2021.11.08

LIFESTYLE

ビートルズ vs ローリング・ストーンズ、あなたはどちらが好き? 装いを新たにした2つの歴史的名盤を聴く

PhotoCredit Ethan A. Russell _ (C) Apple Corps Ltd.

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ビートルズとローリング・ストーンズ。ロック史を語るうえで欠かすことのできない2つの超重要バンドの傑作が、未発表音源を含む新装版で蘇った。

ビートルズ、最後のオリジナル・アルバム

ビートルズとローリング・ストーンズ。どっちがどのように勝っていて、自分はどっち派なのか。そのような議論や主張にどれだけの意味があるのか今になると疑問だが、過去に友人とそんな話をしたことがあるというひとは少なくないだろう。因みにかつてインタビューが叶った際、キース・リチャーズはこう話していた。「オレもビートルズは好きだよ。ただビートルズはもうないが、ストーンズは今も続いている。その違いは確かにあるよな」。



さて、2021年10月。ロック史において一、二を争う重要バンドの傑作が新たな体裁で発売される。ビートルズ『レット・イット・ビー』とローリング・ストーンズ『刺青の男』だ。それぞれ数種のフォーマットでの発売となるが、どちらも未発表音源を多数収録した高価なデラックス版に注目が集まる。



『レット・イット・ビー』はビートルズが事実上の解散をした約1ヵ月後、1970年5月に発売された最後のオリジナル・アルバム。映画『レット・イット・ビー』製作と同時進行したレコーディングの膨大な音源をフィル・スペクターがリプロデュースした作品だった。今回の“新たな『レット・イット・ビー』”ではそのオリジナル・ヴァージョンを手本にしたニュー・ステレオ・ミックスを採用。アウトテイクやリハーサル・テイクと合わせて聴けば、50年以上前に4人が描こうとした音世界とメッセージが立体的な像となって立ち現れる。



チャーリー・ワッツを亡くしたローリング・ストーンズ

一方、ストーンズの『刺青の男』は1981年8月に発売され、全英2位、全米1位を獲得した名盤。レコードA面に「スタート・ミー・アップ」などロック曲、B面に「友を待つ」などバラード曲をまとめた構成も大胆だった。今回の40周年記念拡張版は、最新リマスターの音のよさはもちろん、当時作られた未発表曲が9トラックも収録されているのが嬉しいところ。



この文を書いている10月1週目の段階で既に「リヴィング・イン・ザ・ハート・オブ・ラヴ」とシャイ・ライツのカヴァー「トラブルズ・ア・カミン」が配信されているが、どちらも“これぞストーンズ”といったノリと熱さが味わえる。8月にチャーリー・ワッツが亡くなってしまったが、いくつかの未発表曲の仕上げにはそのチャーリーも参加していたそうだ。現在ストーンズは、スティーヴ・ジョーダンを代役に迎えてアメリカをツアー中。結成時のメンバーはミックとキースだけになったが、バンドはまだパワフルに転がり続けるわけだ。



命は、バンドは、永遠じゃない。しかし両バンドの傑作は、今も聴く者を興奮させ、感動させる。永遠があるようにも思えてくる、そんな新装版だ。

文=内本順一(音楽ライター)

(ENGINE2021年12月号)

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