2021.08.21

CARS

乗ってビックリのデキ!! ランドローバー・ディフェンダーに待望の90が追加された

人気のランドローバー・ディフェンダーにショート・ボディの90が追加された。ロング・ボディの110に加わったディーゼルとともに、箱根で試乗した。

断然短い方がいい

冷静に、理性的に考えるか。それとも情熱的に、本能に従うべきか。ロング・ボディの“110”に遅れること約10カ月。箱根で行われた試乗会場に、待望のショート・ボディのディフェンダー“90”が並んでいた。110に加わったディーゼルもありますよ、という案内の声も聞こえたが、僕は悩まず90の鍵を取った。

ディフェンダー90は理屈抜きに乗りたい、と思わせる強い求心力があるクルマだ。正面から見ればマッシブだけど、横に回ると寸詰まっていて、ユーモラスというよりもキュート。ジープもゲレンデヴァーゲンもそうだけど、この手のオフローダーは断然短い方が凝縮感があって、シンプルで、かつ本物感がある。



ショート・ボディとはいえ、それでも長さは4510mmもある。110よりは435mm短いが、この差はそのままホイールベースの違いで、90が2585mm(102インチ)で、110は3020mm(119インチ)となる。かつてのディフェンダーはインチ換算したホイールベースのおおよその数字がそのままグレード名だったが、現代のディフェンダーは、実際より少々大きめである。



惜しいのは110だと2リッター直4ガソリン・ターボと3リッター直6ディーゼルのマイルド・ハイブリッドのいずれかを選べるのに、90はガソリンしか選択肢がないこと。日本市場特有のエミッションの問題で、110に比べ数の少ない90は英本国の対応が難しく、今後も90ディーゼル導入の予定はないという。ちなみにガソリンの90と110の国内販売比率は2:8くらいだったというから、さすがに仕方がないか。



乗車定員は90も110も2列5人掛けが基本で、110のみ3列7人掛けのオプション設定が。90、110ともに肘掛け付きの中央コンソールは一部グレード以外標準装備。ただし90は無償オプションのキャビンウォークスルーを選んだ方が吉。後席の広さ自体は110と同じだが、狭い所などドア自体が大きく、前席を前に倒しても隙間が狭く、後席に外から乗り込むのはなかなか困難だ。



90に乗り込んで走り出すと、なんとも不思議な感覚に陥った。視界の中のボンネットや車幅から頭が推測する車体の長さと、現実の長さがマッチしない。車庫入れでステアリングを切りすぎてしまう。その代わり頭さえ入れば、ひょいと気軽に狭いところに入っていける。斜め後方の視界も110よりピラーが1本少なく、オプションの外付けの小物入れを装着するベース部分がなければ、リア・クォーターウインドウは何もない横長のシンプルな形になり、どこか昔のステーションワゴンを偲ばせる雰囲気になるところもいい。

峠道を駆け回ってみると、望外に静かで乗り心地が快適な上に、直進安定性もいい。速度を上げてもピッチングはしっかり抑えられているし、横風に煽られてふらついたりもしない。コーナリングはさらにいい。左右に素早く切り替えしても鼻先はすっと正確に、かつ自然に入っていく。見た目にも走りにも、90にはオンリーワンの魅力があるのだ。

日本市場では3リッター直6ディーゼルとマイルド・ハイブリッド(写真左)の組み合わせは110(写真右下)のみ選択可能。90(写真左下)で選択できるのは2リッターガソリンのみとなる。荷室の容量は90が297リッターしかないのに対し、110は5名乗車時で743リッター(7人乗車時は160リッター)。最小回転半径は90が5.3m、110が6.1m。

統一感がある

ところがその後110のディーゼルに乗って、その滑らかな回転感覚と穏やかな身のこなしに舌を巻くことになった。実は0-100km/h加速は7秒と、110ディーゼルの方が90ガソリンよりも0.1秒とほんのちょっぴりだけど速い。もちろん燃料は軽油ゆえに経済性にも優れているし、当たり前だが後席へのアクセスははるかに楽だし、荷室だってずっと広い。110の、特にディーゼルはオールラウンダーなのだ。そしてクルマの統一感という意味では、日本仕様のディフェンダーの中において、この110のディーゼルがベストである。

結局この2台は優劣を争い、対立するものではなかった。90には90の魅力があり、110には110の魅力がある。どちらも伝統的なディフェンダーならではのデザイン・モチーフをうまく活かしながら、最新技術を投じて、そんじょそこらのSUVでは真似できない悪路走破性と、静粛性や直進性などといったオンロードでのマナーを両立させている。

見た目に惚れ、本能のおもむくままに90ガソリンを選ぶもよし、理性に従い、冷静に万能な110ディーゼルを選ぶもよし。価格は前者が551万円から、後者が754万円から。いずれもお得だと、僕は思う。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田誠人

■ディフェンダー90ファースト・エディション
駆動方式フロント 縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4510×1995×1970mm
ホイールベース 2585mm
車両重量(前後重量配分) 2180kg(前軸1110kg:後軸1070kg)
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHCガソリン・ターボ
排気量 1997cc
ボア×ストローク 83.0×92.2mm
最高出力 300ps/5500rpm
最大トルク 400Nm/2000rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン+エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク+エアスプリング
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前後) 275/45R22
車両本体価格(10%税込) 745万円
 
■ディフェンダー110XD300
駆動方式フロント フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4945×1995×1970mm
ホイールベース 3020mm
車両重量(前後重量配分) 2570kg(前軸1330:後軸1240kg)
エンジン形式 水冷直列6気筒DOHCディーゼル・ターボ+モーター
排気量 2993cc
ボア×ストローク 83.0×92.31mm
最高出力 300ps/4000rpm+24ps/10000rpm
最大トルク 650Nm/1500-2500rpm+55Nm/1500rpm
トランスミッション 8段AT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン+エアスプリング
サスペンション(後) マルチリンク+エアスプリング
ブレーキ(前後) ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前後) 255/60R20
車両本体価格(10%税込) 1171万円

(ENGINE2021年9・10月号)

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