エンジン"ホット100"ランキング、選考委員が選んだ20年間の集大成! ポルシェ勢のなかでトップに立ったのは、なんと水平対向6気筒自然吸気エンジンを搭載するボクスターだった!
思い出してほしい。20年におよぶホット100の歴史においてタイプ981と呼ばれる3代目ポルシェ・ボクスターは、2012年、13年と2年連続で1位を獲得している。もちろん、2016年から3連覇を果たした991GT3/RSには及ばないが、15年のホット100でボクスターはその991GT3を抑えて堂々の3位に入っているのである!
今回も911という偉大な存在を前に、981ボクスターがポルシェの中でトップを獲得できたのは、1996年の登場以来、ミドシップ2シーター・スポーツの理想像を追求してきたボクスター・ファミリーの1つの完成形であるからだと思う。
その魅力が後継である718ボクスターに比べても衰えないのは「1世代前でも自然吸気フラット6がいい」(岡崎さん)、「俺は水平対向6気筒自然吸気のボクスターが好きだな」(山崎さん)、「選ぶなら6気筒がいい」(塩澤さん)と各人が推すように、ミドに積まれたフラット6ユニットの威光が大きい。
またモデル末期に登場した足回りを締め上げ軽量化したシャシーに375psの3・8Lフラット6を搭載したボクスター・スパイダーは、小沢さんが「911GT3以来、ポルシェの素晴らしさを教えてくれた1台。圧倒的に軽く全てがヴィヴィッド」と絶賛し、山田さんに「殿上人となった964RSの志を受け継ぐ、ピュア・ポルシェ」と言わしめ、大井さんが「981型ボクスターはスパイダーこそが究極!」と断言するように、981ボクスターのポテンシャルの高さを語る上で欠かせない存在だ。
しかしそれ以上に素晴らしいのは「サーキットではアンダーもオーバーもない素晴らしくニュートラルな旋回性能を味わえる」(藤野さん)、乗り手も場所もシチュエーションも選ばない高い完成度を持つシャシー、そして日常使いからサーキット走行までをさらりとこなしてしまう懐の深さにある。
■ポルシェ・ボクスター(981)
(ボクスター)全長×全幅×全高=4374×1801×1282mm。ホイールベース=2475mm。車両重量=1310kg(6段MT)。ミドに搭載された2.7Lフラット6は最高出力265ps/6700rpm、最大トルク280Nm/4500〜6500rpmを発生する。6段MTと7段PDKが用意された。
文=藤原よしお
(ENGINE2020年9・10月合併号)
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文=藤原よしお(自動車ジャーナリスト)
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