昔の車には、現行のナンバープレートは似合わない! そんなイタリア人のこだわりが議会を動かした。
イタリア上院議会は昨年末、古典車に新車当時のナンバープレートを装着可能にする道路運送車両法改正案を可決した。
この国の古典車ユーザーにとって、ナンバープレートは悩みの種だった。背景には過去10回にわたり、意匠が変更されてきたことがある。時代考証的にもヴィジュアル的にも、最も相応しいナンバープレートは、その車が発売された当時のものだ。それが維持されているかどうかは、車の価値を少なからず左右した。
幸い現行法では、すでに装着されていたナンバープレートは名義変更後も継承できる。問題は登録が失効していた車両である。その場合、たとえ戦前の伝説的モデルであろうと、公道走行するには容赦なく現行の欧州連合規格ナンバープレートを装着する必要があったのだ。
これは高級車収集家だけでなく、街角の愛好家にとっても頭の痛い問題だった。たとえばフィアット500(1957-1977年)のような小型車の場合、大判である現行型プレートは視覚的に極めて不釣り合いだからだ。
今回の法改正により、現所有者が運輸局に申請すれぱ、初回登録時と同じナンバープレートを複製して使用できるようになる(複製プレートの製作は指定業者のみに許可される見込み)。対象の車は今もAS(I イタリア古典車クラブ)が認定している「初回登録から30年以上、かつ内外ともオリジナル状態の個体」に限られる。一方でファシスト政権時代の紋章が刻印されたナンバープレートのように問題視されるケースもある。当時を示す図柄は禁止されているゆえ、さすがにこれだけは再現が難しそうだが……。
それはともかく、法改正は新車当時に外国へ輸出された車両にとっても福音となる。これらの車は過去に国内登録がないため、たとえ里帰りを果たしても欧州規格のナンバープレートを装着せざるを得なかった。そうした車も往年のデザインのプレートを申請・装着できるようになるのである。
法改正は前述のASIをはじめとする愛好者団体の悲願で、それを受けた上下両院議員十数名によって実現した。たとえナンバープレートという公的なものであっても真剣に改善を訴えていく。イタリア人のこだわりと美意識が結実した一例といえる。
文・写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
(ENGINE2021年4月号)
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