2022.04.02

LIFESTYLE

オスカー監督、ギレルモ・デル・トロが描く、クリーチャーよりも恐ろしい人間の姿

(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

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幻想的な作風で映画ファンを魅了するメキシコ出身の鬼才、ギレルモ・デル・トロ。新作『ナイトメア・アリー』で、禍々しくもゴージャスな映像世界を堪能する。

悪夢の小路に迷い込んだ男の運命

ダークファンタジーの作り手として世界的な称賛を浴びるメキシコ出身の映画監督、ギレルモ・デル・トロ。『パンス・ラビリンス』(06)や『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)といった彼の代表作には異形のクリーチャーが登場するが、新作『ナイトメア・アリー』の舞台となるのは、人とも獣とも知れない”獣人”や、全身に電気を流す少女を見世物とする怪しいカーニバル一座だ。

1939年のアメリカ。カーニバル一座で職を得た流れ者の青年スタンは、仲間から読心術の技を学ぶ。天性の才能に恵まれていた彼は、やがて一座を離れ、金持ちを相手にした危険な”幽霊ショー”を始める。

デル・トロ監督ならではの幻想的な空気感に満ちたカーニバルでの描写は、禍々しさがありながらも、どこか異形の者に対する温かな眼差しを感じさせる。だが後半、雰囲気が一変。スタンが飛び込んだ富裕層の世界は、華やかに見えながらも、欲や孤独に支配された人々の集まりだった。

カーニバル一座のテントから、贅の限りを尽くしたアールデコ様式の建物へ。その対照的な2つの世界から浮き彫りになるのは、クリーチャーよりも恐ろしい人間の姿だ。“ナイトメア・アリー”(悪夢の小路)に迷い込んだ男がたどる残酷な運命。その想像を絶する末路を見届けたい。



『ナイトメア・アリー』
ホラー映画を愛し、日本のアニメが漫画にも造詣の深いギレルモ・デル・トロ監督。2017年の『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞した。本作の最大の魅力のひとつは、主人公スタンを演じるブラッドリー・クーパーと、彼を翻弄する心理学博士リリスを演じるケイト・ブランシェットの競演。ゴージャスな魅力を放つ2人の存在が、まるでゲーリー・クーパーやキャサリン・ヘップバーンが活躍していた黄金時代のハリウッド映画のような雰囲気を作品に与えている。本年度のアカデミー賞で作品賞を含む4部門にノミネート。150分。配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン  全国公開中



(C)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2022年5月号)

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