アウディからめちゃくちゃ都会を意識したA1スポーツバックの特別仕様車として、コンパクトなSUV、A1シティカーバーが限定車で登場。森口将之氏が試乗した。
アウディA1スポーツバックの特別仕様車として、2020年末に日本でも250台限定で発売されたA1シティカーバー。カーバーとは彫刻家を意味する英語で、同名のスケートボードが有名だ。エッジの効いたクリエイターといったところだろうか。
たしかに実車を見ると、アウディならではのクールな佇まいにポップな遊び心がプラスされており、他のブランドでは表現できなさそうな世界観を創造している。
なにしろクロスオーバーでありながら、仕立てがこのうえなく都会的だ。イエローのボディとブラックのルーフ、フェンダーの取り合わせとか、ダークグレーのアルミホイールとか。とにかくおしゃれで、日本車にはない洗練を感じる。ボディカラーは他にレッドとグレーがあるが、イエローで決まりだろう。
一方でオクタゴンのフロント・グリルはQシリーズと共通としながら若干変えてあるなど、自由奔放に見えて流儀にきちんと沿っているあたりはドイツ生まれらしい。
ドアを開けて運転席へ。固めのシートがぴしっと姿勢を整えてくれて、独特の心地よさがある。襟を正した感じと言えばいいだろうか。エッジを効かせたインテリア・デザインは、今のトレンドとは少し方向性が異なるかもしれない。でもそれが、安易に時代には染まらないという明確な意思となって伝わってくるのもたしかだ。
A1には1.5リッター直列4気筒ターボエンジン搭載の35TFSIもあるが、シティカーバーは1リッター3気筒ターボを積む。ただし同排気量の25TFSIと比べると、最高出力は95psから116ps、最大トルクは17.8kgmから20.4kgmにアップしており、欧州で販売している30TFSIに相当する。
効率的な仕事をする7速デュアルクラッチ・トランスミッション、1100kg台の軽量ボディのおかげもあり、あらゆるシチュエーションで不満のない加速を届けてくれる。
シャシーは以前乗った1.5リッターのSラインより好ましかった。写真でおわかりかもしれないが、シティカーバーはクロスオーバー風のお化粧をしただけではない。車高もしっかり40mmアップしている。おかげで乗り心地は固めながらしっとりしており、アウディとしてはストローク感のある乗り味が味わえる。
身のこなしもこのブランドならではの正確さと、クロスオーバーらしい懐の深さが同居している。瞬発力と柔軟性を併せ持ったエキスパート級スケートボーダーの滑走を思わせる。
A1シティカーバーをドライブしながら思い浮かんだのは、オールロードクワトロだ。あのシリーズも土の匂いを一切感じさせない洗練されたスタイリング、リフトアップをいい意味で生かしたしなやかな乗り心地やハンドリングに感心したものだった。
でもオールロードクワトロの仕立てをそのままA1に持ち込んだら、妙に大人びていて違和感を覚えるだろう。そもそもクワトロではないし。そこでアウディはシティカーバーという、カジュアルテイストの提案をしてきたのかもしれない。
まったく新しいスタイルをセンス良く着こなすというのは、多くの人にとってかなりの難問であるわけだけれど、アウディはそれをさらっとやってのけた。そういうセンスの持ち主なのだということを、あらためて教えられた。
■アウディA1シティカーバー・リミテッド・エディション
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4045×1755×1485mm
ホイールベース 2565mm
乾燥重量 1210kg
エンジン形式 直噴式直列3気筒DOHCターボ
排気量 999cc
最高出力 116ps/5000-5500rpm
最大トルク 200Nm/2000-3500rpm
トランスミッション ツインクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ストラット/コイル
サスペンション(後) トーションビーム/コイル
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 205/55R17
車両価格(税込) 483万円
文=森口将之
(ENGINEWEBオリジナル)
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