2022.02.23

WATCHES

「スタイルのある時計が欲しい!」PEQUIGNET(ペキニエ篇)

クルマは移動の手段としても役に立つだけでなく、退屈な日常をウキウキした気分に変える不思議な魅力を併せ持っている。時計も同じだ。時刻を知る道具であることを超えて、着けるだけで生活に彩りを添えてくれる良きパートナーでもあるのだ。だからこそクルマも時計も、自分に合ったスタイルのある1台、1本を選びたい。そんな想いを込めて、フランスメイドのシンプルながらも個性あふれるペキニエの最新作を時計ジャーナリストの名畑政治が解説する。

予想不能なフランス人が作った究極のシンプルウォッチ

ラグジュアリー・ウォッチで知られたペキニエが、自社開発・製造による「カリブル ロワイヤル」を発表したのは2011年。香箱のパワーを中心軸から取り出す世界初のセンターシャフトドライブを実現し、ビッグデイトやムーンフェイズ、パワーリザーブを装備したセミ・コンプリケーションの「カリブル ロワイヤル」は、精密さと斬新さで大きな反響を呼んだ。

ところが2021年の新作「アティチュード」は極めてシンプル。普通、腕時計は単純なモデ ルから始めて機能を加えていくが、ペキニエはいきなり複雑モデルを出し、今になって究極のシンプル・モデルを出すという真逆の戦略。これが実にフランスらしい。

関係ない話で恐縮だが、実はフランスは欧州の卓球強豪国。強さの秘密は選手の個性 が強烈で、どこに打ち返してくるか予測つかないから、と卓球通に聞いた。無論、ペキニエの「アティチュード」は直球勝負のシンプル・モデル。しかしその登場のタイミングも正攻法のムーブメント構造も、すべてが予測不可能なフランスらしさ満載。そんなところにグッとくる私も、かなりの個性派ってこと?




アティチュード
センターシャフトドライブを採用した「カリブル ロワイヤル」とは異なり、一般的な動力伝達方式を採用して新たに自社で開発・製造されたムーブメント「Cal.EPM03」を搭載する超シンプルなセンターセコンドの3針モデル。世界限定100本のこのモデルはデビューを記念して豪華なソリッドゴールドのケースが採用されている。自動巻き。18Kレッドゴールド、 ケース直径39mm、5気圧防水。 149万6000円。

問い合わせ=カリブルヴァンテアン Tel.03-6206-2333 https://www.calibre21.jp

文=名畑政治 写真=近藤正一 スタイリング=石川英治(T.R.S)

(ENGINE2022年1月号)

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