2020.08.11

CARS

飯田裕子さん/アウディの歴史的名車RS6アバントが私の人生を変えた 衝撃的な大パワーに圧倒的な安心感!

5L V10ツイン・ターボを搭載する2代目は2007年にデビューした。最高出力580ps、最大トルク66.3kgmという高性能4WDで、0-100㎞/h加速4.6秒という俊足を誇る。

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それぞれの人生で出会った「決定的なクルマ」について綴ったエッセイです。自動車ジャーナリストの飯田裕子さんが選んだのは、「アウディRS6アバント」。人生を変えたクルマの物語をどうぞお楽しみください。


4WDへのリスペクト!

ロータス・エリーゼ、アウディA5クーペなど、印象深いクルマは多いけれど、4WDへの尊敬をゆるぎないものにしたアウディRS6アバントが最も衝撃的だったのです。


人生を変えるような衝撃のクルマ。色々とあって悩む。例えば、こんなクルマが公道を走るのか、と目を丸くし、今乗っても笑顔が止まらないロータス・エリーゼ。フロアにシートを直付けしたレーシング・カーのような無骨さとともにドライブ・フィールがもたらすピュアさはたまらなく快感。特定のクルマではないけれど、20年くらい前にイタリアのクラシックカー・ラリーに参加して以来、私のクルマ人生は往年のクルマたちによって彩りが増し、ミニカー・コレクションが始まったことも女性にとってはまさか! な劇的変化。加えて、クラシックカーへの見る目が変わったことで、長らく丸いお尻がキュートなポルシェ356が私の愛しのロビンフッド様である。内外装のカラーやデザインに魅了され所有していたアウディA5クーペはV6 3.2L〝NAエンジン〟がきっかけでNAエンジンの魅力を再認識。私の価値観を変えた印象に残る1台であることは間違いない。


と、色々考えた結果、2世代目のアウディRS6アバントを挙げたいと思う。アウディではクワトロと呼ぶ4WDへのリスペクトを揺るぎないものにするきっかけとなったのがこのRS6だった。それまでもクワトロの前後トルク配分の変化によって得られるスポーティなハンドリングは素晴らしく、しかしアウディにとっては当然のことのように捉えていた私。ところが5LV10ツイン・ターボを搭載し580psを発揮するRS6は当時、R8よりもパワフルで、それらの性能を日本で確認しようと思っても機会はなかなかない。


エンジン性能に向いていた意識に圧倒的な安心と信頼性を上乗せして体験できたのがドイツのアウトバーンだった。空いているタイミングを見はからって最高速までアクセルを踏み込み、しばらく最高速を維持したまま走行することもできた。ココで重要なのは最高速に至るまでの走行安定性だ。それまでも主にFRモデルでアウトバーンを走ったことがあったけれど、こちらが追い越し車線を高速で一定走行もしくは加速中、走行車線から車線変更をしそうなバイクやクルマたちの「車線変更しようかな」的な意思を表す挙動(タイヤの動きでさえ)を視界のなかに感じるだけでアクセルを緩める必要がある。230~240㎞/hを超えたあたりになるとアクセルを緩める加減によって足下が不安定になりそうな不安を抱き、突然アクセルをガバッと緩めるなんてあり得ない。ところがクワトロを標準採用する580psのRS6アバントは不安定になりそうな不安スピードゾーンが1枚も2枚も上手だったのだ。「うふふっ、速いクルマ、大パワー/トルクを持つクルマに4WDって安心ね」。衝撃的な体験を「うふふっ」、と表現できるのがポイントだ。


さらに確信を持ったのが南アフリカのサーキットでポルシェの4WDモデルばかりを集めた試乗会。速さもコーナリング性能についても異論を唱える人はいないであろうモデルの試乗会に及び腰で参加したら、走って、曲がって、止まって、タラララ~ン。ますます4WDの偉大さをすり込まれる機会となった。


と、近年の体験をもとに人生を劇的に変えた出来事を紹介させていただいたけれど、実は私、スバルWRX タイプRA STi(GC型)の元オーナー。ワインディングはもちろんダートラ場や氷上で素晴らしいハンドリングを、ガス欠心配するほど楽しんでいた。しかしこの頃はまだ若かったですね。4WDへの認識はまだまだでした。それでもこの仕事を続けてきたおかげで、4WDの理解も深まり視野も広がったのだと思う。


このように私の価値観や印象を劇的に変えてくれた4WDにリスペクトを抱きながら、今は2.7LNAエンジン+6MTでMR、まあまあ丸尻なポルシェ・ボクスターを愛して止まない。これまたこれまでの経験を踏まえ、私のクルマ選びを劇的に変えた結果である。


文=飯田裕子(自動車ジャーナリスト)


・Twitter→@Iida_Yuko


(ENGINE2020年7・8月合併号)

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