2021.10.21

CARS

実は後席がすごい! VWきってのVIPカー!?フェイスリフトを機に仲間入りしたアルテオンのシューティングブレークに乗った!

流麗なスタイリングと買い得感の高い価格設定で人気を博すアルテオンに、スポーティなルックスを持つワゴン・ボディのシューティングブレークが加わった。この新たな息吹はアルテオンにさらなる魅力を吹き込むことができるだろうか。モータージャーナリストの佐野弘宗がリポートする。

スポーティでスタイリッシュなクーペ・ワゴン仕上がっている

インターネットで調べたところによると、「シューティングブレーク」とは19世紀末ころにあらわれた狩猟用馬車が語源という。後に誕生した自動車の世界でも古くから使われているが、厳密な定義はないようだ。



ただ、黎明期のロールス・ロイスやベントレー、1960年代のアストン・マーティンのボディ後半に大きめの荷室を追加した特装車がそう名乗ったことから、どことなく高貴でスポーティなイメージを含むようになった。以後、シューティングブレークはしばらくは死語のようになっていたが、10年ほど前にメルセデスがCLSやCLAといった4ドア・ハードトップのワゴン版のために引っ張り出したのをキッカケに、また使われるようになった。

アルテオン本体のフェイスリフトを機に追加されたシューティングブレークは、ご覧のように、スポーティでスタイリッシュなクーペ・ワゴンに仕上がっている。ただ、既存のアルテオンも使い勝手のいい5ドアであり、シューティングブレークといってもリア・オーバングが伸ばされているわけでもない。荷室容量は普通のアルテオンの563リッターに対して、このシューティングブレークでも565リッター(ともに5名乗車時)と、ほとんど選ぶところはない(笑)。





それでも、後席を倒した最大容量1632リッターは5ドアより75リッター大きいし、バックドア自体もシューティングブレークのほうが小さくて軽いので、荷物の出し入れがより気軽というメリットはある。とくにバックドア開閉は毎日の作業だけに、オーナーになるとわずかな重量の差もけっこう効いてくるものだ。

しかし、最大のメリットはじつは荷室ではない。後席である。長く伸びたルーフラインによって、ご想像のとおり、後席ヘッドルームに余裕が生まれている。身長178cm胴長体形の筆者が後席で背筋を伸ばして座ると、普通のアルテオンでは天井に頭が少し触れてしまうが、シューティングブレークならこぶし1個分ほどの空間ができる。体感的にはパサートとほぼ同等の余裕だ。ホイールベースはパサートより45mm長いので、後席の足もとはもともとパサートより広い。よって、アルテオン・シューティングは日本でいま正規入手可能なフォルクスワーゲンで、もっとも広い後席をもつ。なにかの事情で、どうしても運転手付きでフォルクスワーゲンに乗る必要が生じたら、選ぶべきはパサートではなくアルテオン・シューティングである。





基本がしっかりしている

走りはとてもいい。ボディの基本構造やスリーサイズに既存の5ドアとの差はなく、重量が20kg重いだけ。つまり、走りに差が出る要素はほとんどない。

日本仕様のアルテオンにディーゼルの用意がないのは従来どおりで、最新の2・0リッターターボと湿式7段DSG、そして4WDの組み合わせとなる。最高出力こそ以前より少し下がっているが、低中速のレスポンスは向上しており、リアルワールドでの柔軟性や力強さは増している。スポーツ・モードにすると、ダウンシフトでは盛大にブリッピングをかましてくれて、その動力性能はスポーツ・クーペを名乗れるくらいである。

乗り心地や操縦性はまさに熟成の味というほかない。パサートより低くて長いディメンションから想像されるとおり、その身のこなしはより重厚で高級感がある。サッシュレス・ドアで懸念される高速での「吸出し音」もまったく気にならない。



全車標準の連続可変ダンパーをコンフォート、ノーマル、スポーツのどのモードにセットしても、それなりにまとまった走りになるのは基本部分がしっかり作り込まれているからだろう。とくに最も柔らかいコンフォートでの乗り心地はちょっと驚くほど快適。しかも、クイック設定のステアリングをいかように振り回しても、吸いつくように安定した姿勢と接地感が損なわれることもない。

興味深いのは、カスタマイズ・モードにするとDCCの硬さが、さらに細かく10段階以上から選べるようになることだ。数時間のお付き合いにかぎられた今回の試乗ですべてを試すことはかなわなかったが、オーナーになったら、じっくり腰を据えて自分好みのセッティングを見つけるのも面白そうである。

文=佐野弘宗 写真=小河原認

■アルテオン・シューティングブレークTSI 4モーション・エレガンス 
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4870×1875×1445mm
ホイールベース 2835mm
トレッド 前/後 1585/1575mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 1720kg
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴ターボ
総排気量 1984cc
ボア×ストローク 82.5×92.8mm
エンジン最高出力 272ps/5500-6500rpm
エンジン最大トルク 350Nm/2000-5400rpm
変速機 デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前後 245/35R20
車両価格(税込) 624万6000円

(ENGINE2021年11月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

PICK UP



RELATED