ジャーナリスト39人とENGINE編集部員6名、計45人が、雑誌が創刊した2000年からの20年間で「一度は手に入れたい」クルマ20台を選び順位をつけた。選んだ20台についてと、「20年間のクルマをどう見てきて、この1台はどういう基準で選んだのか?」というテーマに答えてもらった。
20年という時間は短いようで恐ろしく永いから、悶絶級の難題でした。なので開き直り、毎度のごとく何より走らせて気持ちよく楽しいクルマ、心に響く何かを持っているクルマを並べ、そこから先は最初に走らせたときのインパクト、存在することへの喜び、自分のモノにしたい度合いなどを加味して選びました。だいぶワガママなチョイス。ただのクルマ好きなんだな、俺……と思いました。
スパイダー走りは小さなF40といえる面白さ。動的性能ももちろん、5分先のコンビニまでフツーに往復するだけで綺麗さっぱり気分転換できる“凄いモノを転がしてるぞ”感が素晴らしい。日常の中で味わえる非日常感覚こそアルファの真髄。
ある意味4Cの対極で、街やロングでフツーに走れば快適で小粋な洒落者クーペ。でもその気になれば徹頭徹尾ドライバーの望みを叶えてくれる、抜群のハンドリングと度を超さない程度に抑えた速さを見せる。毎日乗るならコレかも。
純粋なスピードを楽しめない以上、純粋なスピード“感”こそが重要。セブンは最もリーズナブルにそれを味わい尽くせる貴重な存在だ。ドライビングというものに向き合う“しかない”潔さが無上の楽しさの源。軽さとは正義なのだ。
出会い頭に人を笑顔にさせる、幸せを運ぶクルマ。速くはないけどフットワークは軽快で、乗り手も当然笑顔に。やっぱり幸せを運ぶクルマ。
幸せなクルマに蠍のエキスをブチ込んだ、愛すべき小型爆弾。走らせる楽しさは抜群だ。このサイズでここまで弾けられるクルマは他にない。
40km/hでさえ心が蕩けるV12と、弾ける走りで自由自在なV8と。新世代なのにアストンならではの豊穣さを余さず継承した世界観も感涙モノ。
11.7というあり得ないステアリング・ギア比と躾のいい後輪駆動のシャシーが生み出すシャープで爽快なハンドリング。最も気持ちいいセダン。
最新こそ最良なのは解ってる。だけどネガも含めた古典的911のテイストが濃いめに感じられるコレが好き。911=独自の文化だと思うから。
スピードの多寡にかかわらず、ただ転がすだけで“ああ、快感……”な跳ね馬は、たぶんここまで。サウンド一発で気持ちが持っていかれる。
ロングも楽々なGT性能に、雨でもその気なら踏める懐の深さ。変に尖ってないのに実力は相当高い。そのオトナなテイストにかなり惹かれる。
ミドシップの超高性能車に、即座に馴染んで峠で安心して踏んでいけた日の衝撃。マクラーレンの底力は初っ端から驚異的レベルだったのだ。
コルベットとしての古典に忠実に、けれど走りは徹底的に磨いて。テイストとパフォーマンスを高い領域で両立させたこだわりが愛おしい。
加速もハンドリングもコントロール性も抜群で、そのくせ乗りやすくて快適。当然、気持ちいいし楽しい。ランボの歴史の流れを変えたモデル。
楽しかった初代NAの小さなネガをほとんど潰したようなNBの登場に、マツダのロードスターにかける本気を感じた。いま乗っても楽しいし。
本気で楽しめるトヨタ車の復活は嬉しかった。思えばココからトヨタのクルマは楽しくなった。
“軽”にこだわったがゆえの唯一無二の愉快と快感。世界一のマイクロ・スポーツカーだと思う。
カタチはあんまりスーパーじゃないのに走れば超スーパー。日本オリジナルのスーパーカー。
M235/M240の、E30型M3を思わせるサイズにスパッと切れ味のいい走り。M2よりコスパいいし。
悪路を走るとよく解る“ジープってスポーツカー!”な感覚。どこにだって行けるのも素敵だ。
モーター付きのクルマの独特の面白さを世界に広げた立役者。燃費を伸ばす楽しさも教わった。
文=嶋田智之(モータ-ジャーナリスト)
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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