2021.05.29

CARS

【試乗記】オーバーブートで761馬力! 異次元加速のスーパー4ドアEVスポーツ、ポルシェ・タイカン・ターボS!!

写真=茂呂幸正

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2021年版ENGINE大試乗会。上陸したばかりの4枚ドアのフル電動スポーツカーに、西川淳、桂伸一、石井昌道、高平高輝、塩見智の5人のモータージャーナリストが試乗した。


ターボなしでもターボ

昨年、ついに日本に上陸したポルシェ初のフル電動4ドア・スポーツカー“タイカン”。その最上級モデルがこのターボSだ。むろん、ターボチャージャーはついていないので、これはあくまで象徴となるネーミングである。前後に2つの電気モーターを配した4WDで、オーバーブースト時の最高出力は761ps、最大トルクは1050Nmというスーパースポーツカーをも凌駕するほどの高性能を誇る。フロント両側に給電口を持ち、充電時、フタは内側に収納される。全長、全幅、全高は4963mm、1966mm、1378mmで、ホイールベースは2900mm。価格は2454万円だ。


写真=柏田芳敬

「EVである前にポルシェ」西川淳

嗚呼、これはポルシェだ。動き出した瞬間にそう思った。(静かだとか出足が鋭いだとか)バッテリーEVならでは、の魅力もさることながら、運転しているときの景色と車体の動きがポルシェ、もっというと911っぽいから唸ってしまう。高速クルージングでは911ターボSのようにビタビタと安定し、ワインディングロードでは911GT3のようにはしゃぐことができて、街中では911カレラ4のようにソリッドな一体感で。このサイズがすっぽり入る自宅ガレーヂさえあれば欲しい。BEVで初めてそう思えたのもタイカンはEVであるという前に、あたり前だけど、ポルシェだったから。社会的なことも、環境的なことも、経済的なことも、技術的なことも殊更に語ることなくポルシェだといえたからだった。1つだけBEV らしい凄さを語っておくと、タイカン・ターボSのローンチ加速は空前絶後。目から血が引く。シロンの加速をよく知る私がいうのだから間違いない。モデルSも速いが加速中の動的クォリティがまるで違う。ま、そんなことは蛇足でしかない。そこが凄い。


写真=柏田芳敬
写真=柏田芳敬

「911セダンのカタチをした新たなポルシェ」桂伸一

まさに911を4枚ドアにしたような流麗でスタイリッシュな出で立ちがクール。アクセルを深く踏み込むと、ドッカーンとモーター・トルクが炸裂して脳が後ろに片寄った!! と感じるほど強烈な加速Gに血の気が引く“ブラックアウト”現象を実“体感”した。改めて、ポルシェの仕事はどこにもスキがない。遊びや曖昧な部分が無く、全ての操作に対してそのまま直感的に応答する。アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクを絞り出すモーター特性から、ターボSは軽い気持ちで踏み込んだアクセルに正確過ぎるほど応答して、早送りのようにめくるめく加速を展開するので要注意。ドライブ・モードはノーマルを選択すると街乗りでも空走モードが使え、動力をセーブしながら転がる。エンジン・ブレーキに代わるモーター・ブレーキ、つまり回生はスポーツ・モードで強くなる。特に「スポーツ・プラス」では、脚が引き締まり操縦性はクイックそのもののロールをしないゴーカート感覚に変身。911 セダンのカタチをしたフルBEV は新たなポルシェだ。


写真=神村聖

「さすがはポルシェだ」石井昌道

0-100km /h加速が驚異の2.8秒だというタイカン・ターボS。今回はクローズドの直線コースがあったので、思いっきり試すことができた。これまで、市販車のみならず、ワンオフのコンバート・モデルやカート、フォーミュラ・カーなどの速いEVに試乗した経験がある。パワフルな電気モーターの加速は異次元で、ともすると気持ちが悪くなるものだったが、タイカンはちょっと違った。もちろんとんでもない速さで、異次元であることにかわりはないのだが。ドライバーの感覚に合うよう上手に造り込まれているようだ。気持ち悪くなる類いのEVは、スタートダッシュした瞬間に、身体は前に進むけれど脳みそはスタート地点に置いていかれている感じがするのだが、タイカンはちゃんと身体と脳みそが一体でクルマとともに進んでいくのだ。だから驚異の加速を存分に楽しむことができた。そしてなにより、シャシーおよびブレーキが強靱で、761ps、1050Nmのパワートレインをしっかりと受け止めているのが心強い。さすがはポルシェと脱帽せずにはいられない。


写真=柏田芳敬
写真=柏田芳敬

「異次元の加速」高平高輝

「ミッションE」からほぼ5年、満を持して登場したポルシェ初の純電気自動車「タイカン」の最高性能版「ターボS」は、前後アクスルに各一基の交流同期モーターを装備。最高出力は460kW(625ps)だが、ローンチ・コントロール作動の際のオーバーブースト時には560kW(761ps)に引き上げられ、同じく最大トルクは1050Nmと途方もない。もちろんピュアEVなので本当にターボが備わるわけではなく、あくまで最高性能モデルの象徴としてのネーミングだ。0-100km /h加速は2.8秒で2.5秒を豪語する現行型のテスラ・モデルSパフォーマンスには及ばないが、あの“非常識モード”とは異なり、何度でも全開発進を試せる(とポルシェが言っている)。実際、何度かローンチ・コントロールも試したが、まったく不安定になる気配も見せず、異次元の加速を繰り返す。もちろん、他の面でもさすがポルシェ、とため息が出る完成度だ。ただし、今のところ270kWまで許容する車側に対応する高出力充電器ネットワーク&カスタマーサービスが整備されていないのが玉に瑕。


写真=小林利樹

「誰もが試すローンチ・コントロール」塩見智

これに乗ったらだれもが試すローンチ・コントロール。クローズド・コースなので心置きなく。ABペダルを同時に踏んでよきタイミングでブレーキをリリース。ドカーン。発進と同時に最大トルクの1050Nmで背中を蹴られる。胸のすく加速に一瞬スカッとするが、脳が揺さぶられ若干酔ったようにも。


私の前に何人が試乗したのか知らないが、朝から何度もドカーン、ドカーンとローンチされていた。そして私の番。カタログ値の0-100km /h加速2.8秒の通りかどうかはわからないものの、そうであってもおかしくない速さを見せた。満足に風が当たらない発進加速ばかりを繰り返すのはバッテリー内部や機械部分にとって過酷な条件のはずだが、安定している。クルマ屋の矜持というやつか。一般的な走行時の振る舞いはパナメーラに似ている。すなわち高剛性のいつものポルシェの世界。電動化が進んでもこれまで尊敬されてきたブランドが尊敬される図式は概ね変わらないのだろう。そういう未来が想像できた。


(ENGINE 2021年4月号)

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