ライカM11 ライカMマウントレンズ交換式レンジファインダーデジタルシステムカメラ 6030万画素35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー搭載 寸法:約139(W)×80(H)×38.5(D)mm 質量:ブラック約530g、シルバー約640g(共にバッテリー含む)ライカM11ボディ(ブラック・シルバー共に) 118万8000円、アポ・ズミクロンM f2/35mm ASPH. 105万6000円、アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.ブラック 107万8000円(すべて税込)
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伝統的なM型ライカの外観を維持しつつ、写真の本質を見据えた革新的なデジタル技術と、使い手に寄り添った操作系を実装。孤高のレンジファインダー式デジタルカメラが、さらなる進歩を遂げた。
記録画素数は3種から選べる
ドイツカメラの名門であるライカから、新機種のライカM11が発売された。Mシステムは同ブランドを代表するモデルであり、その最大の特長は1954年に登場したライカM3から脈々と受け継がれている精緻を極めた実像式の光学レンジファインダーにある。現在この方式の光学ファインダーを採用したデジタルカメラを製造しているのは、ライカカメラ社のみだ。「ライカM11の外観は前機種のライカM10からほとんど変えていませんが、中身は全てが変わっています」と同社の上級副社長ステファン・ダニエル氏は穏やかに語り出す。最大のポイントはトリプルレゾリューションテクノロジーを取り入れた35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーだ。この撮像素子は記録画素数を60MP、36MP、18MPの3種から選ぶことが可能。60MPでは極めて高精細な描画が得られ、超高性能なライカアポレンズの光学性能を存分に引き出せる。
36MPや18MPでは高速連写の持続性が向上し、画像ファイルのサイズも小さくできることに加え、過去に発売してきた数多くの名作レンズを味わうにも好適な解像度であるという。まるで3台のカメラを持ち歩くような体験価値を提供しながら、ボディはフィルム時代のM型ライカと同等のサイズ感に仕上げようとする開発姿勢には感服する。
前機種のライカM10ではフィルム機に近い薄さとなったことが往年のMシステムファンから称賛された。ライカM11はその形姿を受け継ぎつつ、ブラックモデルではボディ上部にアルミ素材を採用することで軽量化を実現。1984年に発売されたフィルム機ライカM6と同等の重量になったのも嬉しい驚きだ。
再創造されるライカの伝説
若き日のステファン・ダニエル氏が精密機械工の見習いとしてキャリアをスタートさせたのは奇しくも1984年であり、一般に発表する前の真新しいライカM6を“光栄なことに”上司が見せてくれたという。その瞬間の彼の精神の高揚と、手にしたカメラの忘れがたい重みが21世紀の新製品であるライカM11において再創造されているのだ。
M型ライカは20世紀の歴史に残る数々の名作を撮影したことで知られ、その操作感覚や手触り、重量感はライカの使い手たちに不変の記憶として刻み込まれている。メーカーとユーザーが長年にわたり築き上げてきたM型ライカ特有の身体感覚。それは継続させていくべき偉大な資産であり、ライカがそれ以外のカメラと異なる決定的な理由だ。
目新しさを狙って何かを付け足すのではなく、人間が使う道具のあるべき姿をより深く極めていく姿勢がライカM11には貫かれている。だが、それは狭量な原理主義ではない。バッテリーやSDカードへのアクセスを迅速化すべく因習的な底蓋は廃され、新開発の電子ビューファインダー『ビゾフレックス2』も用意されている。ライカM11は、伝統的なレンジファインダーカメラの要素と最新技術の融合により、様々な撮影状況への対応力を備えた極めてユニークで魅力的なカメラだ。
問い合わせ=ライカカスタマーケア TEL.0570-055-844
◆「ライカM11」の詳しい情報はコチラ◆
文=ガンダーラ井上 写真=近藤正一
(ENGINE2022年4月号)
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