2020.12.31

CARS

メディア対抗ロードスター4時間耐久レース参戦記 やや悔いが残る5位入賞

新型コロナ問題で開催が危ぶまれた今年のロードスター4耐だが、マツダをはじめとする関係者の英断により、時間を短縮し、無観客で開催することになった。その特別なレースをリポートする。


今年のレースは新型コロナ感染予防のため、ブリーフィングはオンライン化。参加チームのスタッフの人数を減らすために給油作業を廃止。レース時間も4時間から2.5時間に短縮された。ENGINEチームのメンバーは、本業のため鎌田卓麻選手が欠場。村上編集長、モータージャーナリストの国沢光宏氏、そして私、大井貴之という3名で臨んだ。


予選の結果は2番手。
車検もドライバーの装備などは申告制で、クルマのみ最少人数で行われた。

まずは予選! 自称、最多ポール・ポジション獲得ドライバーの私としては(公式データが残っていないのだ)、今年は絶対にポールを取りたかった! 何故なら今年、私は節目の還暦を迎えたから。しかし、今年から採用となった新タイヤの空気圧設定をハズし、ワンチャンスとも言える一発目のアタックも不発。しかし、2回目のアタックでトップの座を奪取! だが、それも一瞬。パーティレース・チャンピオンの梅田剛選手に負けてしまった(詳しくはウェブの動画参照)。まったく世知辛い世の中になったものだ。体重が25kgも軽くて、職業はお医者さま! しかもあろうことかルックスは爽やかなイケメン! という若者。人は見かけによらないとは言うが、本当に酷い目に遭わされた。という逆恨みはここまでにして、決勝レース。


無観客で行われた今年のメディア対抗ロードスター4耐ならぬ2.5耐。ミニマム、シンプルに臨もうということで、ENGINEチームのピットもいつもよりこぢんまりとした作りに。
ドライバーズ・ミーティングはオンライン。

2時間半を3人で戦うわがチーム。ピットインしたら1分間以上停止で、レース中に3回ピットインしなければならないルールなので、誰かが2回走るという計算だ。編集長いわく、「レースなのだからなるべく上の順位を目指します。だから僕は最低周回数でバトンを渡します!」。潔いというのか他人任せというのかはこの際追及しないが、気持ちは伝わった。まあ、どう走ったとしてもウチには90秒間ピットストップという重いハンディキャップが課せられている。ただ日本列島には大型の台風が迫っているため、ほぼ間違いなく雨が来る。台風由来の雨が来るということはザバッと来る可能性が高い。となればSC(セーフティカー)が入る可能性も高い。そのタイミングでピットインを消化出来ればポジションはジャンプアップ! 優勝も夢ではない。スタートのタイヤ空気圧をドンと上げ、雨に備えた。


第1ドライバーの村上はほぼハンディ消化だけで次の国沢に交代し、アンカーの大井にバトンタッチする機会を窺っていたところ、運良くSCが入り、そのかんに国沢が連続して2度ピットイン。

SC中に2度ピットストップ

16時にローリング・スタートで戦いの火蓋が切られた。真っ先にピットインした村上選手は90秒のハンディを消化して再びコースイン。そしてすぐ再びピットイン。最終コーナーを一度も走らずに国沢選手に交代。


うまくノルマを消化して大井につなぐ作戦だったが、2度とも赤信号にコース復帰を阻まれる結果に。

結局、ダートトライアルが中止になって時間が出来た鎌田選手が作戦参謀。彼の計算では完走に必要なターゲット燃費は5.8km/リッター。だが、周りのペースが思いのほか速い! 雨で周回数が少なくなることを想定しているのか。20分で降りると言う国沢選手をどうにか走らせているとSCが入った。チャンスだ! すぐにピットインして来た国沢選手。コース上にはパーツが散乱しているとの情報なので、ドライバーチェンジを行わずに再びコースイン。ここで2回目のピットインを終えてしまおうという作戦だ。そして次の周、もう一度ピットインして今度はドライバーチェンジ。チェッカーまでの残り1時間40分が筆者に託された。


レース後半、怒濤の追い上げを見せる大井選手。すでにピットイン回数も消化し、あとは燃費に注意しながらチェッカーまで走り続けるだけだ。

交代した時点の平均燃費は5.9km/リッター。老化によってペースが上がらなかったのかと思いきや、ターゲットより好燃費で走行していたのだ。これは素晴らしいプレゼント。というのは、メーターに表示される平均燃費はびっくりするほど正確なのだが、小数点以下はたったの1桁。このレースを戦う上で、もう一桁細かい数字が欲しいところなのだが、5.9から5.8になった瞬間が5.90km/リッターだと考えればいいわけだから、より正確な燃費を知ることが出来る。これで優勝が見えてきた!?


次々と前のクルマをかわして順位を上げ、一時は表彰台に手が届くかと思われたが、最後の最後で燃料が不足し、ペースを落としているところで74号車に抜かれることに。それでも結果は5位入賞。

ところが、SC中にピットインを消化出来たのは良いのだが、実はコースに復帰する際、ピットロード出口の赤信号に捕まって時間をロスしていたのだ。それも2回とも。


ここから我慢の1時間40分。抜く時も、抜かれる時も心を乱さず乱されず、ただひたすらマイペース。大雨想定の高い空気圧での走行は難しかったが、どうにか1分15秒台ペース。燃費は5.8km/リッター。残り時間が少なくなって来たところで、やっと電光掲示板に13のゼッケンが表示された。あともうちょっと。前を行くライバルたちのガス欠を祈りながら我慢! もしかしたら燃費をセーブし過ぎたのか? とも思ったが、ファイナルラップのバックストレート後半でガス欠。そのまま惰性でチェッカーフラッグを受けた。トップと同一周回。ということは、ピット出口の赤信号に引っ掛かっていなければトップ!?  いや、ガス欠だったでしょうね。「やや悔いが残る……」というタイトルがついているけど、力を出し切った結果の5位です。


文=大井貴之(自動車ジャーナリスト) 写真=神村 聖


(ENGINE2020年11月号)

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