いま着けたいのは、“物語” のある時計--。その興味深いストーリーを知るほどに魅力は深まるばかり。ここに現代の名品たちを主役にした珠玉の短編集を編んでみた。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、世界最古のマニュファクチュールという賛辞で語られることが多い。しかし真に讃えられるのはその長さよりも質だろう。むしろ歴史に甘んじることなく、時代に対していかに向き合い、挑んできたか。フィフティーシックスはその証となる一本だ。インスピレーションを得たのは、1956年に発表されたリファレンス6073。シンボルマークであるマルタ十字の4肢をアレンジしたラグに、ブランド初の自動巻きムーブメントを搭載し、さらに防水性を備えた。こうした当時の革新性もさることながら、フィフティーシックスが受け継いだのは、コレクション名でもある1950年代の時代感に他ならない。
世界大戦が終わりを告げ、希望と渾沌が入り交じる中、旧世代に代わるべく若者たちの文化が爆発した。ビートだ。ジャズクラブはそんな若者たちが集う魂の発露の場となり、モダンジャズの陶酔をケルアックはロールペーパーに延々とタイプし、「路上」を書き上げた。そんな時代の躍動感がフィフティーシックスからは伝わってくるのだ。ゴールドのケースとセピアブラウンのダイアルはトーン・オン・トーンを彩り、同色のストラップはスポーティなホワイトステッチを配す。まさに伝統と革新が息づく現代のビートだ。
文=柴田 充 写真=近藤正一
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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