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『ジョーカー』の衝撃演技で見事、アカデミー賞を受賞したホアキン・フェニックス。彼が次に選んだ作品は、前作のイメージを180度くつがえす、ハートウォーミングな物語だった。
子供たちのリアルな声
『人生はビギナーズ』、『20センチュリー・ウーマン』と、実の家族を題材にした物語を、温かな目線で描いてきたマイク・ミルズ監督。新作『カモン カモン』では、ニューヨークに暮らすラジオ・ジャーナリストのジョニーと、母親と短期間離れることになった甥っ子ジェシーとの心の交流を綴る。
子供のような純粋さを残した40代の男と、妙に大人びていて、それでいてどこか不安定な9歳の少年。親子とはまた違った距離感から生まれる掛け合いが微笑ましく、世代を超えたバディ・ムービーとして出色の出来だ。モノクロ映像で表現された、ニューヨークやロサンゼルスなどの都市の美しさも印象的である。
主人公ジョニーを演じるのはホアキン・フェニックス。稀代の悪役に扮した『ジョーカー』ではアカデミー賞主演男優賞を受賞したが、今回はその狂気のイメージを180度覆す、平凡な、それでいて誰もが共感できる心優しき人物を繊細に演じている。
一方、本作には、ジャーナリストである主人公のインタビューという形で、9歳から14歳の子供たちのリアルな”声”が挿入されている。彼らは今の生活について、世界について、そして未来についてどう考えているのか? まさにこの不穏な世界において、子供たちの明るい未来を希求するかのごとき秀作だ。

『カモン カモン』
前作『20センチュリー・ウーマン』で、アカデミー賞の脚本賞にノミネートされたマイク・ミルズ監督。5年ぶりの新作となる『カモン カモン』 の最初のアイデアは、自分の子供をお風呂に入れている時に思いついたという。9歳の甥っ子、ジェシーを演じるのはイギリス出身のウディ・ノーマン。ちなみにタイトルの『カモン カモン』 は”先へ 先へ”の意。108分。配給:ハピネットファントム・スタジオ。TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中。

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文=永野正雄(ENGINE編集部)
(ENGINE2022年6月号)
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