9年ぶりに2代目へと進化を遂げたトヨタGR 86とスバルBRZ。初代同様、トヨタとスバル2社が共同開発した兄弟車であるが、両車の違いはどこにあるのか。初代に見られた差異も振り返りつつ、公開された情報をもとに探っていこう。
<スペック>
■トヨタGR 86
全長×全幅×全高 4265×1775×1310
ホイールベース 2575
トレッド 前/後 1520/1550
車両重量 1270
エンジン形式 水平対向4気筒直噴+ポート噴射
排気量 2387cc
ボア×ストローク 94.0×86.0mm
圧縮比 12.5
エンジン最高出力 235ps/7000rpm
エンジン最大トルク 250Nm/3700rpm
最高回転数 7400rpm
変速機 6段MT/6段AT
サスペンション形式 前 マクファーソンストラット式
後 ダブルウィッシュボーン式
ブレーキ 前後 通気式ディスク
タイヤ 前後 215/10R18
燃料タンク容量 50リッター
■スバルBRZ
全長×全幅×全高 4265×1775×1310
ホイールベース 2575
トレッド 前/後 1520/1550
車両重量 1270
エンジン形式 水平対向4気筒直噴+ポート噴射
排気量 2387cc
ボア×ストローク 94.0×86.0mm
圧縮比 12.5
エンジン最高出力 235ps/7000rpm
エンジン最大トルク 250Nm/3700rpm
最高回転数 未発表
変速機 6段MT/6段AT
サスペンション形式 前 マクファーソンストラット式
後 ダブルウィッシュボーン式
ブレーキ 前後 通気式ディスク
タイヤ 前後 215/10R18
燃料タンク容量 50リッター
まずはスペック。開発目標値という前置きで公表された数値から違いは確認できない。ボディの寸法も、エンジンの性能も完全に一致している。7400rpmというエンジンの最高回転数はGR 86のみにしか記載はないが、スバルのそれも同じとみていいだろう。
また、GR 86の資料には0-100km/h加速タイムが記載されている。初代の7.4秒に対し、6.3秒へと1.1秒向上。これはエンジン排気量拡大による動力性能強化によるものだろう。新型BRZももちろん同等のタイムを出すと思われる。
GR 86とBRZにおける最大の違いはエクステリアのデザインだ。ヘッドライトはほぼ同じアウトラインだが、デイタイム・ライトがL字状のGT 86に対し、BRZは上端が内側へ回り込んだC字状になっている。
フロント・バンパーは、GR 86が上下左右とも大きく開いたグリル開口部を持ち、GRヤリスやスープラにも用いられるハニカムグリルを装着する。いっぽうのBRZは、GT 86より低い位置に幅広く薄い六角形グリルを配置し、その下のリップスポイラーとの間にもスリットを設けた2分割構造となっている。
一方、フロントの左右にあるエア・インレットは形状が異なるものの、外縁にフィン・タイプの導風板が立つ形状は類似している。トヨタによると「モータースポーツに参戦する86に搭載される空力アイテムを採用」しているという。ボディ・サイドにはフロントのホイール・ハウス後方のエア・アウトレットと、そこからのエアフローを利用すると思われるサイドシル・スポイラーを備えるが、これは両車とも同形状のようだ。近年、目からウロコの空力アイテムを次々繰り出すトヨタのノウハウが、この2台には活用されているのだろう。
リア・ビューには明確な違いは見てとれない。リア・コンビネーションライトは丸型から角形基調に変更された。2本出しのエグゾースト・パイプの間にバックアップ・ライトとリア・フォグライトを備えるデザインは先代からの意匠を踏襲している。
先代もそうだったが、インテリアについても基本的な形状は一致している。大きな違いはGR 86のステアリングとエンジンスタート・スイッチにGRのロゴが入ることくらいか。シート表皮の色使いなども異なるが、それがモデルの違いなのか、それともグレード差によるものかは定かではない。
水平対向エンジンを思わせるデザインのメーター・パネルは新型から7インチTFT液晶とセグメント液晶を組み合わせたものになった。表示は基本的には同じだと思われるが、スイッチ・オン/オフ時のデモ画面をはじめ、独自の表示を持つことが可能になっていると推測される。
2車の間で最も気になるのは、走りのキャラクターがどう差別化されているのかだが、現時点でそれは明らかにされていない。しかし、初代のような色分けが、この2代目でもなされるのではないだろうか。
「直感ハンドリングFR」というコンセプトが掲げられた初代86は、ドリフト指向のセッティング気味と評された初期型はもちろんのこと、マイナーチェンジを経てもハンドリングの俊敏さを重視してきた。新型では「86ファンに喜んでいただける、86らしい味の進化」を追求したといい、アジリティ寄りのテイストは継承されそうだ。
一方、BRZは一貫して安定志向を採ってきたが、これはほかのスバル車から乗り換えた際の違和感を抑える狙いがあったと言われて。メーカーとしての統一された方向性を打ち出すのであれば、こちらも継承されるだろう。
いずれにせよ、日本車では稀有な、比較的手頃な価格の後輪駆動スポーツカーがどのように進化したのか、実際にステアリングを握って体感できる日が待たれる。
文=関 耕一郎
(ENGINEWEBオリジナル)
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