21回目を迎えるパリの名物イベント、「トラベルセ・ド・パリ」が今年1月に開催された。旧車のファンが久々に集った、走行会の様子をレポート。
新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るう中、厳戒態勢のパリを714台のレトロ・モービルが一気に駆け抜けた……。
旧車愛好会、ヴァンセンヌ・オン・アンシアンヌが主催する走行会『トラベルセ・ド・パリ』。毎年、夏と冬に行われる名物イベントが、1月31日に開かれた。参加資格を得られるのは製造から30年以上が経過した乗り物だけ。戦前の珍しい車両や1960年代の名車に加え、自転車やバス、耕運機なども登録できる。
パリ東方にあるヴァンセンヌ城。早朝の薄暗闇の中、続々と集まった旧車のドライバーたちに地図とプレートが渡され、走行会が開始した。先頭グループがモンマルトルに到着する頃には空が明るくなり、普段と違う街の様子に道ゆく人が気付き始めた。
昼前にはパリ中心部にあるコンコルド広場が旧車で埋め尽くされ、愛車の年代に合わせたコスチュームを着たドライバーたちが、界隈を楽しそうに流していた。その光景は、まるで大掛かりな撮影セットに迷い込んだかのようで、傍観者である我々もいつの間にかレトロな世界に引き込まれていた。
一応ゴールは、パリ東部のナシオン広場となっていたが、ゴールまで行かず、そのまま帰ってしまうドライバーも多数いた。気がつけば旧車の姿は街から消え、いつもの日曜日に戻っていた。
ヴァンセンヌ・オン・アンシアンヌ会長のジャック氏によると、警察の最終認可は開催ぎりぎりまで下りなかったそうだ(そのためにルートを短縮、ピクニックも禁止せざるを得なかった)。例年であればヨーロッパ各地から大勢の旧車ファンが集まるが、さすがに今年の参加者のほとんどは地元からである。
結果、シトロエンDSや2CV、メアリ、そしてシムカといった往年のフランス車の姿が目立ったが、さらに印象的だったのは、1980年代以降に作られた、いわゆるヤングタイマーに乗った若者が多かったことである。音楽や古着とあわせて、この時代の車を愛するパリジャンが近年、増えているそうだ(そこに筆者のほろ苦い青春が詰まっていることは、彼らとは何の関係もないが……)。
厳しい外出制限が課されているパリでは、いまだレジャーが皆無に等しい。それだけに今回のイベントを心待ちにしていた人は多かったのだろう。もっとも自由を尊ぶフランス人のこと。このイベントが中止になっていたとしても、彼らはパリのドライブをめいめいに楽しんでいたに違いない。
文・写真=ヤジマオサム(Photos & Report by OSAMU YAJIMA)
(ENGINE2021年5月号)
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