2022.01.07

LIFESTYLE

レディー・ガガの悪女っぷりが見もの! 映画『ハウス・オブ・グッチ』が描くファッション帝国の光と闇

名門ファッション・ブランドの3代目が、元妻の依頼で暗殺された。この前代未聞の事件を映画化。世間を騒然とさせた悪妻役にレディー・ガガが挑んだ。

2人のヒットマンに暗殺を依頼

1995年3月27日の朝、イタリア・ファッション界を震撼させる事件が起きた。グッチ創業者の孫であるマウリツィオ・グッチ社長が、ミラノの本社で何者かに銃撃され、殺害されたのだ。驚きの事実が発覚したのは2年後。犯行を計画したのは元妻のパトリツィア・レッジャーニで、2人のヒットマンに6億リラ(約3900万円)で暗殺を依頼していたのである。



この前代未聞の事件が起きるまでの20余年を描いたのが映画『ハウス・オブ・グッチ』。パトリツィアを演じたのはポップス界のスーパースター、レディー・ガガで、メガホンを取ったの『グラディエーター』の名匠、リドリー・スコットだ。

貧しい家庭に育った22歳のパトリツィアは、弁護士を目指していたマウリツィオとパーティで知り合い結婚。2人はマウリツィオの叔父、アルドの勧めでニューヨークに移り住み、ブランドの仕事を託されるようになる。だが会社を支配下に置くためには手段を選ばない彼女に、マウリツィオの心は次第に離反。彼の気持ちは幼馴染の女性へと傾いていく。



レディー・ガガを囲む名優たち

後に“ブラック・ウィドウ(黒い未亡人)”と呼ばれるパトリツィアをレディー・ガガは、権力と富にとりつかれたエネルギッシュな女性として演じている。狡猾な策士でありながら、人々を魅了するカリスマ性を感じさせるのは、レディー・ガガが持つスター性の賜物だろう。

だが本作がさらに興味深いのは、それぞれに個性的な、グッチ家の人々の描き方だ。時代の変化についていけないマウリツィオの父ロドルフォ、グッチの事実上のトップで、遊び心に溢れた叔父のアルド、そして悪意もないが才能もなく、パトリツィアの格好の標的となるアルドの息子、パオロ。彼らを演じる3人の名優、ジェレミー・アイアンズ、アル・パチーノ、ジャレッド・レトが、ともすればメロドラマになりかねない作品に風格を与えている。

ブランドの事実上のトップ、アルド・グッチを演じるのは名優アル・パチーノ(右端)。

マウリツィオが自虐的に“ファッション界のヴァチカン”と呼んでいたグッチは、やがてトム・フォードという若き才能を得て息を吹き返す。銃撃事件が起きたのは、グッチがそんな劇的な変化を遂げようとしていた過渡期だった。では、パトリツィアという女性がグッチにもたらしたのは悲劇と混乱だけだったのか? 彼女の存在が何かしらの化学反応をグッチ家の人々にもたらしたのではないか? 映画を観た後に考えてみたくなる問いである。



原作は2000年に出版されたサラ・ゲイ・フォーデンによる同名ノンフィクション。1997年に逮捕されたパトリツィア・レッジャーニには懲役26年の有罪判決が下されたが、獄中でもペットのフェレットと優雅な生活を送っていたという。2017年に釈放。

映画『ハウス・オブ・グッチ』は2022年1月14日(金)より全国公開。配給:東宝東和(C) 2021 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. ALL RIGHTS RESERVED.

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2022年2・3月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

PICK UP



RELATED

PICK UP