扱いきれません。でも高鳴る気持ちを抑え込めば、本当に乗りやすいクルマになったんですよ。
最高の走りと快適性を予測しながらコントロールしてくれる統合制御装置のおかげで、ついついランボルギーニであることを忘れちゃうくらい(笑)。ストラーダ・モードに入れておけば静かだし、「ちょっとコンビニで飲み物買ってく?」とか「ファーストフードのドライブ・スルー寄っちゃう?」くらいの感覚で乗れちゃうから、渋滞も苦にならないと思います。もちろんスポーツ・モードとかコルサモードに入れちゃうと、オラオラ系のとんでもないことになりますので、そのあたりは大人になってお付き合いする必要はありますけれど。
(ENGINE2020年4月号)
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