レースからフィードバックした技術を投入してアウディ・スポーツ社が手がける、走りに軸足を置いたスペシャル・モデル、それがアウディRSシリーズだ。その最新モデル3台がいっぺんに日本上陸。富士スピードウェイで発表会が開かれた。
2台のR8LMSがGT300クラスに参戦するスーパーGT2020年シーズン最終戦の予選が行われた日の夕刻、同じ富士スピードウェイ内の特設会場で新型アウディRSモデル3台の発表会が開かれた。アウディRSシリーズは、レース車両の開発と生産を手がけるアウディ・スポーツ社が、そこからフィードバックされたテクノロジーを惜しみなく注ぎ込んでつくり上げる、走りに軸足を置いたスペシャル・モデルである。その新型の発表の舞台として、R8LMSが走るスーパーGT開催中のサーキットは、まさにうってつけの場だと言えるだろう。
発表の舞台に載せられたのは、新型RS7スポーツバックとRSQ8。そして、サーキット内の別の場所に、新型RS6アバントが展示された。いずれも同じ4リッターV8ツインターボ・ユニットを搭載するこの3台は、ハイパフォーマンスを誇るRSシリーズの中でも、スーパースポーツカーの範疇に入るR8を除けば最上位に位置するモデルだ。しかし、そういう飛び切りのハイパフォーマンス・カーを、見るからにスポーツカーというモデルにするのではなく、あえて4ドア・クーペのスポーツバックや大型SUV、あるいはステーションワゴンのアバントでつくってしまうところに、アウディならではの思想があるというべきだろう。

この日、舞台に立ったアウディ・ジャパンのフィリップ・ノアック社長は、「RSとは何か?」という命題に対する答えとして、5つの要素を挙げた。すなわち、(1)細部への妥協なきこだわり、(2)世界中のテスト結果をフィードバックしたRSドライビング感覚、(3)究極のドライビング・エクスペリエンス、(4)RS独自のデザイン、そして、(5)365日、あらゆる状況で発揮できる究極のパフォーマンス、である。つまり、単に速いとか、よく曲がる、よく止まるというだけではなく、日常生活の中で何不自由なく使えることにこだわる点こそが、RSが数多ある他ブランドのハイパフォーマンス・モデルと一線を画す鍵となっているのだ。
たとえば、RS6にはアバントはあってもセダンはない。パフォーマンスだけを考えたら、セダンの方が有利なことは明らかなのに、あえてアバントだけに絞っているのだ。これこそが、ルーツをたどれば1994年のRS2アバントの誕生にたどりつく、RSシリーズを貫く確固たる思想の表れと見るべきではないか。





さて、今回日本で発表された3台のうちRS7スポーツバックとRSアバントは、2019年9月のフランクフルト・モーターショーでデビューを飾ったモデルだが、実は、そのうちRS7の方には、私はデビュー直後にフランクフルトで試乗している。その時に記事に付けたタイトルは、「超スポーティなのにマイルド!」。今思い起こせば、まさに先のノアック社長が挙げた要素のすべてを兼ね備えた、RSの中のRSとも言うべきモデルだったのである。
まずはデザイン。A7スポーツバックのフェンダーを左右20mmずつ張り出させ、フロントには巨大なエア・インテーク、リアには大型ディフューザーを備えるなど、ボディ全体に大幅な変更が加えられており、明らかにRSならではの特別なものになっている。しかし、だからといって決してこれ見よがしな筋肉を見せつけて回りを威圧するような印象がないところがアウディRS流だ。
フロントに縦置きされる4リッターV8ツインターボも、600ps/800Nmというスーパーカー並のパワー&トルクを持ちながら、フツウに使っている限りは荒々しさや激しさを感じさせることは微塵もなかった。どこまでもクールに速いのだ。





サスペンションは前後マルチリンクで、エア・スプリングを標準装備して乗り心地の良さとスポーティな走りを両立。その一方でオプションのダイナミック・ライド・コントロール付きのRSスポーツ・サスペンションを選べば、乗り心地はやや硬めになるが、圧倒的にダイレクト感が増すことも確認した。同じくオプションで後輪操舵やスポーツ・ディファレンシャルも用意されており、これにクワトロ4WDシステムも加えた運転に関する電子制御システムが統合制御されてもたらされる走りは見事のひと言だった。自分の運転がいつの間にか上手くなったかと錯覚しそうになるくらい自然に峠道のコーナーを駆け抜けてくれた。
さらに妥協なきこだわりはエコ性能にも及ぶ。なんと8気筒が4気筒になる気筒休止システムや48Vの主電源を持つマイルド・ハイブリッドまで備えているのだ。究極のパフォーマンスと実用性の両立という目標の中には、環境への配慮も当然含まれているということなのだろう。





文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=神村 聖
(2021年2・3月合併号)
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