東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」。日本を代表するクリエイターたちの貴重なスケッチや図面、模型などから、彼らの創造のプロセスを垣間見る。
「新しい日常」を送るため、美術館は変革を余儀なくされている。新型コロナウイルス感染拡大を回避するため、入場方法や展示方法を改善しなければならなくなったからだ。日本博物館協会が発表した「博物館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」には、安全で安心な展覧会にするために行うべき項目がびっくりするほど沢山ならぶ。そのなかでも「来館者同士の距離を確保する(最低1m、できるだけ2mを目安に)」という留意事項は、部外者の自分でも、ハードルの高いことがわかる。現在、事前予約制の入場方式を取る美術館や博物館が増えてきている。21_21 DESIGN SIGHTの「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」もそのひとつだ。
マル秘展は、第一線で活躍するデザイナーや建築家によるスケッチや図面、模型などの「原画」を集めた展覧会。インテリアデザイナーの剣持勇と松本哲夫によって生み出されたヤクルトのプラスチック容器、花柄と既存のロゴを使うことが条件だった国際コンペに、あえて新ロゴとモノクロテイストを提案したグラフィックデザイナー、松永真のスコッティなど、原画を見るだけで、新しいものが生まれるときの“摩擦”みたいなものも感じられる。
また、書き殴られたような筆跡で書かれた建築家、隈研吾の大量のメモ、5mmくらいの方眼用紙にあわせて細かい文字で緻密に書かれたグラフィックデザイナー、佐藤卓の手帳などを見ると、その性格や仕事の進め方までも推察することができる。たった一つのロゴやプロダクトが生まれるまでに、クリエイターによって思考のプロセスが全然違ったものになっている。たくさんのビジネス本をダイジェストで一気に読んだような気分にもなってくるからおもしろい。
事前予約制となったこの展覧会、予約するまでは面倒くさくて仕方なかったのだが、実際にやってみると意外に悪くない。館内の人数が少なく、ゆえにとにかく見やすいからだ。いい席を取るために早くから並ぶ必要のあった名画座から、座席を事前にネット予約できるシネコンでの鑑賞にシフトしたような感覚か。
今後、規模の大きな展覧会は何らかの予約が必須となっていくだろう。まずは21_21 DESIGN SIGHTで予約制入場と、快適な鑑賞空間、そしてすばらしい展示を体験してみてはいかがだろう?
「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」は9月22日まで21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内 ℡03-3475-2121)で開催中
事前予約制 詳細は公式HPまで http://www.2121designsight.jp/
文=浦島茂世(美術ライター)
(ENGINEWEBオリジナル)
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