歴代のミニJCW GPといえば、2シーターのとびきりレーシィなモデル。ではその最新型は、ショート・サーキットでどんな身のこなしを見せたのか?
ミニのなかでも特別なジョン・クーパー・ワークス(JCW)のパフォーマンスをさらに引き上げて「いっそう特別なミニ」に仕立てたのがミニJCW GPだ。もともとは“初代BMWミニJCW”に装着するキットとして2006年にデビュー。2000台分が限定販売された。それが2代目ミニではコンプリート・カーに発展し、2013年に3000台が発売されると、またたく間に完売となった。ここで紹介する3代目JCW GPもやはり3ドア・ミニJCWをベースとするコンプリート・カーとして世界で3000台が限定販売されたが、日本割り当て分はこのうちの240台。しかも、昨年11月に発売されると2カ月ほどで完売になったというから、もはや幻のモデルといって構わない。そんな貴重な1台に、今回は袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗するチャンスを得たので、その模様をリポートしよう。
最新のミニJCW GPはオリジナルの3ドア・ミニJCWの2Lターボ・エンジンを231psから306psへとパワーアップ。足まわりはリア・サスペンションの一部にピローボールを用いるなどレーシング・カーに限りなく近いモディファイを実施したほか、ベースの3ドア・ミニJCWにはないトルセン式LSDを装備。さらに軽量化のために2人乗りとし、大型のリア・ウイングとオーバー・フェンダーで空力面を武装するなど、ナンバー付きとしてはかなりスパルタンな仕様とされた。ちなみにニュルブルクリンクでは旧型をおよそ30秒凌ぐ7分台のタイムをマークしたという。
けれども、袖ヶ浦で3代目ミニJCW GPが示したマナーは極めて洗練されたものだった。タイヤの限界に近いペースでコーナリングしても、後輪は路面を捉えて放さず、狙ったラインを正確にトレースできる。しかも、ハンドリングにあいまいな部分は一切存在せず、限界的な状況でもドライバーが行なった操作が確実に挙動へと反映される懐の深さを示したのである。
もう1つ強調しておきたいのは、3代目ミニJCW GPの足まわりがガチガチに固められたものではなく、一定のしなやかさを備えていた点にある。このためハード・コーナリングではある程度のロールを許すほか、サーキットの路面に横たわるギャップを通過しても、過剰なショックは伝わってこない。おそらく、公道での乗り心地も我慢できる範囲に収まっていることだろう。
306psを生み出すエンジンも実に強力。4000rpmを越えると一段と加速感が高まり、400mしかない袖ヶ浦のストレート・エンドではフツーのJCWを10km/h上回る170km/hに到達してみせたのである。
さらに、どんなに攻めてもオン・ザ・レール感覚を守り通したハンドリングは、スタビリティ・コントロールをGPモードに切り替えればスロットル操作でコーナリング・ラインを微調整することも可能。もっとも、このときも基本的なキャラクターはスタビリティ重視で変わらない。つまり、その過激な外観とは裏腹に、どこまでも洗練されたハンドリングこそ3代目ミニJCWGPの持ち味なのだ。
文=大谷達也 写真=ビー・エム・ダブリュー
(ENGINE2020年9・10月合併号)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
文=大谷達也 写真=ビー・エム・ダブリュー
advertisement
PR | 2024.11.21
LIFESTYLE
冬のオープンエアのお供にするなら、小ぶりショルダー! エティアムか…
2024.11.21
CARS
日本市場のためだけに4台が特別に製作されたマセラティMC20チェロ…
PR | 2024.11.06
WATCHES
移ろいゆく時の美しさがここにある! ザ・シチズン の新作は、土佐和…
2024.10.25
LIFESTYLE
LANCIA DELTA HF INTEGRALE × ONITS…
2024.11.19
WATCHES
エンジン時計委員、菅原茂のイチオシ 世界限定1200本! グランド…
2024.11.01
CARS
これは間違いなく史上最速のウルスだ! プラグイン・ハイブリッドのウ…
advertisement
2024.11.16
こんなの、もう出てこない トヨタ・ランドクルーザー70とマツダ2 自動車評論家の渡辺敏史が推すのは日本市場ならではの、ディーゼル搭載実用車だ!
2024.11.15
自動車評論家の国沢光宏が買ったアガリのクルマ! 内燃エンジンのスポーツカーと泥んこOKの軽自動車、これは最高の組み合わせです!
2024.11.15
GR86の2倍以上の高出力 BMW M2が一部改良 3.0リッター直6ツインターボの出力をさらにアップ
2024.11.08
【後篇】2024年総まとめ! 自動車評論家44人が選んだ「いま身銭買いしたいクルマのランキング!」 クルマ好きの人たちの深層心理がわかった!!
2024.11.12
BMW4シリーズ・グランクーペが初の変更 新しいヘッドライトと装備の充実で商品力を高める