室内は、外から想像するよりもさらにモダンだ。撮影に配慮して、普段は床にある赤ちゃん用のマットや玩具は片付けられているが、それにしても生活を感じない部屋である。単にモノが無いからだけではない。エアコンも暖房機器も見当たらなければ、天井に照明用の器具が一つもないのだ。SFに登場する宇宙船のような空間である。そしてガラスの向こうにクルマとバイクが……。
こうしたスタイルにたどり着いたのは、窪田さんが中学生の頃から雑誌「カースタイリング」を貪り読み、カーデザイナーを志していた事と大きく関係している。そのデザイン哲学は独特だ。
天ぷらにも対応するキッチン
それでも多くの人は気になるだろう。普通にこの家で暮らしていけるのかと。窓掃除だけでも大変そうだ。「掃除して一部だけキレイにすると、そうでない所との差が分かってしまいます。ところが、大きな面積のガラスを、全く掃除しないで放置しておいても、案外気にならないものですよ」と、何もしないのが窪田流。竣工以来一度も窓掃除をしたことがないというが、汚れは全く気が付かなかった。
シンプルな家だけに、普段の部屋の掃除も簡単で、食事に揚げ物も頻繁に登場するとか。見かけから想像するのと大違いで、普通の感覚で住めるようだ。ただ、予想外のことがあったという。「家を建てたと聞いて、ふらっとやってきた友人がなかなか帰らないんです。きっと居心地がいいのでしょう」
なるほど。言われてみて納得するところが多い。このウルトラモダンな家に暮らして、少し古いクルマ好きの藤原さんは、今後どんなクルマを選んでいくのだろう。これからが気になるところだ。
■建築家:窪田勝文 1957年山口県生まれ・日本大学卒業。1988年に窪田建築アトリエを設立。生まれ故郷の岩国を拠点に住宅を中心に設計。権威ある海外の賞を数々受賞するなど、国際的に評価が高い。手がけた建築が、ホンダジェイドのCMバックに使われたことも。大のクルマ好きで、それが作品にも投影されている模様。情報公開した記憶がないのに、「窪田さん、ポルシェ乗っていますよね」と、ポルシェオーナーから住宅設計の依頼が来たこともあった。
■お知らせ:雑誌『エンジン』の大人気企画「マイカー&マイハウス」の取材・コーディネートを担当しているデザイン・プロデューサーのジョースズキさんのYouTubeチャンネル「東京上手」がスタート。第1回配信は、今回紹介した物件を、5年後に再び訪ねるという見どころ満載の内容。必見です!
文=ジョー スズキ 写真=山下亮一
(ENGINE2017年3月号)
▶︎過去の連載一覧
マイカー&マイハウス 記事一覧
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2024.12.02
CARS
順調な開発をアピールか? マツダ次世代のロータリー・スポーツ、アイ…
PR | 2024.11.27
CARS
14年30万kmを愛犬たちと走り抜けてきた御手洗さんご夫妻のディス…
2024.11.24
CARS
これこそ本物のドライバーズ・カーだ! メルセデス・ベンツEクラスと…
2024.11.23
LIFESTYLE
森に飲み込まれた家が『住んでくれよ』と訴えてきた 見事に生まれ変わ…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
advertisement
2024.11.25
アウディRS3、VWゴルフRと頂点を争うホットハッチ、メルセデスAMG A45が終焉を迎える
2024.11.27
20年前のクルマとは思えないほど良好なコンディション アルファ・ロメオ156 GTAに乗る湯浅洋司さん やっぱりエンジンが素晴らしい!
2024.11.25
G-SHOCKと青春を過ごしたすべての人に! 日本の伝統技術が生かされた64万9000円のG-SHOCK
2024.11.27
いま旬は、コンパクトなサイズ ケース直径36.5mmのグランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS
2024.11.23
森に飲み込まれた家が『住んでくれよ』と訴えてきた 見事に生まれ変わった築74年の祖父母の日本家屋 建築家と文筆家の夫妻が目指した心地いい暮らしとは?