2022.03.25

LIFESTYLE

バナナや木の実からできた洋服! いま注目のエシカルファッション

カポックを使ったおしゃれなアウター。

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ファッション業界でも見逃せないSDGsのムーブメント。「人としてのなすべき倫理」を指す言葉を冠したエシカルファッションで、トロピカルな熱帯生まれの素材が熱い注目を集めている。

Tシャツ1枚を作るのに……

「南北問題」という言葉が唱えられて久しい。工業化と商業化に成功した北の先進国、資源の供給と安価な労働力の提供を行う南の発展途上国という枠組みは経済格差にとどまらず、天然資源の枯渇、汚染、劣悪な労働環境などの深刻な問題を生み出してきた。

着る人の心を楽しませるファッションだが、残念ながら環境負荷が高いジャンルだ。Tシャツ一枚をつくるのに、成人男性が飲む3年分の水を使うとも言われている。大量生産と短いサイクルでの廃棄というシステムに見直しの目が向けられるのも必然だった。いまサステナブルへの取組みは、アパレルに携わるすべての人にとって無視できない課題となっている。そうした風潮で生まれたのがエシカルファッション。そしてこれを実践するユニークなプロジェクトが日本でも動き始めていた。

バナナ繊維はリネンに似て吸水性に富む。一本一本が太く短く、100%の紡績が出来ないため、バナナクロスは綿70%、バナナ繊維30%の割合で混紡されている。写真はすべてMNインターファッションが制作したサンプル。これをプロトタイプに、「バナナクロス推進委員会」のパートナーシップを組むさまざまな繊維メーカー、縫製工場が商業化を図る。今後は大量生産による低価格化が課題となりそうだ。

ひとつはバナナクロス。繊維を扱うMNインターファッションが開発した生地で、その名の通りバナナからつくられた生地。生育が良いうえ、世界中で安価に食べられるため、実を穫った後の茎は伐採され、肥料になる一部を除き、捨てられるしかなかった。その数は世界で年間10億本に上る。処理が追い付かないため、野積みで廃棄されることによる腐敗臭、地下水の汚染が問題となっていた。同社ではフィリピンの農家から買い取り、約25kgの茎一本あたり、500~700gの繊維を採取する。新たに畑を設ける必要はなく、水や農薬を使わずに済む。

興味深いのは、同社が「バナナクロス推進委員会」を立ち上げ、オープンイノベーションとし、他企業と協業して糸や生地を販売して製品をつくるスキームを作ったこと。



サステナブルの新しい風

また、東南アジアのカポックを使ったダウンも注目を集めている。自生する木の実からつくられ、環境に負荷のかかる栽培の必要がない。「大量生産を前提とした服飾産業のビジネスモデルに疑問を持っていた」と語る深井喜翔氏が創業76年のアパレルメーカーからカポックジャパンとしてスタートアップし、ジャワ島の工場と提携。重さは綿の8分の1、吸湿発熱性に富んだカポックの特性を生かし、リサイクルポリエステルと交織させてシート状のダウンに仕上げた。裏地に使うことですぐれた保温性と薄さを両立、機能性ウエアのデザインの可能性を確実に広げている。

カポックはシート状に加工されるので、薄くて軽いのが特長。まだ肌寒さが残る早春にも、着膨れ感がない。アウターはもちろん、ワンマイルウエアとしても最適。左/ファスナーで袖が肘の部分で取り外しできる。写真は外した状態。カンガルーパーカー3万5000円 中/カーキとベージュのリバーシブル。エアスムースシャツ2万4900円 右/エアーライトジャケット3万5000円 https://kapok-knot.com/



「もったいない」、「おたがいさま」という言葉が良識とされた日本は、エシカルファッションの旗印となる可能性を秘めている。モンスーンの南国との協働は、サステナブルの新しい風となりそうだ。

文=酒向充英(KATANA) 写真=杉山節夫

(ENGINE2022年4月号)

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