2020.08.28

CARS

デザイン・コンシャスになった新型プジョー208が日本に上陸 マジ、カッコイイです

プジョーのコンパクト・ハッチバック、208がフルモデルチェンジ。新型にはまったく同じカタチをした電気自動車版も設定されるが、まずは先に納車が始まったガソリン・モデルに試乗した。


2019年のジュネーブ・ショーでデビューした新型プジョー208がついに日本にやってきた。1983年に登場し、いまのスポーティでカジュアルなプジョーの礎となった“205”の後継車である。なお、これまでプジョーはモデルチェンジ毎に車名のひと桁目を増やしていたが、2012年からそのしきたりを廃止し、車名を固定することにしたため、新型は先代と同じ208を名乗る。


ジュネーブ・ショーで初めて見たときも思ったが、新型208はかなりのイケメンである。ちょっと釣り目のヘッド・ライトをはじめ、顔立ちは精悍。プジョーの象徴であるライオンの牙を彷彿させるヘッド・ライト下に配されたLED式のデイ・ライトもいいアクセントになっている。また、テールライトには同じくライオンをモチーフにした“三本爪”デザインで、それを205のようにガーニッシュで繋いでいる。フロント同様、リアのデザインも凛々しくて好感度は高い。小型車らしいコンパクトなイメージも持つ新しい208のデザインは、カッコいいけれど奇をてらったようなアク強さのない、誰からも好かれるデザインだと思う。


3Dメーターの投影機はメーター・フードに水平に置かれている。インパネ中央のタッチパネルは標準で備わるが、ナビ機能はオプション。
アリュールのシート表皮はファブリックと人工皮革を組み合わせたもの。前席はまったく問題ないが、後席の空間はけっこうタイト。前後方向はクラス平均レベルだが、頭上空間がかなりミニマム。

近年、メーターをステアリングの上から望む独特な形状のインパネ、“i-コクピット”を採用しているプジョー。新型208ではそれをさらに進化させてきた。液晶のメーター・パネルに投影機を追加し画面を二層表示にすることで、メーターを3D化した、その名も“3D-iコクピット”。バーチャル表示されたメーターはたしかに手前側が3Dのように浮き出て見える。視認性は悪くない。ちなみに、メーカーの情報に対するドライバーの反応速度を早める効果もあるという。


機能面でも大きなトピックがある。内燃機関モデルに加え、e208と呼ばれる電気自動車が設定されたことだ。モーターとインバーターをボンネット下に、また50kWhの電池を前後席の座面下に置くことで、内燃機関と同じ外観や利便性を保ったまま、EVに仕立てた。最高出力はガソリン・モデルよりも高い136psで、航続距離は340km。コロナの影響で若干遅れるものの、ガソリン車を追って納車が開始される予定だ。


小気味いい走り

今回試乗したのはガソリン仕様の中間グレードである“アリュール”。新型208はトップの“GTライン”をはじめ、3グレード揃うが、主な違いは装備のみ。タイヤ・サイズ以外、機能面はほぼ同じだ。


新しい208に搭載されるエンジンは先代の208やC3と同形式の1・2L直3ターボの1機種のみ。他のモデル同様、トルコンATが組み合わされるが、先代の6→8段へと2段増えたのも特徴だ。その代わりにエンジンは出力が10ps低い仕様に変更されている。確かに高回転域の伸びが若干悪くなった感じを受けるものの、ATの多段化が功を奏しているのか、はたまた最大トルク値に変化がないからなのか、いずれにしろ日常使いでまったく10ps低くなった影響は感じない。これまでどおり、アクセレレーターに対するエンジンの反応はよく、1160kgの車体を軽快に走らせる。3気筒特有のビートの効いた適度な音量で心地いい排気音も健在だ。ATは変速ショックが小さく多段化したわずらわしさは一切感じない。トルコンは相変わらず滑るのをほとんど許容しないタイトなセッティング。まるでデュアルクラッチ式の自動MTかと思わせるように瞬時に変速を終える。


5人乗車時の荷室容量は265L。ライバルと比べるとちょっと小さめだ。

DS3クロスバックが初出の新しいプラットフォーム“CMP”がもたらす走りは、操縦安定性と乗り心地のバランスがいい。ステアリングの操作に対するクルマの動きが素早く、クルマ好きがプジョーに求めるキビキビとしたハンドリングを有する一方、体に伝わるような路面からの大きな入力はしっかりと吸収してくれる。細かい振動は若干残るものの、快適性はライバルと比べてもそん色ない。旧式のプラットフォームを用いるシトロエンC3よりも脚がよりしなやかに動く印象だ。


パワートレイン、シャシーともにプジョーらしい小気味いい感じが好印象だった新しい208。イケメンなデザインにひと目惚れして手に入れても後悔することはない。


■プジョー208アリュール


駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4095×1745×1445mm
ホイールベース 2540mm
トレッド 前/後 1485/1485mm
車両重量(前後重量配分) 1160kg(前750kg:後410kg)
エンジン形式 直列3気筒DOHC12V直噴ターボ
総排気量 1199cc
ボア×ストローク 75.0×90.5mm
エンジン最高出力 100ps/5500rpm
エンジン最大トルク 205Nm/1750rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(取材車) 前後 195/55R16 87H
車両価格(税込) 259万9000円


文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=宮門秀行


(ENGINE2020年9・10月合併号)

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文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=宮門秀行

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