これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。1990年代にイタリアに移住したジャーナリストの大矢アキオさんが選んだのは、「1987年型ランチア・デルタ1300LX」。当時、収入も不安定だった彼が手にしたクルマはトラブル続きの初代ランチア・デルタだった。
走行距離12万8000キロで27万円
筆者の「思い出の車」は今回の企画で最もショボく、ストーリーもいちばんビンボーくさいに違いない。しかし、それは自分にとって人生の転機を共にした車である。
今から24年前の1996年、東京の出版社を退職し、イタリア中部の古都シエナにやってきた。持ち物はスーツケース1個と音大生時代のヴァイオリン1挺。おっと、離日6日前に入籍した女房も一緒だった。外国人大学で学生生活を送ったのち、イタリア人が経営する料理学校の広報担当&通訳として、この地での社会人生活をスタートできた。
(ENGINE2020年7・8月号)
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