キャデラックCTSの後継となるCT5の試乗会が開かれた。いま、日本で買える唯一のアメリカン・セダンは、都会がよく似合うモダンなデザインと軽快な走りが魅力です!
先月号(2021年5月号)の本誌表紙を飾ったキャデラック初のSUV、XT4に続いて新型セダンのCT5が上陸した。キャデラックCT5はCTSの後継モデルとして、2019年のニューヨーク・ショーでデビュー。同年9月にはATSの後継となるCT4が発表されたので、キャデラックのセダン・ラインナップは上からCT6、CT5、CT4ということになった。ただし、CT6の日本発売は終了しており、CT4はまだ上陸していないから、現在日本で買えるキャデラックのセダンはこのCT5のみということになる。
試乗会の起点となったのは、東京・兜町のホテル。丸の内、銀座など都心で撮影することになったのだが、いやはやCT5、都会の風景がめちゃくちゃ似合う。とてもモダンなスタイリングなのだ。先代モデルにあたるCTSはエッジの立った迫力のあるボディが特徴だったけれど、リアに向かってなだらかに落ちていくルーフ・ラインを持ったCT5はクーペ風でシルエットが柔らかく、それゆえエレガントだ。

ドイツのライバルたちのラジエター・グリルが大きくなって、どんどんエグい顔になっている現在、CT5はとても上品に思えた。本当にカッコイイ。初代CTSから「アート&サイエンス」を標語にモダンなデザインに挑戦してきたキャデラックだが、このCT5で実を結んだと思ったほどである。
それにしても、1950年代に派手なテールフィンで、路上の覇者を気取っていたキャデラックが、ドイツ車より控えめに見えるなんて、62歳の私にとっては感慨深い。

エンジンはXT4と同じ2リッター直4ターボだが、横置きのXT4に対し、縦置きとなる。プラチナムとスポーツという2グレードが用意され、プラチナムは後輪駆動、スポーツは4WDとなり、試乗車はプラチナムだった。
インテリアのデザインはシンプルかつクリーンな印象。華美な装飾がないのがいい。室内は広いだけでなく、ベージュの内装が雰囲気を明るくしていて気持ちがいい。後席は2935mmという長いホイールベースのおかげで、ユッタリとしていた。
走り出して最初に感じたのは、軽さだった。重厚な感じを想像していたのだけれど、ずっとカジュアルな印象だ。車検証を見たら、全長4925mmという立派なボディの割に、車重は1680kgと軽いのだった。
首都高速に入るとハンドリングの良さに感心した。操作に対する反応が素直で気持ちがいい。軽快に首都高速のコーナーを駆け抜けていく。2リッター直4ターボの最高出力は240psながら、まどろっこしさはまったくなかった。
乗り心地はフラットで快適である。乗れば乗るほどジワジワと良さを感じるタイプのクルマで、返却時間が近づくに連れて、もっと乗っていたいと思った。
もうひとつ、私を魅了したのはオーディオである。CT5の静粛性が高いことに加え、15スピーカーを持つボーズのサウンド・システムが素晴らしい。本誌連載「わが人生のクルマのクルマ」で、ミュージシャンの横山 剣さんにインタビューしたときに「大滝詠一さんはオーディオがいいからキャデラック・フリートウッド・ブロアムを買ったんですよ」と、聞いたことを思い出した。
標準オーディオがいいのもキャデラックの伝統なのかもしれない。
ちょうど、大滝詠一の名盤『ア・ロング・バケーション』の40周年を記念して出されたリマスタリング音源を持っていたので、鳴らしてみた。ヴォーカルの再現性が素晴らしい。音楽好きの人にはうってつけのクルマだと思った。
大滝詠一、山下達郎、竹内まりやなどのジャパニーズ・シティ・ポップスがいま、世界中で人気を集めている。モダンで軽快な感じはキャデラックCT5にぴったり。ロング・バケーションが取れたら、シティ・ポップスをかけながら、CT5でフラリと旅をしたい。そんな自由さを感じるクルマだった。
プラチナムの価格は560万円。メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズに比べてグッと安いのも魅力である。
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正
■キャデラックCT5プラチナム
駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4925×1895×1445mm
ホイールベース 2935mm
車両重量 1680kg
エンジン形式 直列4気筒ターボ
総排気量 1997cc
最高出力 240ps/5000rpm
最大トルク 350Nm/1500~4000rpm
変速機 10段AT
サスペンション 前 マクファーソンストラット/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ ディスク
タイヤ 245/45R18
車両本体価格 560万円
(ENGINE2021年6月号)
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