2021.08.08

CARS

炸裂する直6エンジン! 僕らのMが帰ってきた!! 待望のBMW M3&M4に試乗

先に試乗記をお届けした新型M4に続き、新型M3の広報試乗車が日本上陸を果たした。そこでジャーナリストの島下泰久氏とエンジン編集部のメンバーで、2台を連ねて、いつもの箱根に試乗に出かけた。

久しぶりのグッとくるM3&M4

村上 すでにM4の広報試乗車は上陸していて3人とも乗っている。そこへ今回、M3が新たに入ってきたので、改めて2台に乗ってみたわけだけど、率直に言ってどうだった?

島下 前回、新型M4に初めて乗った時に、これは久しぶりにグッとくるM3/M4シリーズだと思ったんです。というのも、先代は僕にはあまりピンと来なかった。さらにその前はV8モデルで、とてもいいクルマではあったけれど、これもちょっと違う感じがしていた。僕の中ではとにかく自然吸気直6時代のE36、E46型M3の印象が強いんです。ハンドリングの素晴しいとりわけ前期型のE36や、筋肉質な剛性感とエンジンの硬質感が印象的なE46と比べると、どうしてもそこに届いていないと思えていた。V8エンジンはやや刺激が足りない気がしたし、初めて直6ターボになった先代はエンジンの味も薄いしシャシーのセッティングもピンと来なかった。でも、今回の新型は走りはじめてすぐに、これはとにかく楽しいM4が帰って来たと思いました。ボディが大きくなったとか、フロント・マスクのデザインがどうこうという以前に、上まで回すと炸裂するエンジンといい、繋がりのいいギアといい、これぞM4という感じがして、今回も乗って改めて素晴しいと感じましたね。

M3のボディはM4と全長は同じだが、20mmワイドで、40mm背が高くなっている。ホイールベースは同じ。一見してM4より押し出しが強い印象を受けるのは、リア・フェンダーの張り出しがわずかに大きくなっているためか。車重も10kgだけ重くなっている。

村上 で、M3の方はどうだった?

島下 見た目は、なんとM4よりM3の方がワイド・フェンダー感が強くて迫力があった。でも、乗ってみると、M3の方がちょっと緩いというか、快適方向にセッティングされているみたいで、個人的にはM4の方が好みではありました。

新井 確かに、E36やE46はスポーツ・モデルとしてとてもまとまりのいいクルマだったと思うんです。それに対してV8はちょっとダンナ仕様というか、ラグジュアリー・スポーツになった感じがあった。それが先代になると、逆に一気に揺り戻して、今度はレース・トラック志向になって、街乗りには少し硬すぎるようなモデルになっていたと思います。それが今回の新型で、再びE36やE46の頃のバランスの良さが戻ってきた感じがして、僕もM4にはとても好印象を持ちました。それに対してM3はセダンだからなのかどうか、柔らかいというか乗り心地は少しマイルドにしてある感じがしましたね。

オプション価格10万円のアイル・オブ・マン・グリーンの外装色を纏ったこのM3には、同30万8000円のキャラミ・オレンジとブラックのツートーン・カラーに塗られたフルレザー・メリノのインテリアが奢られていた。





島下 M3はバネは硬いんだけど、ダンパーだけ緩くしたみたいな感じがあって、ちょっとユサユサしている印象がある。それに対してM4の方が引き締まっているから、ギャップに遭ってもバスンと一発で収まって、多くの場面ではむしろそっちの方が快適に思えるかも知れません。

どちらかを選べと言われたら?


村上 実は、僕もまさにそれを感じたんだよね。この間、M4に乗ってあまりに出来がいいのにビックリしたのは、スポーツ方面でのレベルが上がっているだけではなくて、普通に使える快適性の幅も格段に拡がっていたからだった。それで4ドアのM3だともっと懐が深くなっているんじゃないかと思って乗るのを楽しみにしていたんだけど、正直言って乗ってみてちょっとガッカリしたことは言っておきたいと思う。乗り始めてすぐに、このチューニングだとM4の方が乗り心地が良かったんじゃないかと思った。チューニングのピントがピタッと合っていないというか、少なくとも、4ドア・モデルならもっと快適性を高めているんじゃないかと想像する期待値には届いていないし、これならいっそM4の硬さの方が潔くていいと思えるようなレベルだったということ。

島下 もっとしなやかに動く上質な乗り心地なのかなと思ったら、バネは硬いままで、減衰だけ緩めているだけじゃんみたいな感じですよね。

村上 そうそう。

パワートレインなどの基本スペックはM4とまったく同じで、510psの直6ツインターボをフロントに縦置きし、先代のツインクラッチ式自動マニュアルから変更された8段ATを介して後輪を駆動する。

試乗車にはオプション価格107万5000円のM カーボン・セラミック・ブレーキが装着されていた。

島下 それはハンドリングにも出ていて、M4はフロントのグリップ感が良く、ステアリングを切り始めた一発目からライントレースが素晴しい。それに対してM3はそこが鈍くなっているから、切り始めたところからアレッと思っちゃう。

新井 タイヤの転がり始めの瞬間から、アッこれは違うとわかる。

村上 だから、緩めるんだったら、ダンパーだけじゃなく、もっと全体のチューニングをそっちの方向に振っていかないと、これはM4とは別の素晴しさを持ったクルマということにはならないよね。同じM3の2ドアと4ドアじゃなく、せっかくM4とM3という別の名称にしているのだから、しっかりとキャラクターを作り分けてくれないと困る。

新井 たぶん、作り分けたんだけど、M3の方がチューニングがうまくいかなかったということでしょう。



村上 この2台でどちらかを選べと言われたら、そりゃ躊躇なくM4を選ぶよね。M4を基準にクルマをチューニングして、後からM3をつくったということなんじゃないの?

島下 僕らは今回の新型M3/M4の全貌がわかっていないので、なんとも言えない面がありますよね。ベースがあって今回乗ったコンペティションがあり、さらにトラックパッケージがある。今回はコンペティション同士でしたが、ベースやトラックパッケージだとどうなのか。

村上 でも、日本仕様はM3にはベースがないんだよね。M4にだけ設定しているのは、マニュアルが選べるようにするためなのかな。

荷室容量はM4の440リッターに対してM3は480リッターと、わずかながら使い勝手を向上させている。


島下 不思議なことになっていますね。M4はちゃんとまとまって総合芸術になっていたのに、M3はそこまでいっていなかった。とにかく、今回はM4の凄さが際立っていた。

新井 今回のM3/M4にはさらに4WDモデルも出るし、ワゴンやカブリオレも追加されるらしい。そうなると、すべての開発に手数が足りているとは言えないのかもしれませんね。でも声は届いているはずだから、1年後には見違えるようにピントが合ったクルマになるでしょう。

村上 なるほど。熟成を待とう。

■BMW M3 コンペティション
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4805×1905×1435mm
ホイールベース 2855mm
車両重量 1730kg
エンジン形式 直噴直列6気筒DOHCツインターボ
排気量 2992cc
ボア×ストローク 84.0×90.0mm
最高出力 510ps/6250rpm
最大トルク 650Nm/2750-5500rpm
トランスミッション  8段AT
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ  通気冷却式ディスク
タイヤ (前) 275/35ZR19
タイヤ (後) 285/30ZR20
車両本体価格(税込み) 1324万円

■BMW M4 コンペティション
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4805×1885×1395mm
ホイールベース 
車両重量 1730kg
エンジン形式 直噴直列6気筒DOHCツインターボ
排気量 2992cc
ボア×ストローク 84.0×90.0mm
最高出力 510ps/6250rpm
最大トルク 650Nm/2750-5500rpm
トランスミッション  8段AT
サスペンション(前) マクファーソン式ストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ  通気冷却式ディスク
タイヤ (前) 275/35ZR19
タイヤ (後) 285/30ZR20
車両本体価格(税込み) 1348万円

話す人=島下泰久+村上 政(ENGINE編集長、まとめも)+新井一樹(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

(ENGINE2021年8月号)

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