2022.03.03

CARS

AMGが手がけるとEVはこうなる! メルセデスのフラッグシップEV、EQSのAMG版に初試乗!!

電動化時代のラグジュアリー・スポーツは、一体どんな乗り味のクルマになるのか。その先駆けとも言うべきモデル、メルセデスAMGが手がけたハイパフォーマンスEVに米国で乗った。モータージャーナリストの島下泰久がリポートする。

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最高出力761馬力のレーススタート・モードを備えるEVとは?

メルセデスAMG 初のBEV(バッテリー式電気自動車)は、BEVのSクラスと言える存在であるメルセデス・ベンツEQSをベースとする。その記念すべき一作目がメルセデスAMG EQS53 4MATIC+である。BEV専用プラットフォームを用いた車体には、前後1基ずつの電気モーターが搭載される。標準スペックは合計最高出力650ps、最大トルク950Nm。試乗したAMGダイナミック・プラス・パッケージ付きはレーススタート・モードで最高出力761ps、最大トルク1020Nmを発揮する。



シャシーは他のAMGモデルのパーツを流用するなどしてパワーに見合ったアップグレードを行なっている。電子制御ダンパーとエアスプリングを組み合わせたAMGライドコントロール+サスペンションが標準装備に。4MATIC+は電気モーターの利点を活かして自在な駆動力配分が可能で、特にSPORT、SPORT+の各モードでは後輪側により多くの駆動力が振り分けられる。

走りは期待通りきわめてスムーズ。そして途方もなく速い。2.7トンにも迫る体躯にして、0-100km /h加速は実に3.4秒という俊足だ。22インチという大径タイヤのおかげで乗り心地はやや固めだが、そのぶんワインディングロードでの身のこなしは、軽快。これには後輪操舵の貢献も大きいのは間違いない。但し、限界が近づいてくると重さはやはり無視できなくなってくるし、ブレーキの効きも少し物足りないところではある。



「サウンド」には賛否両論が?

それより何より驚かされたのが、sportモードでの「サウンド」だ。AMGサウンドエクスペリエンスと呼ばれるサウンド・ジェネレーターによって、起動時や加速時などに「ブゥーン!」、加速していくと「ギュイーン!」といった電子音が室内に響き渡るのである。SF的というかゲーム的というか面白くはあるけれど、これが職人の手作業で組まれていたV8の咆哮に取って代わるものになるのかと言うと……。少なくとも私は、しばらく楽しんだ後で結局サウンドをオフにしてしまったが、若いユーザーはどう感じるのだろうか?

いずれにせよ言えるのは、内燃エンジンを使っても電気モーターを使っても、メルセデスAMGのクルマづくりには違いは無いということである。すなわち強大なパワーと、それに対応するシャシー、迫力あるエクステリアに吟味したインテリアによって高次元のドライビング・プレジャーをもたらす1台を仕立てるということ。電動化の時代にもその哲学にはいささかのブレも無いと、メルセデスAMG EQS53 4MATIC+は体現しているのだ。

文=島下泰久 写真=ダイムラーAG



(ENGINE2022年4月号)

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